植物栽培ナビしゃくなげの育て方

監修  園芸研究家 倉重祐二
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基本情報

基本情報
科名属名
原産地
分類
栽培のスタート
日照条件
生育適温
水やり
特徴
樹高
種まき期
植えつけ期
開花期
収穫期
植えつけから収穫までの期間
開花から収穫までの期間
豆知識

品種紹介

 栽培の成功の第一歩は品種の選択です。日本の低地に自生するカラムラサキツツジ(有鱗片シャクナゲ)を交配親とした‘吉野 ’や‘春一番 ’は、非常に丈夫でツツジと同じようにほとんど手をかけなくても、毎年よく開花します。樹高は2m位になりますが、株が横に広がらないので、思ったよりも場所を取りません。

 また、シャクナゲも比較的栽培が容易です。10年で2mほどになる品種が多いですが、ヤクシマシャクナゲの交配種なら樹高1mほどにしかならず、小山状の樹形となります。

 

‘貴婦人 ’

 日本で育成された品種で、ラベンダー色の花が美しい。暑さにも強く、育てやすい。

 

‘越の炎 ’

 庭植えに適した、栽培しやすい品種。赤色でフリルの入る花が美しい。

 

‘プレジデント・ルーズベルト ’

 古くから栽培されている、斑入り葉の人気品種。花は紅色で中心が白色。

 

‘黄山クレスト ’

 黄色いシャクナゲは珍しく、育てにくい品種が多いが、日本で改良された本品種は、濃い黄色の花で育てやすい。

 

‘モーニング・マジック ’

 ヤクシマシャクナゲの交配種で、蕾は赤で、開くと白色に変化する。栽培は容易。

栽培カレンダー

カレンダーは拡大してご覧ください。

準備と植えつけ

植えつけ方

植えつけ

 シャクナゲを枯らしてしまうのは、夏の水不足が原因のことが多いようです。これは、市販されているシャクナゲには、極めて水はけがよい用土が使われているためです。開花後に植え替えて、用土を一般家庭での栽培に適したものに取り替えましょう。

 まず、根鉢を1/3ほど崩し、赤玉土小粒、鹿沼土、ピートモス、バミキュライトを4:2:3:1で混合したものか、山野草用土と赤玉土を等量で混合したもので植え替えます。適期は、開花後のなるべく早い時期で、新芽が伸び出す前の5~6月です。

 庭への植えつけは、水はけがよく、腐植質に富んだ場所を選びます。西日が当たらない半日陰の場所が適します。鹿沼土や軽石などの用土に植えられている場合は、根鉢を半分以上崩して、植えつける用土に根が十分なじむようにします。そのまま植えつけると、根が外側に伸びていきません。シャクナゲの根は酸素を好み、地表近くにたくさんの細い根を張るので、根の上部が見えるぐらい浅く植えつけて、根元を腐葉土などで覆っておくとよいでしょう。植えつけ後、株がぐらつく場合は支柱を立てて誘引します。

 

栽培管理

管理

水やり

 鉢植えは、夏の高温期以外は、鉢土が乾いたら充分に水やりするのが基本です。シャクナゲは根が細く、極端な乾燥に弱いため、夏は涼しい朝か夕方に、葉水を兼ねて水やりします。夏の十分な水やりが、シャクナゲ栽培の成功のポイントです。

 庭植えは、夏以外は基本的に水やりの必要はありませんが、夏の高温期に土壌が乾燥し過ぎないように、朝か夕方に葉水を兼ねて、十分に水やりします。冬に乾燥が続く場合は、暖かい日の午前中に水やりしましょう。

置き場所

 西日が当たらない半日陰の屋外で栽培します。夏は、直射日光を避け、寒冷紗などで50%程度遮光し、腐葉土などで根元をマルチングをすると、土壌の乾燥と地温の上昇を防ぐことができます。

 冬は、寒風が吹きつけない暖かな場所に置きます。

肥料

 鉢植え、庭植えともに、花後にお礼肥として粒状肥料「マイガーデン植物全般用」を施します。庭植えでは1m²当たり150g、鉢植えでは用土1ℓ当たり5gが適量です。

 涼しくなる9月下旬から10月に1回、さらに2月に寒肥として、同じ肥料を同量施しましょう。庭植えの場合は、枝が茂ってる部分とほぼ同じ範囲に根が張っているので、外周部の土の上にばらまいて、浅く埋め込みます。

花がら摘み

 シャクナゲの花が終わったら、花がら摘みを行ないます。花がら摘みで花を一つ一つ摘む場合は、イラストのAの位置で摘み、一房の花が全て終わってから摘む場合は、Bの位置で切り、子房の部分も摘み取るようにします。

 作業が遅れると、腋芽が出るのが遅れて、夏までに新梢が充実せず、花芽がつきにくくなります。

芽かき

 シャクナゲは枝数が少なく、古い枝からは芽が出にくいため、剪定は不要です。たくさん枝を出させて、こんもりとした樹形を作るためには、芽かきを行いましょう。花が咲かず、春になっても枝から新しい芽が1本しか出ていない場合は、なるべく早い時期で芽が柔らかいうちに、つけ根から手で芽をかき取ります。こうすることで複数の腋芽が出て、こんもりとした樹形となります。

花が咲いた枝からは、複数の芽が出るので、芽かきの必要はありません。

ふやし方

 

 シャクナゲは、さし木にしても発根しにくく、時間がかかることが多いですが、新梢が固まり始め、空中湿度が高い6月、または、完全に堅くなった9月がさし木の適期です。

 その年に伸びた充実した枝を、長さ7~8cmで切り、枝先の葉を3~4枚残して下葉を摘み取り、枝先に残した葉も各々半分に切ります。1時間ほど水揚げし、切り口に植物成長調整剤「ルートン」を薄くまぶしてから、鹿沼土や赤玉土の細粒やさし木用土にさし、十分に水やりをして、乾燥しないようにビニール袋などで覆います。日陰の涼しいところに置き、乾燥させないように管理すれば、秋には発根します。

 

監修  園芸研究家 倉重祐二
園芸研究家。千葉大学大学院園芸学研究科修了。赤城自然園(群馬県)を経て、現在は新潟県立植物園に勤務する。日本植物園協会 植物多様性保全委員、新潟県野生生物保護対策委員、魚沼市自然環境保全調査委員会副委員、NHK趣味の園芸講師などをつとめ、園芸の普及に幅広く活躍する。専門はツツジ属の栽培保全や系統進化、花卉園芸文化史。
「日本の植物園における生物多様性保全」(日本植物園協会)、「よくわかる栽培12か月 シャクナゲ」(NHK出版)、「原色日本産ツツジ・シャクナゲ大図譜」(誠文堂新光社)等、論文や執筆も数多くある。

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