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キンカンの育て方

監修 宮崎大学農学部教授
國武 久登

プロフィール

 キンカンは、ミカン科キンカン属に分類される常緑性低木の果樹です。キンカンの仲間の一部には、江戸時代以前に中国から伝わったものもあり、固有種と間違えるぐらい日本になじみの深い種類となっています。元来、中国南部が起源であり、いくつかの野生種やそれらの雑種が存在し、現在でもその分類は不明瞭なまま残されています。たとえば、金豆(キンズ)と呼ばれ、古くから盆栽として親しまれてきたマメキンカンは、形態的には大きく違うのですが、このキンカンの仲間に含まれています。中国の奥地に、まだ知られていないキンカンの仲間が生息していると考えるとわくわくしてきます。

 さて、家庭果樹として利用されている種類は、ニンポウキンカン、またはネイハキンカンと呼ばれているものです。ニンポウキンカンは、樹高が1.5m前後で小さく、花が7月から3~4回にわたって咲き、1個10~20g程度の黄色の果実を多数つけ、カンキツとは少し違った特性を持っています。特に、果皮にカンキツ特有の苦みが少なく甘いことから、皮ごとまるかじりできる唯一の種類です。また、中国南部が起源でありながら、ユズに次いで耐寒性が強く、関東以西なら容易に露地栽培ができます。さらに、病害虫にも強く、土壌適応性も広いことから、古くから家庭果樹として親しまれてきました。

 キンカンのふるさと、中国ではその鉢植えをお正月(旧正月)に飾り、縁起物として古くから利用されています。キンカンの豊満な姿は「福徳」、黄色は「黄金」、そして多くの果実は「子孫繁栄」を意味しているそうです。確かに、木いっぱいに黄色の果実をつけたキンカンの鉢植えは、なんとも幸せな気持ちにしてくれる素材です。さらにキンカンは、冬のさびしい庭を、鈴なりの黄色い果実で明るくしてくれる絶好の素材です。ぜひ、あなたの庭に1本いかがですか。




種類・品種選びのポイント

 販売されている種類は数品種しかなく、迷うことはありません。ニンポウキンカンやスイートシュガーが一般的な種類で、生食のほか、甘露煮やシロップ漬けなどに適しています。

 最近、タネなし品種(小さなタネが入る場合がある)の‘ぷちまる'がよく出回っているようです。タネが少ないので食べやすく、女性や子どもたちに人気の品種です。

 地方の植木市に行くと、大実キンカン、またはジャンボキンカンとして販売されている品種があります。これは、正式には「フクシュウキンカン」という種類で、果実は大きく鑑賞価値は高いのですが、果肉の酸味が強く、生食には向きません。生食にはニンポウキンカンなどの種類を選びましょう。

育て方のコツ

 キンカンは接ぎ木2年生の苗でも3年目にはたくさんの花が咲き、果実をつけます。また、前述したように年3~4回花が咲くので、果実は不ぞろいになります。果実は枝先に集まって着くので、形がよく、大きなものを残して、ほかは摘み取りましょう。鉢植えの3年生苗程度であれば、1枝に1~2個を目安に、1樹あたり10~15個をならせましょう。摘花や摘果をせず、たくさんの果実を着けさせると木が弱り、次年度に収穫できなくなります。果実の数を管理して、連年結実を目指しましょう。

植えつけ

 キンカンの植えつけや植え替えは、暖かくなる3月下旬~5月上旬が適期です。キンカンは比較的寒さに強いので、暖地では秋植えもできますが、ほとんどの地域では春植えがよいでしょう。

 庭植えの場合は、日当たりと水はけがよく、風当たりが強くない場所を選びます。直径、深さとも50cm程度の穴を掘り、掘りあげた土、腐葉土、赤玉土(小粒)を5:3:2で配合した用土に、1株当たり200g程度の粒状肥料「マイガーデンベジフル」をよく混合し、穴の深さの1/2から2/3程度を埋め戻します。次に、苗木の根鉢を崩して根を広げ、苗を据えてからさらに先の用土を入れます。その際、接ぎ木部分が埋まらないように、浅植えにすることがポイントです。枯れ枝を除去し、先端を少々切り詰め、支柱を立てます。しっかりと水やりをしたらできあがりです。

管理

水やり

 キンカンを含むカンキツ類の栽培では、春から夏にかけての果実の成長期に水切れさせると、落果や落葉の原因になります。植えつけ直後や空気が乾燥している時は、十分に水やりしましょう。

  しかしながら、成熟期に当たる10~12月は、土を乾かし気味に管理した方が、果実の色づきが早くなり、甘い果実ができます。

肥料

 キンカンは、木自体は小さいわりに、果実をたくさんつけます。そのため、果実を多くつけすぎると木が弱りやすいことから、施肥は、年間を通じて非常に重要な作業となります。肥料は、春に芽が出てくる前に、寒肥として粒状肥料「マイガーデンベジフル」を1株あたり200g程度、株元の土の上にばらまいて施し、軽く土を耕しておきます。

 さらに追肥として、7月下旬と9月下旬に50g程度を同様に施しましょう。施肥量は、成木になるにつれて徐々にふやします。また、樹勢が弱っている時は、液体肥料を使うと効果的です。液体肥料「花工場原液」を250倍に薄めたものを、株全体にかけて施します。特に、果実が多くつくので、9月の追肥は果実を肥大させるだけでなく、木を維持するのにも大切な作業となります。

仕立て方と剪定

 整枝、剪定は3月に行ないます。剪定は樹形を整え、病害虫の発生を防止し、毎年果実をならせるための重要な作業です。キンカンは自然な「ほうき仕立て」にするのが一般的です。主枝を2~3本決め、枝を更新したり、間引いたりして、木の内部の日当たりをよくしていきます。また、カンキツと違って細い枝が密集するので、こうした枝は整理します。さらに、枯れ枝は病害虫の巣になるので、必ず除去しましょう。

収穫

 11月下旬ごろから、果皮に甘みがのり、全体的に黄色から黄橙色に変わっていきます。黄橙色になったものから順次、ハサミで果梗(かこう)を切って収穫しましょう。

 最近、宮崎県ではビニールハウスを利用した「完熟キンカン」が栽培されています。樹上で成熟した果実は黄橙色が際だって、甘い果実が収穫できます。ぜひ、挑戦してみてください。ただ、あまり遅くまでならせておくと、果汁が乾燥したような「すあがり」となり、味が落ちるだけでなく、次年度の花芽にも影響するので、2月上旬までにしましょう。

病害虫

 キンカンはカンキツ類と同じような病害虫が発生します。特に、カイガラムシ類ハダニ類がよく発生します。

 カンキツ類に発生しやすいイセリアカイガラムシには発生初期に、殺虫剤「家庭園芸用マラソン乳剤」を散布して防除します。

 ツノロウムシやコナカイガラムシ類には殺虫剤「ベニカ水溶剤」を散布して防除します。

 葉に絵を描いたような線がつくミカンハモグリガ、アゲハチョウの幼虫やカメムシ類にも殺虫剤「ベニカ水溶剤」を散布して防除します。

 ミカンハダニには、食品の水あめを使用した殺虫殺菌剤「ベニカマイルドスプレー」や殺虫剤「バロックフロアブル」、「ダニ太郎」を、発生初期に散布しましょう。

 新梢が伸び出すころに、アブラムシが発生します。殺虫剤「ベニカベジフルスプレー」「ベニカ水溶剤」、殺虫殺菌剤「ベニカマイルドスプレー」、殺虫剤「モスピラン液剤」を散布します。

 ハマキムシの幼虫には、天然の微生物がつくる成分が有効の、殺虫剤「STゼンターリ顆粒水和剤」、「家庭園芸用マラソン乳剤」を発生初期に散布します。

 幹から木くずが出ていたら、カミキリムシの幼虫の被害です。木くずを取り除いてから、殺虫剤「園芸用キンチョールE」の専用ノズルを幹の穴に挿入し、薬液を十分噴射します。使用の際は、噴射しながらノズルを穴に挿入すると、ノズルが詰まるのを軽減できます。

 剪定時の切り口、および傷口のゆ合促進、切り口の枯れ込み防止には、殺菌剤「トップジンMペースト」を、枝の切り口に塗布します。

 葉、果実、茎に黒色の小斑点がつく黒点病には、発生初期に殺菌剤「サンケイエムダイファー水和剤」を散布します。

鉢やコンテナで育てるときは

 キンカンは小柄な果樹なので、鉢栽培にも適しています。鉢植えの場合、1年生の苗木は7~10号(直径21~30cm)程度の大きさの鉢を使用します。

 まず、鉢底石を敷き、赤土(小粒)、腐葉土、鹿沼土を5:3:2で配合した用土に、用土1ℓ当たり5g程度の粒状肥料「マイガーデンベジフル」をよく混合し、鉢の深さの半分程度まで入れます。購入した苗木の根鉢を軽く崩して、根を広げ、苗を据えてから、さらに用土を入れます。次に、樹高50cm程度の位置で切り詰めて支柱を立て、最後は、棒などで土をよく突いて、すき間なく土を入れましょう。

 苗を植えつけた鉢は、南向きで日当たりがよく、風当たりが弱い場所に置きましょう。水やりは、4~9月までは1日1回、それ以外は表面の土が乾いたら、たっぷり水やりするのが目安です。追肥として液体肥料を施す場合には、液体肥料「花工場原液」を1000倍に薄めたものを、2週に1回施します。

 なお、キンカンは自然形にまとまりやすいので、剪定は混み合った枝を間引く程度で十分です。

 収穫は2月上旬までできますが、果実が凍害を受ける可能性があるので、霜が当たらない軒先に鉢を移動させるか、ビニールシートなどで覆い、防寒しましょう。

ムービー紹介

ビデオは、害虫の生態や寄生植物を広くご紹介するものです。ビデオの中の害虫、寄生植物は、必ずしも植物栽培ナビの害虫、植物とは一致しませんので、ご了承ください。

アブラムシの産子
アブラムシの産子

(2分35秒 WMV形式/8.6MB)

アブラムシの雌の尾部から幼虫が産まれてくる様子を拡大顕微鏡で撮影しています。

アブラムシの二次被害
アブラムシの二次被害

(5分26秒 WMV形式/9.1MB)

アブラムシの二次被害として、尾部から出る排泄物がアリを誘引したり、すす病を誘発し、ウイルス病を媒介することを紹介しています。さらに、葉を萎縮させたり、湾曲させ、種類によっては葉に虫こぶ(虫えい)を作るアブラムシもいます。

アブラムシの天敵
アブラムシの天敵

(2分46秒 WMV形式/9.2MB)

ナナホシテントウの成虫や幼虫、クサカゲロウの幼虫がアブラムシを捕食する様子を拡大顕微鏡で撮影しています。

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