植物栽培ナビかき【地植え】の育て方

監修  宮崎大学農学部教授 國武 久登
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基本情報

基本情報
科名属名
原産地
分類
栽培のスタート
日照条件
生育適温
水やり
特徴
樹高
種まき期
植えつけ期
開花期
収穫期
植えつけから収穫までの期間
開花から収穫までの期間
豆知識

鉢やコンテナで育てるときは

 カキを鉢栽培して、コンパクトに仕立て、果実や紅葉を楽しんでいる方がふえています。鉢植えの用土には、赤玉土3、鹿沼土3、腐葉土3、川砂1を混合したものを使用します。用土1ℓ当たり5g程度の粒状肥料「マイガーデンベジフル」をよく混合したものに植えつけましょう。

 植えつけ後の鉢栽培のポイントは水やり、施肥、そして剪定です。まず、カキは乾燥に極めて弱く、根を傷めるので、成長期の5~9月は朝夕2回、たっぷりと水やりしましょう。冬は、土の表面が乾いたら水やりする程度です。施肥は前述したように、寒肥、追肥(実肥)、お礼肥を必ず施用します。さらに、剪定は主となる3~4本程度の枝を残します。毎年、その先端1/3程度を切り詰め、側枝についた1~2個の花芽を残し、先端は切り戻します。枝が混んできたら、交差している枝や平行に伸びる枝を切り、樹内にも日光がよく当たるようにします。このような作業を繰り返すことにより、コンパクトな樹形を維持しながら、毎年結実できるようになります。

やってみよう! お酒を使って簡単渋抜き。

 自分で作った渋柿を脱渋処理して、家族で食べるのも家庭果樹ならではの魅力でしょう。前述したように、渋みの原因はタンニンという物質です。「渋抜き」の作業というのは、渋の原因であるタンニンを取り除いてしまうのではなく、口の中の舌にある、渋みを感じる器官と渋がふれないように、渋を不溶化することで、渋く感じるのを防ぎます。渋抜きの方法は、アルコール、炭酸ガス(CTSD法)、樹上・包装脱渋法等があります。また、ドライアイスを使用する方法もあります。ここでは、家庭で簡単にできるアルコール脱渋法を紹介します。35%の焼酎を果実のヘタの部分に漬け、皮についた焼酎はティッシュペーパーなど軟らかいものでそっと拭き、ビニ-ル袋に入れて密封します。ウィスキ-などほかの酒を使っても可能で、違った風味が楽しめます。日光が直接袋に当たらないように、20℃前後の室内に置くと、7~14日で、渋の抜けた美味しいカキができあがります。温度や種類により、渋抜けの日数が変わるので、時々観察してみることをおすすめします。

栽培カレンダー

カレンダーは拡大してご覧ください。

準備と植えつけ

準備

種類・品種選びのポイント

 カキの品種は、渋みの有無で「甘柿」と「渋柿」に分けることができます。カキの渋みは、シブオールというという成分(タンニン)が原因です。このタンニンが可溶姓(水に溶ける)か不溶性(水に溶けない)であるかが、渋みを感じるか感じないかのポイントになります。

 このようにカキは種類によって大きな違いがあるので、好みで「渋柿」にするか、「甘柿」にするか、品種を選びましょう。甘柿の主要な品種には、‘ 富有'、‘次郎'、‘伊豆'などがあります。一方、渋柿の主要な品種には、‘平核無'、‘西条'、‘愛宕'などがあります。最近、完全甘柿で、果実が非常に大きい‘太秋'という品種が人気です。

育て方のコツ

 カキは雌雄異花という特性を持っており、雌花と雄花があります。ほとんどの品種は、雄花をつけませんが、受粉しなくても果実がなる単為結果性という性質を持っているので、1本でも実がなります。

 一般的には、渋柿は甘柿よりも単為結果性が強い傾向があり、受粉しなくても実がなります。しかしながら、渋柿を含めて甘柿は、受粉樹があればタネの数がふえ、渋のぬけなど果実の品質がよくなります。‘禅師丸'のように雄花をつける品種を受粉樹として混植し、人工受粉をすると、確実に品質のよい果実をつけさせることができます。

 さらに、カキの自家栽培で注意をしたいのは、摘蕾、摘果です。剪定作業とともに、この作業は、隔年結果(なり年と不なり年が交互にくる現象)を防止し、品質のよい果実が収穫できるようになります。蕾がはっきり確認できるようになった5月に密集した蕾を取りましょう。また、生理落果が終了する7月中旬以降に、葉15~20枚を目安に、上向きやヘタが小さい果実を除きましょう。病害虫の被害を受けた実は、最初に摘果します。

 

植えつけ方

植えつけ

 植えつけは、11~3月の休眠期が適します。寒冷地では極寒期の1月を避け、3月の春植えにしましょう。暖地では、秋植えの方が植え傷みが少なく、あとの成長もよいようです。

 植え場所は、日当たりのよい場所を選び、土はやや粘土質で、腐植質の多いものが適しています。植えつけは、まず深さ50cm、直径50cm程度の穴を掘り、掘りあげた土に腐葉土を多めに混ぜて、粒状肥料「マイガーデンベジフル」(1株あたり200g程度)を入れて埋め戻します。残りの土を入れ、根を広げるようにして丁寧に植えつけましょう。地上部は60cm程度で切り戻し、支柱を添えます。最後に、たっぷりと水やりします。乾燥しやすい場合は、株元へ敷わらなどでマルチングし、乾燥による植え傷みを少なくしましょう。

 

栽培管理

管理

水やり

 カキは乾燥に極めて弱く、根を傷めるので、鉢栽培の場合は、成長期の5~9月は朝夕2回、たっぷりと水やりしましょう。冬は、土の表面が乾いたら水を与える程度です。

 一方、庭植えの場合は、植えつけ後、しばらくは土の表面が乾いたら水やりする程度で、活着後はほとんど水やりの必要はありません。

肥料

 12月に油かすなどの有機質肥料、または粒状肥料「マイガーデンベジフル」200g程度を寒肥として施し、追肥として7月に粒状肥料「マイガーデンベジフル」(100g程度/成木)、収穫後にお礼肥として同様の肥料(100g程度/成木)を施します。基本的には窒素肥料を少なめに施し、特に着果量が少なく、栄養枝が多く出ている場合の追肥は、控えめにしましょう。肥料分が多過ぎると、花芽分化が抑えられ、隔年結果を促進することになります。

 鉢栽培では、同様の時期に、粒状肥料「マイガーデンベジフル」を用土1ℓ当り5g程度を鉢の縁近くに施しましょう。

剪定

カキは無剪定で育てると、前述した「隔年結果」という現象が出てきます。隔年結果を防止するためには、毎年きちんと剪定することが重要です。剪定の適期は1月です。仕立て方は開心自然形が多いようです。主幹を短くして、そこから3本の亜主枝を出し、側枝1をバランスよく出していきます。枝の先端を切り戻して、不要な枝は間引きながら仕立てていきます。カキは新梢の先端とその下2~3芽に花芽(混合花芽)がつきます。翌年のこの花芽から、新梢が伸びて開花、結実します。したがって、前年に伸びた枝の先端を短く剪定してしまうと、実がつかなくなるので注意が必要です。枝が混みすぎている場合は、果実のない枝、徒長枝など、結果枝の妨げになっているものは間引き剪定します。剪定後の切り口や傷口のゆ合促進には、殺菌剤「トップジンMペースト」を剪定整枝時に枝の切口に塗布します。

 

 

収穫

収穫

 果実がオレンジ色に色づいてきたら、収穫の目安です。‘富有'は11月上~中旬、‘太秋'は11月中~下旬、‘平核無'は10月下旬~11月上旬が収穫時期です。

 また、果実を収穫せずにそのまま樹につけておくと、樹の養分が使われて、次の年の生育に悪い影響を及ぼすので、必ず収穫しましょう。

監修  宮崎大学農学部教授 國武 久登
1963年、福岡県久留米市生まれ。佐賀大学農学部、千葉大学大学院自然科学研究科修了、学術博士(植物育種学)。佐賀県農業試験研究センター研究員、東海大学農学部助教授を経て、現在、宮崎大学農学部応用生物科学科教授(専門は、植物遺伝育種学、果樹園芸学)。宮崎大学大学院博士課程農学工学総合研究科教授、東海大学大学院非常勤講師を兼任。
カンキツやブルーベリーなどの果樹の品種改良や増殖に関して研究中。また、美味しい家庭果樹の栽培や普及も手がける。著書に、「新版・園芸相談 家庭果樹」、「育てて味わう!まるごとベリー」、「よくわかる栽培12ヶ月 ラズベリー、ブラックベリー」など多数あり。

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