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ブドウの育て方

監修 宮崎大学農学部教授
國武 久登

プロフィール

 ブドウは、ブドウ科ブドウ属に分類されるつる性落葉果樹です。現在栽培されているブドウは、西アジアのコーカサスからカスピ海沿岸にかけての地方で生まれた「ヨーロッパ種」、北アメリカ東部原産の「アメリカ種」、そして、それらを交配して作った欧米雑種の3群があります。

 また,ブドウはカンキツ類と並んで生産量が多い果樹ですが、そのほとんどはワインの原料として利用されます。飲料水が少ない地域では、ワインが水代わりに利用され、従来は、極めて消費量が多かったようです。日本ではブドウのほとんどが生食用として利用されており、ワイン用品種の栽培は、冷涼で比較的雨量の少ない地方で行われている程度です。

 そのほか、乾燥させて干しブドウにしたり、ジュースやゼリーの原料としても利用されています。ブドウの果皮にはポリフェノールの一種、アントシアニン色素が特に多く含まれており、加工すると赤紫のきれいな色が出てきます。このポリフェノールには抗酸化作用があるため、動脈硬化の原因となる活性酸素を除去する作用があるといわれています。

 ブドウは、樹勢や果実の管理など独特のコツもあり、「大人の果樹づくり」というような一面も持ち合わせています。四季折々に見せる成長の過程を楽しみながら、家族や仲間で収穫する喜びを味わいましょう。




種類、品種選びのポイント

 「ヨーロッパ種」は、世界のブドウの主流で品質は極めてよいのですが、日本の気候では栽培がやや難しく、果皮が薄いために腐りやすいのが特徴です。一方、「アメリカ種」は、一般的にやや品質は劣りますが、病気に強い性質があります。

 そこで、それらのよいところを併せ持つ品種を育成するために、長年かけて育種されたのが「巨峰」や「デラウエア」などの「欧米雑種」です。家庭で栽培する場合は、これらを選ぶとよいでしょう。

育て方のコツ

 ブドウの花や果房のつき方は、前年に伸びた枝のわき芽が春に動き出し、新梢が伸びます。花はこの新梢の基部から数えて4~6節の葉腋に花(果)房となってつきます。この新梢の伸び具合を観察しながら、芽かきをし、摘房や摘粒を適切に行なうことが育て方のコツです。

 春の芽かきは、樹勢が強い場合には6月、弱い場合には5月に行ないます。5月になると花穂が出て来ます。果粒を大きくするためには、開花直前からハサミを使って房を切り込み、房づくりをします。

 また、結実が確認できたら、1房の果粒数を調整します。残す果粒の数は、品種によって異なりますが、巨峰やピオーネのような大粒品種では30~35粒、マスカット・ベリーAでは60~70粒、デラウエアでは90~100粒ぐらいになります。たくさん収穫したい気持ちはわかりますが、果実のならせすぎは、果実品質や樹勢の低下を招くので、思い切って摘房、摘粒を行ないましょう。

植えつけ

 ブドウの主な産地の平均気温は11~15℃で、7℃以上であれば十分に栽培することが可能です。品種を選べば、日本中どこでも栽培できます。

 次に、降水量ですが、一般的には雨の少ない地域が適するものと思われますが、日本で栽培されている欧米雑種は雨に対する抵抗性が強く、問題はありません。

 植えつける場所は、日当たりのよい場所であれば、土質は選びません。ブドウは水はけがよく、弱酸性から弱アルカリの土壌が適しているので、日本の多くの土壌が適しています。極端にやせているような場所であれば、完熟堆肥や腐葉土を入れるようにしましょう。

 ブドウの苗木は、一般的に秋から春にかけて販売されますが、12~2月の休眠期(極寒期を除く)が植えつけの適期です。苗木には、つぎ木苗とさし木苗がありますが、フィロキセラというアブラムシが寄生している場合があります。多少、高価でも、つぎ木苗を選ぶとよいでしょう。

 植えつけ場所は前述したように、日当たりと水はけのよい場所を選びましょう。庭植えの場合、直径60cm、深さ50cm程度の穴を掘り、掘り上げた土5、腐葉土3、赤玉土中粒2、1株あたり200g程度の粒状肥料「マイガーデンベジフル」、苦土石灰を入れてよく混合し、根を広げるようにして植えつけましょう。このとき、つぎ木している部分が土中に埋まらないように注意します。

 次に、支柱を立てて、5芽ほど残して主枝を切り詰めます。最後に、水鉢を作り、たっぷりと水を与えます。

管理

水やり

 庭植えのブドウは、苗が活着したら水やりは控えめの方がよく育ちます。夏に天気がよい日が続き、乾くようなら、たっぷり水を与えましょう。

肥料

 開花結実するようになったら、年3回、施肥しましょう。1回の肥料は控えめにし、まず、寒肥として12月に粒状肥料「マイガーデンベジフル」を1株あたり200g程度施し、追肥として3月と8月に粒状肥料「マイガーデンベジフル」を1株あたり50g程度、株のまわりの土の上にばらまいて施します。

仕立て方と剪定

 ブドウはつる性果樹なので、どのような形にも仕立てることができます。最も一般的な仕立て方は「棚仕立て」で、日本の生産者の方々がよく用いている手法です。また、フェンスを利用した「垣根仕立て」、支柱を使った「一文字仕立て」や「棒仕立て」なども楽しむことができます。

 ブドウは、前述したように、春に伸びる新梢に花穂をつけます。そのため、冬の間に樹形を維持するために枝を切り詰め、棚などに誘引しておきます。

 まず、古い枝や生長を妨げる枝など、不要な枝を切ります。残した枝についても樹勢を抑えるために、先端を切り詰めます。樹勢が強くなりすぎると、枝や葉の方に栄養が回ってしまい、果実の品質が低下します。

 枝を切り詰める長さは品種によって多少異なり、樹勢の強い「巨峰」や「ピオーネ」などは結果母枝に7~8芽残して剪定し(長梢剪定)、樹勢の弱い「デラウエア」や「マスカットベリーA」などは、2~3芽残して剪定します(短梢剪定)。剪定は、芽と芽の間で切り、1m2当たり2~3本の枝を残すようにします。

 剪定が終了したら、バランスを見ながら、棚や垣根に誘引します。

収穫

 ブドウは成熟が近づくと房全体が色づき、品種によっては何ともいえない香りが漂います。また、房の基部(枝に近い方)から房先に向かって成熟してくるので、房先の果実を食べてみて美味しかったら収穫します。

 果房は、ハサミで丁寧に切り取りましょう。樹全体の房が一度に成熟するわけではないので、1房ずつ観察しながら収穫することがポイントです。

病害虫

 病気には黒とう病晩腐病などがあります。

 黒とう病は、開花期から梅雨期にかけて、新梢や花穂などに黒褐色の斑点が出てきます。

 晩腐病は、梅雨期の終わりごろから症状が出始めます。果実が腐敗したり、ひどいものは落果します。

 これらの病気は、被害部を取り除くことが大事です。また、落ち葉や巻きひげの除去、剪定枝の焼却などによって、予防することができます。株のまわりを清潔にしておくことは重要です。

 なお、黒とう病の予防には、休眠期なら殺菌剤「ベンレート水和剤」を、生育期なら殺菌剤「ベンレート水和剤」、「サンケイオーソサイド水和剤80」、「家庭園芸用トップジンMゾル」を木全体に、丁寧に散布します。

 晩腐病の予防には、休眠期なら殺菌剤「ベンレート水和剤」を、生育期なら殺菌剤「ベンレート水和剤」、「サンケイオーソサイド水和剤80」を木全体に丁寧に散布します。


 害虫では、ブドウトラカミキリブドウスカシバチャノキイロアザミウマ(スリップス)が発生します。  ブドウトラカミキリは、冬の間、樹皮の下で冬越しし、春から移動して木の芯部を食害します。6月ぐらいになると新梢が突然枯れこみます。冬の剪定時に注意深く観察し、捕殺するようにしましょう。

 またコナカイガラムシが発生したら「ベニカマイルドスプレー」を散布しましょう、ブドウスカシバに薬剤を使う場合は、殺虫剤「家庭園芸用スミチオン乳剤」を散布して防除します。

 チャノキイロアザミウマには、殺虫剤「家庭園芸用GFオルトラン水和剤」を散布して防除します。

 ブドウスカシバは、5~6月に幼虫が新梢を食害し、ブドウトラカミキリ同様に新梢を枯らします。同様に冬の剪定時に見つけて除去するか、新梢中にいる幼虫を発見したら捕殺しましょう。

 なお、病害虫の予防には「袋かけ」が重要なので、摘粒が終了した6月下旬から、袋かけを行ないましょう。袋かけは、黒とう病晩腐病などの病気、チャノキイロアザミウマ(スリップス)などの害虫から、果実を守るだけでなく、風で果実が傷むのを防ぐ意味もあります。袋はやや大きめのものを使用し、房の下から丁寧にかぶせ、果梗の上の方をひもで止めます。

鉢やコンテナで育てるときは

 最近、ベランダ園芸でよく見かけるのが、ブドウの「あんどん仕立て」です。8~10号鉢程度の大きさの鉢を使用し、用土には、赤玉土6、腐葉土3、川砂1の配合土を使います。この用土1ℓ当たり5g程度の粒状肥料「マイガーデン植物全般用」と適量の苦土石灰をよく混ぜ合わせ、苗を植えつけます。

 植えつけ後はしっかりと水を与え、高さ30cm程度で切り詰めて支柱を立てます。

 開花結実するようになったら、年3回、施肥しましょう。肥料は控えめにし、寒肥として12月に粒状肥料「マイガーデンベジフル」を、その鉢の用土1ℓ当たり5g程度施します。さらに追肥として3月と8月に、粒状肥料「マイガーデンベジフル」を用土1ℓ当たり2g程度、株のまわりの表土にばらまいて施します。

 あんどん仕立てにするには、まず、植えつけ後に発生した新梢の中でいちばん成長がよいのものを、まっすぐに伸ばします。冬になり、完全に落葉したら、購入したあんどんに2周り程度巻きつけ、余分な枝先は切ります。春になり、伸び出した新梢はよい結果枝を選びながら誘引していきます。

 1鉢当たりの果房数は「デラウエア」などでは6~8房、「巨峰」などでは3~5房がよいでしょう。

ムービー紹介

ビデオは、害虫の生態や寄生植物を広くご紹介するものです。ビデオの中の害虫、寄生植物は、必ずしも植物栽培ナビの害虫、植物とは一致しませんので、ご了承ください。

アブラムシの産子
アブラムシの産子

(2分35秒 WMV形式/8.6MB)

アブラムシの雌の尾部から幼虫が産まれてくる様子を拡大顕微鏡で撮影しています。

アブラムシの二次被害
アブラムシの二次被害

(5分26秒 WMV形式/9.1MB)

アブラムシの二次被害として、尾部から出る排泄物がアリを誘引したり、すす病を誘発し、ウイルス病を媒介することを紹介しています。さらに、葉を萎縮させたり、湾曲させ、種類によっては葉に虫こぶ(虫えい)を作るアブラムシもいます。

アブラムシの天敵
アブラムシの天敵

(2分46秒 WMV形式/9.2MB)

ナナホシテントウの成虫や幼虫、クサカゲロウの幼虫がアブラムシを捕食する様子を拡大顕微鏡で撮影しています。

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