4月 京都の伝統野菜

ほとんどの野菜の故郷は海外

スーパーや青果店の店先には、色とりどりのたくさんの種類の野菜が並んでいます。さて、これらの身近な野菜のうち、日本原産の種類はどれかご存知ですか?
じつは、日本原産の野菜は、ウド、セリ、ミツバ、ヤマゴボウなどわずか20種ほどしかありません。たとえば、ふだんの食卓でもおなじみのダイコン。ダイコン原産地は諸説ありますが、地中海沿岸で生まれ、ユーラシア大陸を経由して中国で栽培種ができたとされています。
『和名抄』(923~930)にも記載されているほど日本への渡来は古く、やがて各地へ広まると同時に、その地方独特の品種が確立していきました。

このダイコンと同じく、現在目にする野菜のほとんどが、各国から海を渡って導入されたものです。日本へ伝わった野菜は少しずつ、あるいは急速に各地へ伝播し、その地方ごとの品種として今に残されてきました。これが地方野菜、伝統野菜です。保存食としての漬物や地域ならではの料理が編み出され、長い歴史とともに各地の食文化を支えてきたのです。

京野菜の成立

「地方の伝統野菜」と聞いてまっさきに思い浮かぶのは、京野菜ではないでしょうか。 8世紀に平安京が遷されて以降、京都は文化と交流の中心地として長らくその役割を担ってきました。全国各地から集まってくるさまざまな物品のなかに、人々の食生活を支える野菜類が含まれていたのは、想像に難くありません。

京都の土地に根をおろし、やがては土地になじむべく変異を遂げた野菜は、京料理という独自の食文化を形成するに至ったのです。

伝統野菜の認定とブランド化

しかし時代とともに、栽培のしやすさや流通の都合から、市場に並ぶ野菜は、つくりやすい交配種やF1品種※が主流になっていきます。京都ならではの文化の礎の衰退を食い止めようと、京都府は1974(昭和49)年に「伝統野菜原種ほ設置事業」を、1987(昭和62)年に「京の伝統野菜」として現在までに絶滅種を含む41品目を認定し、正確には「京都府内全域で栽培されるもの」などと定義しています。
以降、自治体や各団体が規定を設け、京都の伝統野菜のブランド推進事業が開始されると、認定マークつきの青果が流通するなど、京都の伝統野菜は一躍有名になりました。今では珍しくなくなった地域産物のブランド化ですが、京都の伝統野菜は、その先陣だったといえるでしょう。
(※F1品種 「一代交配種」「F1ハイブリット」「雑種第一代」などと呼ばれる品種改良をした「種」のことです。)

歴史とともに脈々と受け継がれてきた京都の伝統野菜。現在、大手量販店では京都のブランド野菜として青果が並ぶほか、一部は「京都の固定種」として、タネや苗が市販されています。園芸店や通販などで探して育ててみましょう。

代表的な京都の伝統野菜

加茂なす

深い黒紫色をした大型の丸ナスで、古くから京都市内で栽培されていたものが原型とされています。晩生種で最盛期は7月中~下旬。果実はよく締まっていて皮はやわらかく、煮物、炒め物のほか田楽、しぎ焼きなど、おばんざいに欠かせません。

鹿ヶ谷(ししがたに)かぼちゃ

銀閣寺にほど近い鹿ヶ谷地域で栽培されていたものに起源する、日本カボチャ。本来は菊座型だったものからヒョウタン型を選抜した結果、この形状になったそう。よく詰まった緻密な肉質で、粘りがあります。

壬生菜(みぶな)

京都市西南部で栽培されてきたツケナ類で、深い切れ込みをもつ水菜、幅が狭いへら状の葉をもつ壬生菜があります。なお、壬生菜は水菜の変種で、京都市壬生地区で栽培されていたことが、この名の由来です。

九条葱

京都市伏見区の稲荷神社建立の際に栽培が興ったとされる、代表的な葉ネギです。東日本の長ネギとは違い軟白部分が少なく、甘味とやわらかさが身上。味噌汁や薬味、和え物、鍋物にはなくてはならないネギです。

伏見唐辛子

辛味が少ない甘トウガラシで、江戸時代から京都市の伏見稲荷付近で栽培されていた記録が残っています。焼き物、煮物、炒め物のほか、葉は佃煮にされます。本種とピーマンの交雑種が「万願寺唐辛子」で、京の伝統野菜に準じる位置づけとなっています。

参考文献:『日本のふるさと野菜』(社団法人 日本種苗協会刊)
写真:アルスフォト企画

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