植物栽培ナビすもも【地植え】の育て方

監修  宮崎大学農学部教授 國武 久登
基本情報
基本情報
科名属名
原産地
分類
栽培のスタート
日照条件
生育適温
水やり
特徴
樹高
種まき期
植えつけ期
開花期
収穫期
植えつけから収穫までの期間
開花から収穫までの期間
豆知識

鉢やコンテナで育てるときは

 モモの鉢栽培では、10号(直径30cm)程度の大きさの鉢を使用します。用土には、完熟腐葉土、川砂、赤玉土(中粒)、バーク堆肥を3:2:2:2で配合して利用します。その用土1ℓあたり8g程度の粒状肥料「マイガーデンベジフル」と適量の苦土石灰をよく混合し、植えつけます(イラスト参照)。植えつけ後はしっかりと水やりし、樹高の30cm程度の位置で切り詰め、支柱を立てます。置き場所は、風が直接あたらない日なたがよいでしょう。水やりは、真夏は1日2回たっぷりと与え、それ以外の時期は、鉢土の表面が乾いたら与える程度で十分です。なお、鉢栽培では植えつけから3年も経つと鉢土の中に根が回ってしまいます。2年に1回は冬の休眠期のうちに植え替えましょう。植え替えに使用する用土は、植えつけ時と同じものでかまいません。

栽培カレンダー

カレンダーは拡大してご覧ください。

準備と植えつけ

準備

品種選びのポイント

‘太陽’や‘大石早生’などの品種は、作りやすく、大果で、酸味が少なく糖度が高い美味しい品種です。しかし、スモモ品種の多くは1本では結実しない性質をもっており、受粉樹が必要となります。庭が狭くて、2本の植栽が難しい方には、花粉が多く、1本でもよく結実する‘サンタローザ’ ‘メスレー’などがお勧めです。しかし、‘ビューティー’と‘メスレー’や‘ソルダム’と‘メスレー’の組み合せは結実しにくくなるので注意しましょう。

育て方のコツ

 スモモは、受粉がうまくいくと、たくさんの果実が着きます。このままだと、株の負担が増し、それぞれの果実が養分を奪い合うことで、大きな果実にはなりません。そこで、果実が親指ぐらいになる開花約1ヶ月後から摘果を開始します。上を向いて着いているもの、傷があるもの、軸が長いもの、虫に食害されたものから取り除きます。その後、2週間ぐらい経ってから、2回目の摘果を行ないます。最終的には、品種によって多少違いますが、枝10~15cmごとに1個の果実が着くようにしましょう(イラスト参照)。次に、果実吸蛾類やシンクイムシの防除や裂果を防止するために、袋かけを行ないます。

 

植えつけ方

植えつけ

庭植えは、風通しがよく、水はけのよい日なたを選びます。植え穴は直径60cm、深さ50cm程度とし、掘り上げた土、赤玉土(大粒)、完熟腐葉土を5:3:2の割合で混合し、1株あたり300g程度の粒状肥料「マイガーデンベジフル」と苦土石灰を適量施し、根を広げて深植えにならないように植えつけます。次に枝は50~60cmの長さで切り戻し、しっかりとした支柱を立てましょう。最後はたっぷりと水を与えます。3~4年生の大苗はすでに花芽をもっていることがあり、早い時期に開花が始まるので、年内に植えつけを終了したほうがよいでしょう。

 

栽培管理

管理

水やり

 庭植え、鉢植えともに、根が活着したら水やりは控えめのほうがよく育ちます。特に、果実成熟期は水やりを抑えることで、甘い果実をならせることができます。

肥料

 スモモの花芽形成は8月から9月に行なわれます。この時期に窒素分が土壌に多く残っていると、栄養成長が促進され、枝ばかりがのび、花芽がつかなくなるため、施肥は控えめにすることが重要です。肥料は、開花前の1月から2月と収穫後の9月(お礼肥)に、粒状肥料「マイガーデンベジフル」を1株あたり75g程度施しましょう。また、11月から12月に有機質肥料を施しましょう。3~4年が経過して、結実するようになったら、特に「お礼肥」が大切です。株元から半径60cm程度の範囲に肥料をまき、すき込みます。これで、株の消耗が解消され、来年の結実がよくなります。

仕立て方と剪定

 スモモの花芽は、前年にのびた長果枝、中果枝、短果枝に葉芽とは別々に着きます。特に、短果枝によく果実をつけるので、長く伸びた長果枝は12月に切り戻し、翌年に花芽をつける短果枝を多く発生させるような剪定を行ないます。

 鉢植えを例にとると、植えつけて1年目の冬は、主幹から発生する枝の先端を1/3程度切り戻し、混み合った枝はつけ根まで切り詰めます。2年目以降は、6月の夏期剪定も併用し、徒長枝や混み合った枝を間引き、長い枝の先端を切り詰め、日がよくあたるようにします。その際、主枝となる枝を開くように、針金などで誘引するとよいでしょう。その後の剪定では、間引き剪定を主として行ない、3~4年に1回大きく切り戻し、最終的にコンパクトな主幹形に仕立てていくのが理想です。

 剪定後の切り口、及び傷口のゆ合促進には、殺菌剤「トップジンMペースト」を剪定整枝時の枝の切り口に塗布します。

 

収穫

収穫

 収穫が早いと酸味が強いので、果皮がしっかりと色づき、完熟してから収穫しましょう。袋がけをしたものは収穫1週間前に袋を取り外し、果実が色づいたら収穫します。

監修  宮崎大学農学部教授 國武 久登
1963年、福岡県久留米市生まれ。佐賀大学農学部、千葉大学大学院自然科学研究科修了、学術博士(植物育種学)。佐賀県農業試験研究センター研究員、東海大学農学部助教授を経て、現在、宮崎大学農学部応用生物科学科教授(専門は、植物遺伝育種学、果樹園芸学)。宮崎大学大学院博士課程農学工学総合研究科教授、東海大学大学院非常勤講師を兼任。
カンキツやブルーベリーなどの果樹の品種改良や増殖に関して研究中。また、美味しい家庭果樹の栽培や普及も手がける。著書に、「新版・園芸相談 家庭果樹」、「育てて味わう!まるごとベリー」、「よくわかる栽培12ヶ月 ラズベリー、ブラックベリー」など多数あり。

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