植物栽培ナビレモン【地植え】の育て方

監修  宮崎大学農学部教授 國武 久登
基本情報
基本情報
科名属名
原産地
分類
栽培のスタート
日照条件
生育適温
水やり
特徴
樹高
種まき期
植えつけ期
開花期
収穫期
植えつけから収穫までの期間
開花から収穫までの期間
栽培カレンダー

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準備と植えつけ

準備

種類・品種選びのポイント

 レモンは、原産地がインドとその周辺であるために、降水量が少なく、暖かい気候を好みます。そのためやや寒さに弱いのですが、最低気温が3℃までなら耐えることができるので、瀬戸内地方以西の平野部なら庭植えで育てることができます。‘リスボン'や‘マイヤーレモン'などの寒さに強い品種を選んで鉢植えにし、冬の管理を適切に行なえば、関東地方以西の平野部でも十分に楽しむことができます。

育て方のコツ

レモンは、基本的には花が咲きやすい種類で、1年生の接ぎ木苗なら3~4年で多くの果実がつくようになります。花が咲かないということであれば、管理の基本を確認してみましょう。まず、植えつけには、水はけと水もちがよく、有機物を多く含んだ用土を使い、日当たりのよい場所に置くことが大切です。

 また、年間を通して肥料を切らさないようにすること、夏に用土を絶対に乾かさないようにすることが重要です。

 このような基本的な管理ができているのに花が咲かないということであれば、樹勢が強すぎるために花芽がつかないということが考えられます。上向きにのびた枝を下方向に誘引して樹勢を落ち着かせると、花芽がつきやすくなります(図参照)。

 

植えつけ方

植えつけ

 レモンは、秋から翌春にかけて1~2年生の接ぎ木苗が販売されます。植えつけ適期は3月中旬~4月中旬です。実つき苗を購入した場合は、収穫を終えたあと、春を待って植え替えるとよいでしょう。

 庭植えの場合は、日当たりと水はけがよく、強風が吹きつけない場所を選びます。直径、深さとも50cm程度の植え穴を掘り、掘りあげた土5、腐葉土3、赤玉土の小粒2に1株当たり300g程度の粒状肥料「マイガーデンベジフル」をよく混合し、用土の半量から2/3量程度を植え穴に戻します。次に、苗木の根鉢を崩して、根を広げて苗を据えてから用土を入れます。その際、接ぎ木部分が埋まらないように浅植えにすることがポイントです。さらに、苗木を高さ50cm程度で切り詰め、支柱を立てます。最後に十分に水やりします。

 なお、かいよう病を防ぐために、庭植えならビニールシートなどで雨よけを設置します。鉢植えなら、軒下などに移動させましょう。

 また、暖地以外で庭植えに挑戦する場合には、遅くとも11月には寒冷紗を二重に巻くなどの防寒対策を忘れずに行ないます。

 

栽培管理

管理

水やり

 鉢植えのレモンは、基本的には鉢土の表面が乾いたら水やりします。ただし、夏は乾燥しやすく、いったん水を切らすと簡単に落葉してしまうので、1日2回は水やりします。

 庭植えでは、植えつけ1年目は定期的に水やりしますが、根が活着した2年目以降は、水やりはほとんど不要です。

肥料

 レモンは肥料をたくさん必要とするので、温州ミカンなどよりもやや多めに施肥し、1年を通して肥料切れさないことがポイントです。

 鉢植えの場合、基本的には年4回の施肥が必要です。まず、寒肥として2~3月に施し、さらに追肥として6月、9月、11月に肥料を施します。2年生以下の苗であれば、元肥として粒状肥料「マイガーデンベジフル」を1株当たり300g程度施し、さらに追肥として前出の時期に1株当たり75g程度を株元にばらまいて施しましょう。なお、施肥量は、成木になるにつれて徐々にふやします。また、葉の色が悪く、樹勢が弱っている時は、液体肥料が効果的です。液体肥料「マイガーデン液体肥料」、「花工場原液」を250倍に薄めたものか、「ベジフル液肥」を1000倍に薄めたものを、2週に1回、株全体にかけて施します。1カ月程度で樹勢が回復します。

仕立て方と剪定

カンキツ類の整枝剪定は、2~3月に行ないます。レモンは半円形(図参照)や主幹形に仕立てるのがおすすめです。1~3年目の苗木は、病害虫にあった枝、前年の秋に伸びた枝、充実していない枝などを切り詰めて樹形を整え、株の内側に光が当たるように側枝を開くようにします。2年目の春には、いくつかの新梢が出てきていますが、2~3本の強い枝を選んで伸ばし、先端から1/3程度で枝を切り詰めます。下枝はすべて基部から切り落とすとよいでしょう。樹形がある程度できあがった4年目以降は、主に間引き剪定を中心に行いましょう。

 

収穫

収穫

 春に咲いた花は、およそ6カ月で収穫期を迎えます。色で判断すると果汁が少ないものもあるので、ゴツゴツした皮がなめらかになったら、収穫するようにしましょう。温暖な地方を除いて、12月までに収穫を終えた方が安全です。また、成熟させすぎてしまうと酸味がなくなるので注意しましょう。

 直径が5cmぐらいになった果実は、果実が青くても香りが高く、皮を刻んでサラダに入れたり、料理や飲み物の香りづけにも最適です。

監修  宮崎大学農学部教授 國武 久登
1963年、福岡県久留米市生まれ。佐賀大学農学部、千葉大学大学院自然科学研究科修了、学術博士(植物育種学)。佐賀県農業試験研究センター研究員、東海大学農学部助教授を経て、現在、宮崎大学農学部応用生物科学科教授(専門は、植物遺伝育種学、果樹園芸学)。宮崎大学大学院博士課程農学工学総合研究科教授、東海大学大学院非常勤講師を兼任。
カンキツやブルーベリーなどの果樹の品種改良や増殖に関して研究中。また、美味しい家庭果樹の栽培や普及も手がける。著書に、「新版・園芸相談 家庭果樹」、「育てて味わう!まるごとベリー」、「よくわかる栽培12ヶ月 ラズベリー、ブラックベリー」など多数あり。

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