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ツバキの育て方

監修 園芸研究家 倉重祐二

プロフィール
 いち早く春を告げるツバキは、最も花の少ない冬に咲く花が愛でられるだけではなく、冬にも落ちることのない葉を持つことから、上代には不老長寿や邪気をはらう力があると信じられていました。安土桃山時代に茶道、華道などの発達とともに観賞に供されるようになり、江戸時代中期には栽培が大流行して、数多くの品種が作出されました。

 ツバキ属は中国を中心に約200種が分布する常緑の低木または高木で、日本にはヤブツバキとその変種で多雪地帯に分布するユキツバキ、サザンカ、小輪で香りの良いヒメサザンカが自生します。現在の園芸品種はヤブツバキを中心に、トウツバキや海外の野生種、また近年ではキンカチャ(金花茶)が交配され、一重、八重、唐子咲き、花色も赤、ピンク、白や黄など実に多様な園芸品種が栽培されています。

 庭植え、鉢植えのどちらでも栽培することができます。和風の庭園には一重や絞りの花、洋風には豪華な大輪八重と、庭の和洋も問いません。また、鉢植えはベランダでも育てることができ、花の時期には室内で観賞することもできます。

 ほとんどのツバキの園芸品種は、日本原産のヤブツバキを中心に改良されていますので、栽培は容易です。また品種を選ぶことによって、冬から早春まで長い期間花を楽しむことができます。近年は黄花の交配種も加わって、ますます多様になったツバキを育ててみてはいかがでしょうか。


品種紹介

 ツバキには多くの品種があるため、耐寒性、開花期、樹高等もさまざまです。自宅の栽培環境を考慮して、好みの品種を選ぶようにします。

 一般にヤブツバキの園芸品種は、暑さ寒さに強く丈夫なので、初心者にもおすすめできます。ユキツバキやその園芸品種は、冬期の乾燥に弱いため、積雪地帯以外では鉢植え栽培が適します。香りのよい小輪のヒメサザンカやキンカチャなどの中国産種の園芸品種は寒さに弱いので、暖地以外では鉢植えで楽しみます。中国原産のトウツバキの園芸品種は、ボタンのような巨大輪で八重咲きです。寒さに多少弱いので、寒風の当たらない場所で栽培します。栽培特性や来歴などを知るために重要ですので、品種名のついた苗を選ぶようにします。


 ‘岩根絞' 中輪の半八重で、紅色の地に白色の絞りが鮮やか。


 ‘百合椿' ピンクの細長い花弁で、反り返ってユリの花のように見える。枝は枝垂れる。


 オトメツバキ ピンクの八重咲き品種。


 ‘侘助' 小輪一重の筒咲きで、茶花としても利用される


 カンツバキ 冬期に咲き続ける紅色八重の品種。ツバキとサザンカの交雑品種。関西では‘獅子頭'と呼ばれる。

栽培方法

植えつけ、植え替え

 庭植えの場合、植えつける場所は、水はけがよく西日の当たらない半日陰が適しています。根鉢の直径の1.5倍ほどの穴を掘り、元肥として腐葉土や堆肥、粒状肥料「マイガーデン植物全般用」を1m2当たり150gを底土と良く混ぜ合わせます。根鉢を1/3ほどくずして、根を切り詰め、深植えしないように植えつけます。たっぷりと水を注ぎながら、根の間に土が入り込むように棒などで突きます。

 鉢植えでは、2~3年に1回を目安にひと回り大きな鉢に植え替えます。鉢植え用土には、極めて水はけのよい用土が使われますが、赤玉土と桐生砂か日向砂を1:1に混合した用土の方が夏場に乾燥しにくいので一般家庭向きです。根鉢を1/3ほどくずし、根をはさみで切り詰めます。鉢底にゴロ土を敷き、少量の用土を入れて根鉢を据えて、用土を満たします。根鉢と用土が良くなじむように棒などで突き、たっぷりと水をやります。

 植え替え、植えつけともに、真夏や真冬、新梢の生育期を除く、開花後の3~4月、梅雨の時期、秋の彼岸過ぎが適期となります。

管理

水やり

 庭植えでは、根づいてしまえば、夏の高温期で極端に乾燥するとき以外には、特に必要ありません。

 鉢植えでは、夏は朝と夕方、春と秋は1日から2日に1回程度、冬は乾燥したら水やりします。

肥料

 鉢植えの場合は、開花後、新梢が伸びる前のお礼肥と9月に、粒状肥料「マイガーデン植物全般用」を用土1ℓ当たり5g、鉢土の表面にばらまいて施します。

 庭植えの場合は、1月~2月に寒肥として、粒状肥料「マイガーデン植物全般用」を1m2当たり150g、株のまわりの樹冠下の土に軽くまぜて施します。植え替え、植えつけ直後の施肥は、根を傷める原因となるので、1カ月後に施します。

剪定

 開花後なるべく早い時期に行ないます。ヤブツバキは夏に花芽をつくり始めるので、夏以降の剪定はせっかくできた蕾を切ってしまうことになります。夏前でも遅い時期に剪定すると、新梢が伸びだす時期が遅れ、充実した枝にならないため、花芽がつきにくくなります。

 成株では日が当たらない株の内側の枝、重なっている枝、枯れ枝や強い徒長枝などを枝抜きし、外周部は好みの樹形になるように剪定します。この時、株元から出るひこばえも切り取るようにします。剪定した太い枝の切り口には、殺菌剤「トップジンMペースト」を塗りましょう。剪定して株内への風通しをよくすることで、病害虫にかかりにくくなる効果もあります。

ふやし方

 生産現場では、主に接ぎ木でふやされますが、一般家庭では台木の準備が難しいため、さし木でふやします。

 春に伸びた枝を6月中旬~8月までの間に5~6cmの長さで切り、1時間ほど水揚げし、植物成長調整剤「ルートン」を切り口に薄くまぶしてから、赤玉土や鹿沼土の細粒、またはさし木専用用土にさします。十分に水やりし、乾かさないように日陰に置いて管理します。9月の彼岸過ぎから11月まで、所定の倍率のさらに2倍に薄めた液体肥料「花工場原液」か「花工場有機液肥100」を月2回施し、翌年の5~6月に鉢上げします

病害虫

 チャドクガは、春と夏に黄色い毛のある幼虫が葉裏に群生して葉を食害します。幼虫の毛は有毒で、触れると激しい痛みとかゆみが続きます。殺虫剤「ベニカケムシエアゾール」、「ベニカJスプレー」、「STアクテリック乳剤」、「GFオルトラン液剤」、「家庭園芸用GFオルトラン水和剤」、殺虫殺菌剤「ベニカⅩファインスプレー」、「ベニカグリーンVスプレー」を散布して退治しましょう。幼虫は小さいうちは集団でいますが、大きくなるにつれて分散するので、早いうちに退治することが大切です。


 葉の汁液を吸汁するカイガラムシは、葉が黒いかびで被われたようになるすす病も併発しますので、5月~7月に防除を行います。カイガラムシ類には、殺虫剤「ボルン」、「STアクテリック乳剤」、ツノロウムシには殺虫殺菌剤「ベニカⅩファインスプレー」や「ベニカグリーンVスプレー」を散布します。

 主に新芽に群生するアブラムシには、殺虫剤「STアクテリック乳剤」を散布します。

 春から秋まで発生するハマキムシは、見つけ次第、捕殺します。

 葉に褐色の斑点を生じる炭そ病が見られます。風通しのよい場所で栽培し、症状が見られる葉などは早めに取り除き、殺菌剤「ベンレート水和剤」を散布しましょう。

ムービー紹介

ビデオは、害虫の生態や寄生植物を広くご紹介するものです。ビデオの中の害虫、寄生植物は、必ずしも植物栽培ナビの害虫、植物とは一致しませんので、ご了承ください。

アブラムシの産子
アブラムシの産子

(2分35秒 WMV形式/8.6MB)

アブラムシの雌の尾部から幼虫が産まれてくる様子を拡大顕微鏡で撮影しています。

アブラムシの二次被害
アブラムシの二次被害

(5分26秒 WMV形式/9.1MB)

アブラムシの二次被害として、尾部から出る排泄物がアリを誘引したり、すす病を誘発し、ウイルス病を媒介することを紹介しています。さらに、葉を萎縮させたり、湾曲させ、種類によっては葉に虫こぶ(虫えい)を作るアブラムシもいます。

アブラムシの天敵
アブラムシの天敵

(2分46秒 WMV形式/9.2MB)

ナナホシテントウの成虫や幼虫、クサカゲロウの幼虫がアブラムシを捕食する様子を拡大顕微鏡で撮影しています。

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