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栽培管理|ハイブリッド・ティーの育て方

監修 園芸研究家 小山内健

ハイブリッド・ティーの栽培管理と収穫の方法について紹介します。

ハイブリッド・ティー写真

「四季咲き性」バラのなかでも大輪種「ハイブリッド・ティー(H.T)系」は、四季咲きの代表的な系統で知られ、色彩や品種の豊かさから、生産数の半数を占めるほど世界中で注目されています。

使用するもの

  • ジョウロ
  • 園芸用ハサミ
  • 肥料(粒状肥料「マイガーデン粒状肥料」、「マイローズばらの肥料」、液体肥料「マイガーデン液体肥料」、「マイローズばらの液体肥料」などの追肥)
  • 活力剤(活力剤「マイローズばらの活力剤」など)
  • 誘引するためのオベリスクやトレリス(半つる性、つる性の場合)
  • 誘引するための麻ひもなど(半つる性、つる性の場合)
  • さし木のための直径10.5~12cmほどの小型のポリポット
  • さし木のための川砂、赤玉土小粒、ふるい分けた鹿沼土小粒など
  • さし木のための植物成長調整剤(「ルートン」など)

置き場所

[4〜7月]バラは、特に日当たりと風通しのよい場所を好みます。日当たりと風通しの状況次第で、花つきに大きな差があらわれます。また、この時期のバラは生育が旺盛なので、枝葉が茂り方によっては、後に日当たりや風通しが悪くなる場合があります。茂り過ぎた葉は間引くように剪定するなどして、バラが好む環境を維持することも大切です。

[8〜9月]真夏の直射日光が株元に当たると、根が傷みやすくなります。また、地域によっては、地温が50℃を超えることもあります。そのため、日よけなどで株元に直射日光を当てない工夫が必要です。
 台風接近の際には、スタンダード仕立て、フェンス、アーチ、オベリスクに誘引してある、いずれも高さを出して仕立ててある株の保護対策が大切です。対策としては、頑丈な支柱を添えたり、枝を束にし補強しておくとよいでしょう。
 また、鉢栽培のバラは風の影響を受けやすく、倒れて転がってしまうことがあります。鉢植えのバラは、壁際に密集させて非難させましょう。鉢数が少ないなら、室内に移動しておきます。

[10〜11月]涼しくなってきたら、日よけやマルチングなどの資材を撤去しましょう。日が当たる時間が短くなるので日照不足となり、枝が軟弱に伸びてしまうことがあります。
 また、秋は気温も下がり、雨の回数も増えるために土が湿りやすく、病気にかかりやすくなります。涼しさを感じたら、鉢は間隔を広げて置き直し、二重鉢は一重に戻し、秋モードに切り替えしましょう。

[12〜3月]日当たりと風通しがよい場所に置きましょう。極端な寒さや寒風に当てないように、鉢植えは軒下などに移動させてもよいでしょう。

水やり

[4〜5月]この時期のバラは、特に生育が旺盛です。そのため水分が不足すると生育が遅れたり、蕾を落としてしまうこともよくあります。土の表面が乾き始めたら、たっぷりと水を与えるように心がけてください。水やりは午前中に行ない、夕方は、よほど葉がしおれている時以外は与えないほうがよいでしょう。

[6〜7月]梅雨のころは、日照不足と水分過剰によって、枝葉が徒長しやすくなります。梅雨の合間に見られる強い日ざしが徒長した枝葉に当たると、葉からは水分がどんどん蒸散し、根からの水分供給が追いつきません。
 鉢植えの場合は、土の表面が乾いたときに、水をたっぷり与えておきます。
 庭植えの場合は、土がたっぷり水分を含んでいても、枝葉が萎れることがあります。この場合、あわてて水やりせずに様子をみて、自然に回復するのを待ちましょう。ただし、7~10日に渡ってまとまった雨が降らず、土が乾燥しやすい場合は、1回水やりし、水分補給しておくのが得策です。

[8〜9月]鉢植えの場合は、鉢底からダクダクと流れ出てくるぐらい、水を与えましょう。すると、熱くなった鉢土のなかを通過して高温化した水が先に押し流されます。鉢土の内部が冷えて、根の傷みを早く回復させることができます。 庭植えの場合は、大雨が降らない限り、庭植えには4~5日に1回、十分に水やりします。
 なお、いずれも水やりは、なるべく午前中の早い時間に行なうのがベストです。

[10〜11月]鉢植えの場合、水は表土が乾いてから与えましょう。
 庭植えの場合は、土が乾き始めたらではなく、土の表面が乾いたときに水を与えるようにします。

[12〜1月]鉢植えの場合は、鉢土の表面が乾いたときに水を与えます。
  庭植えの場合は、極度に乾き過ぎない限り、特に水やりの必要ありません。なるべく乾かしぎみに育てるのがコツです。

[2〜3月]鉢植えの場合は、鉢の表面が乾いたら水を与えます。
なるべく乾かしぎみに育て、水を与えるときはたっぷり与えるようにするのがコツです。与える水の量は、生育期に与える水量と同じです。
 庭植えの場合は、極度に乾き過ぎない限り、特に水やりの必要ありません。

肥料

[4〜5月]四季咲きのハイブリッドティーのバラは、春から晩秋まで何度も花を咲かせます。そのため、定期的に肥料を施さなければ肥料不足になり、葉が黄色っぽくなったり、花数や花弁の数が少なくなったりします。
 鉢植えの場合は、4月中に1週間に1回、規定倍率に希釈した液体肥料(「マイローズばらの液体肥料」など)を施します。  庭植えの場合は、5月の満開後に1回、適量の粒状肥料(「マイローズばらの肥料」など)を株元にばらまきます。

[6〜7月]6~7月にかけて最も旺盛に成長するので、梅雨ごろからたくさんの栄養分を必要とします。肥料が不足すると栄養のバランスが崩れ、バラの健康を維持しにくくなります。そのため、この時期は、滋養回復と健康維持を目的とした追肥が必要です。
 しかし、2番花以降のバラの開花は、一斉に咲く1番花の時とは異なって少しずつだらだらと咲くことが多く、追肥のタイミングが遅れがちになります。2番花以降の追肥は、たとえまだ蕾が残っていても、花のピークを過ぎた頃を目安に与えるのが効果的。時期を逃さず追肥すると、株の健康を維持しやすく、また、スムーズによい芽が出やすくなります。
 追肥には、速効性タイプの肥料を使うのがおすすめです。規定倍率に希釈した液体肥料を施します。

[8〜9月]あまりの暑さにバラは夏バテぎみですが、肥料が不要なわけではありません。やはり定期的に肥料を施さなければ、生育は衰えてしまいます。とくに、夏剪定前の、葉があるうちに施しておくと、肥料がよく吸収され、剪定後の新芽の育ちがよくなります。
 また、肥料は9月中旬~下旬にもう1回、施しておきます。施すタイミングは、剪定後、新芽が3~4枚のびたころです。
 鉢植えのバラの場合は、鉢土の表面が乾きやすいため、液体肥料を継続的に施しましょう。
 庭植えのバラの場合は、長期間効果が続く粒状肥料を、規定量、株元にばらまきます。乾きやすい庭土の場合は、鉢植えと同様、週に1回、液体肥料を利用してもよいでしょう。

[10〜11月]花が終わり次第、お礼肥を施します。 鉢植えの場合は、規定倍率に希釈した液体肥料をお礼肥として施します。 庭植えの場合は、株から30cm程度離した樹冠下に、適量の粒状肥料を株元にばらまいて、土に軽く混ぜ込みます。

[12〜1月]寒さが厳しくなる11月下旬~12月中旬に、今年最後の追肥を施しておきます。この時期の肥料は、おもにリン酸(P)、カリ(K)が多い肥料を施します。これが冬の間、枝や根の状態をよくするために必要な栄養となります。鉢植えにも庭植えにも、2週間に1回、規定倍率に希釈した液体肥料を2回ほど施します。
 また、気温が低く、バラの生育が停滞する12~1月には、元肥を施します。 元肥とは「来期の生育の基礎になる肥料」のことです。元肥を施しておくと、バラの生育に必要な養分が次の冬まで補われます。  庭植えの場合の施し方は、まず株元から両側に30cm離れた場所に、深さ30cm、直径30cmの穴を2つ掘ります。穴から掘り上げた土のそれぞれの半量に、牛ふん堆肥バケツ1/2杯と、規定量の1/2の粒状肥料(「マイガーデン粒状肥料」、「マイローズばらの肥料」など)をよく混ぜて、それぞれの穴に埋め戻します。このとき、穴の上層部に当たる表土近くの土には、牛ふん堆肥をやや少なめにするように加減して混入し、埋め戻すとよいでしょう。

[2〜3月]3月に入って暖かな日が多くなるころ、新芽の生育を促すために追肥します。ただし、この時期は肥料の吸収がまだ緩やかなので、速効性のある液体肥料を規定倍率の2倍に希釈したものを、7~10日に1回、生育期間中に計3~4回を生育に合わせて施して養分を補います。
 あるいは、2~3カ月間効果が持続する粒状肥料を、株元のまわりにばらまいても効果的です。

土壌の中耕・マルチング

[周年]「中耕」とは、土の表面を浅く耕すことです。中耕すると土壌の通気性、水はけ、保水性が改善されて、地温が高まり、根の発育が促進されます。土が固くなった時には、いつでも中耕するとよいでしょう。

[6〜7月]株元周辺を軽く耕すことによって土中に空気が入りやすくなり、根が活性化され、株が健やかに育ちます。この時期は雨が多く、疫病など土壌伝染性の病気も発生しやすいため、耕した土の上に細かいウッドチップなどを敷き、マルチング(被覆)しておきます。マルチングは雨の跳ね返りを防ぎ、土壌伝染性の病気を軽減させることができます。ただし、花壇全面にマルチングを敷きつめることは厳禁。乾きにくい土壌は、根を脆弱にします。マルチングは、基本的に株元に敷くだけで十分です。

[8〜9月]夏のマルチングは、土の乾燥や高温化を抑え、株のダメージを緩和させます。そのため、株元付近を保護するだけで、十分な効果があります。マルチングの資材は、細かいウッドチップのような通気性のよいものを使用してください。通気性が悪いと株元が蒸れ、かえって根を傷めてしまいます。さらに病気の原因にもつながります。

花がら切り

咲き終わったバラの花(花がら)は、その都度切り取ります。花がらを切ったあと、活力剤(活力剤「マイローズばらの活力剤」など)を与えておくとよいでしょう。

[4〜5月]咲き終わったバラの花(花がら)は、その都度、切り取っておきます。大きめな葉を4~5枚分を枝に残すのが理想なので、だいたい伸びた枝の半分ぐらいの位置を目安に切り戻しましょう。そうすると、そこそこ大きく、安定した次の花が期待できます。ちなみに、切り戻しが足りないと、その後に咲く花は小さくなり、秋まで継続して咲きにくくなります。

[6〜7月]四季咲き性のハイブリッド・ティー系統に、今年の2番花、3番花を咲かせるために、「花がら切り」は大切な作業です。この系統はいつも大きな花を咲かせるため、株に大きな負担がかかっています。「そろそろ花も終わりかな?」と感じたら、その都度、花がらを切って、株を回復させましょう。
 切る位置は、おおむね伸びた枝の半分当たりを目安にします。外側を向いた大きな葉を、4~5枚分残して切り戻しましょう。大きな葉の上で切ると、光を受ける葉の面積が大きいため、光合成の量も多くなり、充実したよい芽が出やすくなります。
 このようにして、どの枝も平均して切り続けると、特に力強い枝に養分がよく行き渡るようになり、やがてほかの枝を出し抜くかのようにぐんぐんのびていきます。そうすると、ひと株のなかに日がよく当たる枝と日が当たりにくい枝が混在する形となり、花数は少なめながらも、ハイブリッド・ティーならではの、大輪の花が咲きやすくなります。

[10〜11月]秋の花が終わり次第、花がらを切り戻します。ただし春とは違い、秋は、あまり深く切り戻さないのがコツ。深く切ってしまうと、冬越しのための充実が遅れるためです。
 また、温暖地では、浅く切り戻しをおこなうことで、11月下旬~12月上旬にもう1回、花を咲かせることも可能です。今年最後の「残り福」を楽しみに、作業してみましょう。

[12〜1月]10〜11月と同じく、花が咲き終われば、枝を切り戻します。花がらを残しておくと枝が充実しにくく、病気にもなりやすいので、この処理を忘れないようにしましょう。秋冬の時期の切り戻しのコツは、あまり深く切り戻さず、できるだけ葉を残しておくこと。深く切り戻して茎についた葉が少ないと、冬越しのための株の充実が遅れてしまいます。
 また、冬は蕾が色づいてもなかなか咲かなくなるので、蕾のついた枝を切って、暖かい部屋で生けてみるのもよいでしょう。そのほうが花も咲きますし、株の充実も兼ねることができると思います。

芽かき、切りもどし

3月に入ると、新芽の生育が始まります。通常ハイブリッド・ティーのバラは、1芽に対し1本の新芽が理想ですが、なかには2~3本の芽が、同じ場所から吹いてくることがあります。放任しておくと枝が込み過ぎたり、枝が太くなりにくくなるので、芽数を絞って力強い芽に栄養分を集中させてやります。これを「芽かき」といいます。芽が1~2cmぐらいに伸びた時が、芽かきのタイミングです。
 また、この時期に出てきた芽は、寒さで傷んだり、伸びなかったりすることもあります。その場合、健全な芽が伸びる位置まで、枝を切り戻しておきます。


3月ごろ、芽が1~2cmぐらいに伸びた時が、芽かきのタイミング。1芽に対し1本の新芽を目標に、芽かきする。

剪定

<夏剪定と整枝>
適期:8~9月
剪定と整枝を行う理由は、「樹形を整えながら、株を回復または充実させる」ため。8~9月に剪定すると、秋10月ごろに素敵な花をたくさん咲かせることができます。とくにハイブリッド・ティーは、夏剪定を的確に行なうと、花数がふえるうえ、大きな花が咲きます。
 なお、剪定後には活力剤(「マイローズばらの活力剤」など)を与えておくと、効果的です。

夏剪定と整枝の仕方:
①枯れ枝、傷んだ枝、細く短い枝を切り取ります。
②枝が密集して日当たり、風通しが悪い場所に残った枝を、つけ根から切って間引きます。
③最後に全体のバランスをみて、樹形を整える気持ちで切り戻しすれば完成です。できれば、各枝に最低3~4枚ぐらい葉を残すようにするとよいでしょう。


できれば、各枝に最低3~4枚ぐらい葉を残すように、全体のバランスを見て切り戻しをする。

<冬剪定と整枝>
適期:1〜2月
バラの整枝・剪定の目的は、樹形を整えるため、そして株を若返らせるために行ないます。気温が低く、バラの生育が停滞する冬が向いています。なるべく芽吹きが始まる前には、整枝・剪定を済ませておきましょう。

冬剪定と整枝の仕方:
①まず、枯れ枝、傷んだ枝、細くて短かい枝、元気がない古枝を取り除いて整理します。
②枝が密集して日当たり、風通しが悪くなっているようなら、さらに枝を間引きます。
③最後に全体の樹形を見て、バランスよく整えるように切り戻します。
④樹高が約1/3~1/2になるように切り戻します。

ふやし方

[さし木の方法]
適期:4~7月
この時期、さし木で株をふやすことができます。花が終わった枝を、さし穂として使用してみましょう。

さし穂のとり方:4~7月、今年のびた葉がついている枝をさし穂に使用します。枝の太さは、鉛筆から割りばしほどのものが、比較的成功しやすいようです。さし穂の長さは、10~15cmぐらいを目安にし、葉芽が1~2芽つくのがベスト。さし穂の下部を斜め45度に切り、その反対側から返し切りしておきます。さし穂は、規定倍率に希釈した活力剤(「マイローズばらの活力剤」など)に30分ほどさして、水揚げしておきます。

さし木の仕方:直径10.5~12cmほどの小型のポリポットを用意し、十分湿らせたさし土(川砂、赤玉土小粒、ふるい分けた鹿沼土小粒など)を入れ、さし穂をやや密集気味にさします。さす深さは、下の葉が表土にふれるぐらいが適当です。この時、枝の切り口に植物成長調整剤「ルートン」を塗布してからさすと、発根が促されます。さし穂は約30~50日後に発根するので、小さな鉢に植え替えましょう。
 なお、さし木の後は、水代わりに活力剤(「マイローズばらの活力剤」など)を与えると、発根を促します。

<注意!>種苗登録されている品種は、営利目的の繁殖は禁止されていますので注意しましょう。

監修 園芸研究家 小山内健

園芸研究家。通称「ローズ ソムリエ」、「バラ鑑定士」と呼ばれるバラのトップアドバイザー。大阪府にある京阪園芸(株)にて販売、栽培管理、品種の鑑定などに従事するかたわら、講演会や講習会と多方面に活躍する。「趣味の園芸」(NHK出版)、「花ぐらし」(家の光)、などさまざまな園芸誌に執筆、出演。著書に「アーリー モダンローズ」、「オールド ローズ」(ともに講談社)ほか、共著多数。TVチャンピオン「全国バラの花通選手権」2回制覇の経験もある。

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