植物栽培ナビいちじく【地植え】の育て方

監修  宮崎大学農学部教授 國武 久登
基本情報
基本情報
科名属名
原産地
分類
栽培のスタート
日照条件
生育適温
水やり
特徴
樹高
種まき期
植えつけ期
開花期
収穫期
植えつけから収穫までの期間
開花から収穫までの期間
豆知識

鉢やコンテナで育てるときは

 イチジクは、関東地方以北でも、鉢栽培ならば十分に栽培することができます。鉢栽培では、10号(直径30cm)鉢程度の大きさの鉢を使用し、用土には赤玉土3、鹿沼土3、腐葉土3,砂1を使います。用土1ℓ当たり5g程度の粒状肥料「マイガーデンベジフル」と苦土石灰20gをよく混合し、苗を植えつけます。植えつけ後はしっかりと水やりし、樹高30cm程度で切り詰めましょう。置き場所は、日当たりがよく、風が直接当たらないところがよいでしょう。

栽培カレンダー

カレンダーは拡大してご覧ください。

準備と植えつけ

準備

種類・品種選びのポイント

 イチジクの自家栽培を行うにあたり、品種選びは特に重要です。品種には収穫時期によって3種類があります。つまり、6月下旬~7月下旬に成熟する夏果専用種、8月下旬~10月下旬に成熟する秋果専用種、その両方の時期に成熟する夏秋兼用種です。主な品種には、夏果専用種の‘ビオレードーフィン'、秋果専用種である‘蓬莱柿(ほうらいし)'や‘ビオレーソリエス'、夏秋兼用種である‘桝井ドーフィン'、‘ブラウンターキー'などがあります。

 夏果専用種は梅雨期と重なり、果実が腐りやすくなるので、今回紹介したような秋果専用種、または夏秋兼用種(秋果収穫)がおすすめです。関東地方以北での栽培には、‘蓬莱柿'のように比較的耐寒性のある品種を選び、鉢植えで楽しみましょう。品種が決まったら、あとは好みの色や形を選んで、自家栽培を始めましょう。

育て方のコツ

 イチジクは、違う品種を2本以上植える必要もなく、1本でも結実させることができ、日当たりさえよければ簡単に栽培することができます。亜熱帯果樹と言われていますが、比較的耐寒性もあり、関東地方以西ではほとんどの地域で庭植えが可能で、鉢栽培にすれば東北地方でも十分越冬ができます。特に、‘蓬莱柿'という古い品種は比較的寒さに強く、栽培が容易です。

 

植えつけ方

 イチジクの植えつけは、12~3月の休眠期が適します。寒冷地では、芽が動き出す直前の春植えがよいでしょう。植えつけ場所は、水はけと保水性がともによい肥沃な土壌が適しています。また、やや木陰ができる程度の日なたがよいようです。市販されている苗は、一部接ぎ木苗もありますが、ほとんどはさし木苗です。根張りのよい、コンパクトな苗を選びましょう。まず、直径、深さとも50cm程度の穴を掘り、掘りあげた土5、腐葉土3、赤玉土小粒2に、粒状肥料「マイガーデンベジフル」(1株あたり200g程度)をよく混合したものを、半分から2/3程度を埋め戻します。次に、苗木の根鉢をくずして、根を広げて苗を据えてから、さらに用土を入れます。さらに、苗木を50cm程度の位置で切り詰め、支柱を立てます。最後に十分に水やりします。

 

栽培管理

管理

水やり

 イチジクは過湿に弱いところがあり、水やりは乾いたらあげる程度で十分です。しかしながら、生育自体は極めておう盛なので、鉢栽培では夏の水切れに注意しましょう。

肥料

 新梢を伸ばしながら果実がつくため、他の果樹と比較しても肥料吸収の多い果樹です。12月に寒肥として油かすなどの有機質肥料、または粒状肥料「マイガーデンベジフル」を1株あたり200g程度を施し、2月と10月に粒状肥料「マイガーデンベジフル」を1株あたり50g程度施します。花芽分化を促進させるために、8月には新梢の伸びが止まるようにしましょう。

 庭植えのイチジクに施肥する時には、株元ではなく、樹冠の下ぐらいに施すと肥料の効きがよくなります。

 また、弱アルカリ性から中性の土壌を好むために、毎年、石灰を施して、土壌を酸度調整すると生育がよくなります。

剪定

 品種によって果実のつき方が違うので、剪定方法を変える必要があります。秋果専用種は、その年の春に伸びた新梢の葉腋に果実がつき、8月下旬ごろに成熟します。夏秋兼用種は、夏果が前年伸びた枝の先端付近に翌年の果実をつけ、越冬して6月ごろに成熟し、さらに秋果専用種と同様に秋果もつけます。それで、果実のつきに応じて、図のように剪定を行います。剪定時の切り口、及び傷口のゆ合促進に、殺菌剤「トップジンMペースト」を剪定整枝時に枝の切り口に塗布します。

 

収穫

 夏果は6月下旬から、秋果は8月下旬から収穫できます。果実の先端が割れてきたら、成熟した目印です。イチジクの果実を早く成熟させたい時には、「オイリング」というユニークな方法があります。果頂部が少し赤くなってきたら、果実の先端のすきまに植物油(オリーブ油、ゴマ油など)を1~2滴たらすと、熟期を7~10日早める効果があります。細いストロー、またはスポイトなどを使うと上手くできます。早生品種の果実を早く収穫したいときには、最適な方法です。

監修  宮崎大学農学部教授 國武 久登
1963年、福岡県久留米市生まれ。佐賀大学農学部、千葉大学大学院自然科学研究科修了、学術博士(植物育種学)。佐賀県農業試験研究センター研究員、東海大学農学部助教授を経て、現在、宮崎大学農学部応用生物科学科教授(専門は、植物遺伝育種学、果樹園芸学)。宮崎大学大学院博士課程農学工学総合研究科教授、東海大学大学院非常勤講師を兼任。
カンキツやブルーベリーなどの果樹の品種改良や増殖に関して研究中。また、美味しい家庭果樹の栽培や普及も手がける。著書に、「新版・園芸相談 家庭果樹」、「育てて味わう!まるごとベリー」、「よくわかる栽培12ヶ月 ラズベリー、ブラックベリー」など多数あり。

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