植物栽培ナビさつまいも(かんしょ)【地植え】の育て方

監修  恵泉女学園大学教授 藤田智
基本情報
基本情報
科名属名
原産地
分類
栽培のスタート
日照条件
生育適温
水やり
特徴
樹高
種まき期
植えつけ期
開花期
収穫期
植えつけから収穫までの期間
開花から収穫までの期間
豆知識

サツマイモは炭水化物を多く含み、エネルギー源となります。そのほか、カリウム、ビタミンE・C、食物繊維が多く、高血圧、便秘の予防になるといわれています。
 なお、炭水化物のなかに、消化・吸収されにくい物質が少量含まれており、これがガスの原因になるともいわれます。また、サツマイモの皮に含まれるミネラルに、糖質の異常発酵を抑える効果があるとされ、バターなどの脂肪分を一緒にとることで、ガスの発生が軽減されるそうです。

サツマイモは、天ぷら、煮物、汁もの、大学イモ、裏ごししてきんとん、チップスなど、幅広く利用できるのも魅力です。焼イモにする場合は、低温(70〜80℃)でゆっくり加熱すると、でんぷんを分解する酵素が活発に働き、甘味が増加します。

作型や品種の特徴:サツマイモにはしっとりなめらかな粘質タイプと、ホクホクした食感の粉質タイプに分けられます。
[粉質タイプ]「高系14号」「ベニアズマ」など。
[粘質タイプ]「べにまさり」種子島産の安納芋の選抜品種など。
[そのほか]皮が白い「コガネセンガン」などは、焼酎や干し芋用に多く見られます。紫色の「パープルスイートロード」や、オレンジ色の「アヤコマチ」など、カラフルな品種もあります。

栽培カレンダー

カレンダーは拡大してご覧ください。

準備と植えつけ

準備

使用するもの

・苗(さし穂。もしくはポット苗)
・クワ、またはスコップ
・完熟牛ふん堆肥
・肥料(粒状肥料「マイガーデン粒状肥料」、「マイガーデンベジフル」などの元肥)
・移植ゴテ
・ポリマルチ(黒)
・ジョウロ

 

ワンポイント

連作の害が少ないといわれていますが、長期間に繰り返しつくると地力が低下し、土壌病害虫の発生も多くなる傾向にあるので、できるだけ輪作を心がけましょう。

植えつけ方

植えつけ適期:関東地方以西 5月中旬〜6月中旬
①植えつけの1週間前に、畝幅60cm、高さ30cmの畝をつくり、1㎡当たり完熟牛ふん堆肥を2kgと粒状肥料を畝の中央に施します。
②地温が上がって初期の生育を促され、収量も増加するので、畝にポリマルチを張ると効果的です。
③苗の植え方は、イラストのように「ななめ植え」と「舟底植え」があります。

 

ななめ植え。株間30cmをとり、長さ30cmの棒を斜め45°で土にさして穴をあけ、苗の3~4節を埋めて土をしっかり押さえて水やりをする。

 

④苗は、成長点を土に埋めないように注意し、長さの3/4を目安に3~4節を植えましょう。たっぷり水やりをして完了です。

 

舟底植え。深さ5~6cmの舟底のような形の穴を手で掘り、苗を据える。苗の3~4節が隠れるように土をかけ、しっかり押さえて水やりをする。

 

 

栽培管理

管理

使用するもの

・ジョウロ
・園芸用ハサミ
・手グワ

 

ワンポイント

ポリマルチを張って植えた場合は、穴の部分だけ中耕します。

置き場所

 

風通しのよい日なたを選んで植えつけます。

 

水やり

 

葉がしおれるようなら、たっぷりと水やりします。水やり回数の目安は以下です。5〜6月 5〜10日1回、7月〜8月中旬 3〜7日1〜2回

 

間引き・土寄せ

 

植えつけから3週間後、つるがのび始めます。畝の表面の除草と中耕を兼ねて、手グワなどで株元へ土寄せします。

 

整枝と誘引

 

植えつけから2カ月後、つるが畝を覆って四方へ広がってきたら、畑や菜園の空いている方へつるを動かしてつる返しします。

 

ワンポイント

チッ素分が多過ぎると、いわゆる「つるぼけ」を起こし、落果の原因になるので多肥にしないよう注意します。

収穫

10月上旬~11月中旬、霜が下りる前に、収穫しましょう。茎や葉が黄色くなり始めたら収穫適期です。‘ベニアズマ'などの早生品種は、早めに収穫できます。

 収穫の方法は、まず茎を、地際から15㎝の位置にハサミやカマなどを入れて切り離します。次に、株元から15~20cm離れた所にスコップをさして、イモを掘り上げます。さらに、つるのつけ根を持って、土中から引き抜きます。
また、収穫後は、イモを4~5日間、風通しのよい日陰で干すと、甘味が増します。

ワンポイント

サツマイモは低温障害を起こすので、冷蔵は避けましょう。貯蔵の適温は13~15℃で、温度が高いと発芽してしまいます。晴れた日に掘り上げて陰干しし、紙に包んでから発泡スチロールの箱に入れ、10℃以下にならない場所で貯蔵します。

監修  恵泉女学園大学教授 藤田智
1959年、秋田県生まれ。岩手大学農学部、岩手大学大学院終了。恵泉女学園短期大学助教授を経て、現在、恵泉女学園大学人間社会学部人間環境学科教授(専門は、野菜園芸学、農業教育学)。
女子栄養大学、横浜国立大学非常勤講師。
NHK趣味の園芸・やさいの時間講師、NHKラジオ夏休み子供科学電話相談回答者(植物)、日本テレビ世界一受けたい授業講師(野菜)。
著書は、「野菜づくり大図鑑」(講談社)、「キュウリのとげはなぜ消えたのか」(学研新書)、「ベランダ畑」(家の光協会)  など多数あり。

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