植物栽培ナビりんご【地植え】の育て方

監修  宮崎大学農学部教授 國武 久登
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基本情報

基本情報
科名属名
原産地
分類
栽培のスタート
日照条件
生育適温
水やり
特徴
樹高
種まき期
植えつけ期
開花期
収穫期
植えつけから収穫までの期間
開花から収穫までの期間
豆知識

鉢やコンテナで育てるときは

リンゴの鉢栽培では、10号(直径30cm)程度の大きさの鉢を使用します。用土には、赤玉土中粒6、腐葉土2、鹿沼土(またはボラ土)2に、その用土1ℓ当たり5g程度の粒状肥料「マイガーデンベジフル」をよく混合したものを使い、植えつけます。 植えつけ後はしっかりと水やりを行ない、樹高の30cm程度の位置で切り戻し、支柱を立てます。 仕立て方は、木の内部に光が当たるようにします。交差した枝や平行な枝は、どちらか1本残し、勢いよく伸びている枝が元から切り詰めます。

  • 置き場所は、風が直接当たらない日なたがよいでしょう。
  • 水やりは表面が乾き始めたら行ないます。

 なお、植えつけて3~4年経つと樹勢が落ち、花がつかなくなります。11〜3月の間に、鉢から抜いて根鉢をくずし、古い根を切って、同じ用土で1回り大きな鉢に植え替えます。

栽培カレンダー

カレンダーは拡大してご覧ください。

準備と植えつけ

準備

品種選びのポイント

家庭果樹としては早生品種がよく、豊産性で早くから果実をつける‘さんさ’、‘祝’、‘つがる’などの品種がおすすめです。
 最近「バレリーナ・タイプ」とか、「カラムナー・タイプ」と呼ばれる系統群があります。もともとは、カナダのウイジック氏のリンゴ園で、‘旭’という品種の枝変わりとして選抜された特殊な樹形をした系統群です。この系統は、側枝や節間の長さが普通の栽培品種に比べて極めて短く、枝が横に成長することがないので、極細円筒形(棒状)の樹形に生長する特性をもっています。そのために、剪定や収穫作業が非常に簡単に行うことができます。
 しかも、この性質は後代に遺伝するということもわかり、現在世界各地で「カラムナー・タイプ」の品種育成が試みられています。日本には、‘メイポール’、‘ワルツ’、‘ポルカ’、および‘ボレロ’という品種がよく出回っています。‘メイポール’は、果実は小さいのですが、花も果実も濃い赤になる品種で見ばえがします。‘ワルツ’は、「カラムナー・タイプ」のなかではもっとも食味のよい品種です。‘ポルカ’、は暖地向きで、よく着色します。‘ボレロ’は緑色にほんのり紅がつく程度の果実です。これらの品種はすべて晩生であり、9月下旬~10月上旬に収穫できます。

育て方のコツ

ほとんどの品種では自分の花粉では結実しにくく、2種類以上の品種を混植することが重要です。人工受粉は、ほかの果樹と同じように、違う品種の花粉を集め、綿棒や耳かきのような受粉棒を使って行ないます。そのときに注意しなければいけないのが、組み合わせです。

品種名 適する受粉樹
千秋

ふじ、祝

つがる、千秋


 一方、‘陸奥’、‘ジョナゴールド’、‘北斗’などの3倍体品種は、ほとんど活性のある花粉がでないので、使用することができません。
また、花粉は、採取しておけば、室温でも数日は大丈夫です。冷蔵庫で保存すれば、開花の遅い品種でも受粉に使うことができます。 

 

植えつけ方

植えつけ

リンゴの植えつけは、厳冬期を除く11〜3月が適期です。

 庭植えでは、水はけがよい日なたが適しています。接ぎ木苗は、根が多く、大きな芽のついたしっかりしたものを選びましょう。特に、暖地では西日が強く、乾燥しやすい場所は避けましょう。

 庭植えではまず、直径50cm、深さ50cm程度の穴を掘り、掘り出した土5、腐葉土3、赤玉土2の混合土に、1株あたり200g程度の粒状肥料「マイガーデンベジフル」をよく混ぜたもので植えつけます。接ぎ木部分が地上部に出るようにし、深植えにならないように気をつけます。さらに、樹高70cm程度の部分で切り戻し、支柱を立てて固定します。最後に、水をしっかりやればできあがりです。

 

栽培管理

管理

水やり

庭植えでは、活着後の水やりはほとんど必要はありません。暖地では、晴天が続いて土の表面が乾いていたら、水を与えましょう。特に、開花から着果までの期間は、乾かし過ぎないように注意が必要です。

肥料

施肥は年2~3回が基本となり、元肥として11~12月に有機質肥料、または粒状肥料「マイガーデンベジフル」を1株あたり300g程度を施し、追肥として3~4月に粒状肥料「マイガーデンベジフル」を1株あたり50g程度施すようにします。

仕立て方と剪定

リンゴは、枝つくりがしやすく、樹形の美しさを楽しめる種類です。一般的には、「側枝水平仕立て」がおすすめです。この仕立て方は、主幹となる枝を決め、支柱を立てて、ひもなどを使いながら、新梢を水平に開きながら誘引します。枝を水平にすることにより花芽がつきやすくなります。
 リンゴは2年枝の先端とそのわき、または、3年枝についた短果枝の先端に花芽がつき、充実した果実がなります。そこで、短果枝は切らず、主枝の先端や長果枝を元から剪定します。また、交差している枝、古い枝、徒長枝だけを剪定し、全体のバランスをとってください。

 剪定後の切り口、及び傷口のゆ合促進には、殺菌剤「トップジンMペースト」」を剪定整枝時の枝の切り口に塗布します。

摘果と袋かけ

美味しい果実をならせるには「摘果」が重要です。果実が多すぎると果実が小さくなり、木が疲れて隔年結果を助長します。
 摘果の目安は、大玉品種で5~6花房で1果、中玉品種では3~4花房に1果を残すようにします。
なお、摘果は2回行ないます。1回目は開花後2~3週間後に、中心花(果)を残し、側花(果)はすべて除去します。

 1回目に残した果実の中から形の悪いものや病害虫に侵された果実などを取り除くようにします。摘果後は病害虫を防ぐために、「袋かけ」を行ないます。特に、「袋かけ」は、炭そ病、輪紋病などの病気、シンクイムシなどの害虫を防ぐことができます。

 

収穫

収穫

日当たりのよい樹冠周辺から、徐々に樹冠内部の果実を収穫していきます。赤系の品種は収穫1カ月前に袋をはずし、光に当てて赤色を濃くしていきます。十分に色づいたものから、収穫していきます

監修  宮崎大学農学部教授 國武 久登
1963年、福岡県久留米市生まれ。佐賀大学農学部、千葉大学大学院自然科学研究科修了、学術博士(植物育種学)。佐賀県農業試験研究センター研究員、東海大学農学部助教授を経て、現在、宮崎大学農学部応用生物科学科教授(専門は、植物遺伝育種学、果樹園芸学)。宮崎大学大学院博士課程農学工学総合研究科教授、東海大学大学院非常勤講師を兼任。
カンキツやブルーベリーなどの果樹の品種改良や増殖に関して研究中。また、美味しい家庭果樹の栽培や普及も手がける。著書に、「新版・園芸相談 家庭果樹」、「育てて味わう!まるごとベリー」、「よくわかる栽培12ヶ月 ラズベリー、ブラックベリー」など多数あり。

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