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栽培管理|ファレノプシス(コチョウラン)の育て方

監修:園芸研究家 富山昌克

ファレノプシス(コチョウラン)の栽培管理と収穫の方法について紹介します。

ファレノプシス(コチョウラン)写真

199年代後半から、洋ランの代表格に躍り出ました。店頭にファレノプシスが並ばない日はなくなってきているほどです。

管理

開花中の管理

置き場

 極端に冷たい風や暖房の温風が直接当たらない場所なら、室内のどこに置いてもさし支えありません。周年、直射日光が当たらないような室内に置いて栽培します。

適切な置き場

1~12月:直射日光の当たらない室内に周年置く。

水やり

 7~10日に1回、植え込み材料が十分乾いたのを確認してから、暖かい日の午前中に、水ゴケが軽く湿る程度に20~30℃のぬるま湯をかけてください。1~2月は、乾かし気味に管理します。

肥料

 施しません。

花茎切り

 コチョウランの花は、花茎の下についた花から順に咲いていくので、先端の花が終わったら、花茎を切ります。そのまま放置していても構いませんが、美観を損ねるので、花茎の基部から切り取ります。

 その際、剪定バサミやクラフトバサミの刃は、ライターの炎でよく焼いて消毒したものを使います。コチョウランは病気にかかりやすいので、特に注意して作業しましょう。

  もう1回開花させたいときは、花茎の下から3節目の上で切ります。ただし、1年に2回開花させると、株が極端に傷むこともあります。葉が垂れていたり、しわが寄ったり、ふやけたような場合は株が傷んでいるので、2番花は諦めて、花茎の基部で切り取ります。

 

花後の管理

置き場

 温室や遮光ネットがない場合、基本的に室内の窓辺で管理します。花後は、葉が垂れているほうを外側に向けて置きましょう。10000~40000lxの明るさの光が、できるだけ長時間当たるように環境を整えるのが理想的です。窓辺の光環境は、周年5000lx程度ですが、ぎりぎりの明るさがあるため、栽培管理が可能です。

 春~秋の戸外の光環境は50000~100000lxです。急激に明るい場所に出すとは葉焼けを起こし、「炭そ病」を始め、さまざまな病気の原因になるので、間違っても真夏の直射日光下に置かないようにします。

 また、コチョウランは寒さに弱いので、特に冬越しに注意します。日中は、レースのカーテン越しの日光に十分当てて、夜間は室内のなるべく暖かい場所に置きます。同じ室内でも、室温は場所によってかなり違います。床の上、棚の上と下では温度が違うことがよくあるので、最高最低温度計で確かめてから置くようにしましょう。

冬の置き場の理想的な最低気温

11月  15℃
12月  10℃
1~2月 8℃
3月   10℃
4~5月 15℃

水やり

 ファレノプシスの栽培では、水やりが最も重要な管理作業となります。少なすぎると根があまり伸長せず、多すぎると根が鉢外へ出てきます。

 基本的には、鉢内の植え込み材料が十分乾いてから水やりします。割りバシなどを株元の鉢内に突きさして、その割りバシが湿っている場合は、水やりしません。

 1~2月の冬は乾かし気味にし、2月は月1回だけでも十分です。基本的には、植え込み材料の表面が乾いてさらに2~3日待ってから水やりします。暖かい日の午前中に20~30℃のぬるま湯を3.5号鉢では約150cc、3号鉢では約100cc、2.5号鉢では約50ccほど与えます。計量カップを用いて水やりするとよいでしょう。また、その際、葉のつけ根に水がかからないように注意します。水やり以外の日は3日に1回ほど、ぬるま湯で湿らしたタオルで、葉を拭きましょう。

冬の水やりの基本

最低温度:頻度と水量(3.5号鉢の場合)

 

7℃以下:枯れる温度帯。全く与えない。
10℃:1カ月に1回、約50ccを与える。
15℃:5日に1回、150ccを与える。
18℃:5~7日に1回、150ccを与える。
20℃:4~5日に1回、150ccを与える。
25℃:3~4日に1回、150ccを与える。

 

 指で水ゴケを堅く押し込んでから、竹べらを使ってさらに押し込んで、かちかちに植え込む。堅さが揃うと、乾きが一定になる。ウォータースペースの部分に水を溜めて、水やり完了。寒い時期は、ウォータースペースの深さの1/2~1/3などで、水やりを調節する。

肥料

 素焼き鉢は乾くのが早いので、固形肥料では、肥料の効果の出具合にばらつきが起こります。そのため、水やりのときに、施肥も兼ねるような方法が好ましく、常に一定量を施すように心がけましょう。液体肥料「花工場原液(N:P:K=5:10:5)」を2500倍に希釈して、水代わりに施します。

開花調節

 ファレノプシスの花芽分化は、気温が2~3℃下がると起きると考えられています。花芽を出すのをそろえるには室温を18℃にすれば、ほぼきれいに出そろいます。日本各地でも当然多少の差はありますが、18℃という温度は、自然状態では5月中旬と9~10月に当たります。その後も花芽を育成する理想的な温度帯に調節すれば、早いもので1月中旬には花が咲きそろいます。つまり、開花調節を行なわない自然開花では、毎年1月中旬と8月中旬に咲きそろうことになります。

 開花調節を行なうなら、まず、27~32℃という高温育苗温室で株を管理し、花芽分化を起こさせる期間を含めて、咲かせたい時期の約4カ月半前に、18~27℃という開花冷温室に移動させて、開花調節します。

開花調節の一例

2月に咲かせるには、10月に18℃の環境下に置く。

 

10月→冷温室に移動させる。
11月中旬→花芽がでてくる。
1月中旬→早いものが開花する。
2月中旬→遅いものが開花する。

 

冷温室に移動させると、大輪系の品種では、早いもので30~40日で花芽が確認できます。ミディタイプのアマビリスなどは、大輪系より反応するのが早く、約20日間で花芽が出てきます。ドリティスの血が影響しているミ二系統は、花芽分化には温度変化があまり影響せず、株が充実すると突然花芽がでてくるものもあります。

 たいていの品種は、18℃の温度環境で花芽の確認後、2カ月半~3カ月半で咲くことを考慮して、開花調節します。花茎を早く伸ばしたいときは、22~25℃で管理します。高温の環境下で管理すれば花茎は伸びていきますが、1日の温度変化(日格差)がないと、細胞が正常に分裂できず、花茎1本当たりの花の輪数が減ることになります。ひどい場合では、10輪着花するものが5輪しかつかなかったということも起こるので、注意しましょう。

監修 園芸研究家 富山昌克

園芸研究家。番組ではトミーと呼ばれている。メリクロンアーツ&富山昌克オフィス&富山蘭園・奈良農場代表。専門の洋ランはもちろん、幅広いガーデニング知識と巧みな話術で、テレビや講演にひっぱりだこ。農大、専門学校等でも講義を行っている。著書多数。
 園芸研究家 富山昌克のオフィシャルウェブサイト
 http://www.tommy78stella.com/
 みんなの趣味の園芸(しゅみえんオフィシャル日記)
 
http://www.shuminoengei.jp/

ファレノプシス(コチョウラン)の育て方のページです。
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