植物栽培ナビ日本芝(コウライシバ)の育て方

監修  芝生研究家  武井和久
基本情報
基本情報
科名属名
原産地
分類
栽培のスタート
日照条件
生育適温
水やり
特徴
樹高
種まき期
植えつけ期
開花期
収穫期
植えつけから収穫までの期間
開花から収穫までの期間
豆知識

・芝生に使用される芝には日本に自生する日本芝と海外から導入された西洋芝とがあります。日本芝にはノシバ、コウライシバ、ビロードシバ(キヌシバとも)がありますが、これらの呼称は全て流通名であり、正式な和名はそれぞれシバ(学名:Zoysia japonica)、コウシュンシバ(学名:Zoysia matrella)、コウライシバ(学名:Zoysia pacifica、旧学名ではZ.tenuifolia)となります。

・上記のように、流通名コウライシバの和名がコウシュンシバ、流通名ビロードシバの和名がコウライシバと、非常に紛らわしくなっています。ここで紹介するのは流通名のコウライシバ(和名:コウシュンシバ)で、以下、全て流通名で表記するものとします。

・コウライシバ(高麗芝)にはノシバ(野芝)に近い大型のものから、ビロードシバに近い小型のものまでありますが、通常、葉幅が2mm以下の小型のものはヒメコウライシバ(姫高麗芝)と呼ばれ、コウライシバとは区別して扱われます。


コウライシバとノシバの比較(左:コウライシバ、右:ノシバ) 

・ノシバはコウライシバよりも大型で粗い芝生となりますが、性質が強健で、日本芝中もっとも耐寒性が高く、北海道南部にまで自生しています。コウライシバが冬越しできない寒冷地では、このノシバか寒地型の西洋芝が利用されます。

・ヒメコウライシバはゴルフ場のコウライグリーンに使用されているもので、低刈りに耐え、密な芝生となります。茎葉の伸びが少ないため刈り込みの手間があまりかからない利点があり、その点ではローメンテナンス向けの芝と言えます。ただし、地際近くに芝の直立茎やほふく茎が密生するので、サッチが非常に集積しやすいという欠点もあり、そのため、コウライシバ以上に頻繁なサッチとりや目土入れなどの作業が必要となります。

・ビロードシバはコウライシバよりも小型で、針状の葉をもち、極めて繊細な芝生をつくりますが、耐踏圧性や耐寒性に劣るため、暖地における小庭園の芝生など限定的な利用に留まります。沖縄の万座毛などに自生する「コウライシバ」はこのビロードシバで、流通名のコウライシバではありません。


ビロードシバ

栽培カレンダー

カレンダーは拡大してご覧ください。

準備と植えつけ

植えつけ方

植えつけ期

4月下旬〜6月上旬。萌芽したコウライシバが成長をはじめる晩春〜初夏が芝張りの適期です。生育が十分でないと根の活着まで日数がかかり、その間の水やりが大変です。養生期間中の水やりの手間を軽減するために、梅雨入り直前に施工するという選択肢もありますが、床土の水はけが悪いと土壌が過湿になり、根づきにくくなるので注意が必要です。なお、夏はコウライシバの成長が最大になるため、芝張りの適期のように思えますが、養生期間中に乾きすぎることが多く、水管理が難しくなります。また、秋に入ると急速に成長が低下してしまうので、十分に貯蔵養分を蓄えることができず、耐寒性が低下して寒害を受けやすくなります。したがって、夏の芝張り作業はできるだけ避けることをおすすめします。秋以降はコウライシバの成長が止まるので、芝張り作業は行ないません。

 

栽培管理

管理

使用するもの

4〜5月

  • 芝刈り機
  • 水やり道具(スプリンクラー、散水ホースなど)
  • 肥料と肥料散布機(狭い面積ならば手まきでも可)
  • 目土(目砂)
  • 目土(目砂)をまき、すり込むための道具(スコップ、トンボ、竹ぼうきなど)
  • 除草剤(除草フォークや除草小ガマによる除草では対処できないほど、雑草が発生している場合)
  • 着色剤(冬の間も芝生を緑に保ちたい場合)
  • 更新作業用の穴あけ器(ローンスパイクなど)
  • サッチとり用具(ガーデンレーキなど)
  • 手どり除草用具(フォーク、小ガマなど)
  • 掃除用具(竹ぼうきなど)
  • 転圧道具(踏み板など)

6〜7月

  • 芝刈り機
  • 撒水器具(スプリンクラー、撒水ホースなど)
  • 肥料と肥料散布機(小面積ならば手撒きも可)
  • 目土(目砂)とそれを散布し、すり込むための作業道具(ショベル、トンボ、竹箒など)
  • 殺菌剤(フェアリーリング病、さび病、疑似葉腐病(象の足跡)、カーブラリア葉枯病が発生した場合など)
  • 殺虫剤(コガネムシ幼虫やスジキリヨトウ幼虫による被害が発生した場合など)
  • 噴霧器、薬剤を溶かすためのバケツ、薬剤や水を計量する秤・メスカップ、薬剤をかき混ぜるかくはん棒、噴霧器に移すための漏斗など
  • 更新作業用の穴あけ器(排水不良対策としてエアレーションを行う場合)
  • サッチ取り用のガーデンレーキ
  • 手取り除草用のフォークや小鎌

8〜9月

  • 芝刈り機
  • 撒水器具(スプリンクラー、撒水ホースなど)
  • 肥料と肥料散布機(小面積ならば手撒きも可)
  • 目土(目砂)とそれを散布し、すり込むための作業道具(ショベル、トンボ、竹箒など)
  • 殺菌剤(フェアリーリング病、さび病、疑似葉腐病(象の足跡)、カーブラリア葉枯病が発生した場合など)
  • 殺虫剤(コガネムシ幼虫やスジキリヨトウ幼虫による被害が発生した場合など)
  • 除草剤(手取りで対処できないほど雑草が発生している場合など)
  • 噴霧器、薬剤を溶かすためのバケツ、薬剤や水を計量する秤・メスカップ、薬剤をかき混ぜるかくはん棒、噴霧器に移すための漏斗など
  • 更新作業用の穴あけ器(ローンスパイクなど)
  • サッチ取り用のガーデンレーキ
  • 手取り除草用のフォークや小鎌

10〜11月

  • 芝刈り機
  • 殺菌剤(葉腐病(ラージパッチ)、フェアリーリング病、さび病が発生した場合など)
  • 殺虫剤(コガネムシ幼虫による被害が発生した場合など)
  • 着色剤(冬期間も芝生を緑にしたい場合)
  • 噴霧器
  • 掃除用の箒
  • 手取り除草用のフォークや小鎌

12〜1月

  • 着色剤(冬期間も芝生を緑にしたい場合)
  • 噴霧器
  • 掃除用の箒
  • 手取り除草用のフォークや小鎌
  • 転圧用の踏み板

2〜3月

  • 着色剤(冬期間も芝生を緑にしたい場合)
  • 噴霧器
  • 掃除用の箒
  • 手取り除草用のフォークや小鎌
  • 目土(目砂)とそれを散布し、すり込むための作業道具(ショベル、トンボ、竹箒など)
  • 撒水器具(スプリンクラー、撒水ホースなど)
  • 転圧用の踏み板

 

刈り込み

 

4〜5月
4月に入ると次第にコウライシバが芽吹きはじめ、再び緑の芝生が甦ってきます。コウライシバの成長はゆっくりなので、すぐにまっ青な芝生にはなりませんが、5月になれば一面、緑の芝生となるでしょう。芝の伸びに合わせて必要ならば4月中に1回、5月に入ってからは月に2〜4回ほど刈り込みます。

コウライシバの場合、刈り高の目安は2~2.5cm ですが、これより高い刈り高でも大丈夫です。刈り高が低いほうが芝生としての見ばえはよいですが、そのぶん、芝は弱り、雑草も発生しやすくなります。また、刈り高を低くするほど刈り込みの回数はふえるので、芝刈り機の刈り高設定の自由度などと合わせて、自身の芝生に最適な刈り高を決めてください。

芝刈り機で刈れない部分があれば、芝生用バリカンや刈り込み鋏などで刈り込みます。また、芝生の外にほふく茎などが伸びていたら、ターフカッターなどで切り、境界線を整えます。

4月も下旬ごろになるとコウライシバでは出穂がはじまります。系統や気象、生育状況などにもよりますが、大量に出穂すると芝生の色が変わって見えるほどで、あまり見ばえのよいものではありません。イネ科植物なので花を観賞するようなものではありませんし、タネからの新たな発芽も期待できないので、美観を重視するならば刈り込み回数をふやすことをおすすめします。

6〜7月
コウライシバの生育も旺盛となり、それにともなって刈り込みの回数もふえてきます。美しい芝生に仕上げるには、適正な刈り高に設定した切れ味のよい芝刈り機をつかって、できるだけ定期的に、回数多く刈り込むことです。

ヒメコウライシバであれば、ほぼ月1回の刈り込みで間にあいますが、普通のコウライシバであれば月3〜4回程度のペースで刈り込みましょう。週1の頻度で刈り込めれば1回の刈りかす量も少なくなり、芝へのダメージも大幅に軽減できます。 また、定期的な刈り込みは刈りかすの量で芝の成長量を知ることができ、施肥のタイミングなどを決めるうえで非常に役立ちます。

 6〜7月の刈り込みは、梅雨の期間とそれ以外でだいぶ状況が異なります。梅雨入り後は天候を見ながらの作業となり、予定通りに刈り込めないことも多いはずです。とくに週末しか作業ができない場合には、週単位での作業遅れとなり、刈り込みにおいて最も危険な軸刈りの発生リスクも高まります。

 ただし、幸いにしてコウライシバは、成長の遅い芝なので、他の芝に比べれば軸刈りとなる可能性は低く、その点ではまさに家庭向けの芝だといえます。しかし、たとえ軸刈りにはならなくても、間隔をあけての大胆な刈り込みはそれ自体が芝にとって大きなストレスであり、状況次第では芝の生育を低下させる原因にもなりかねません。天候に左右されがちな梅雨期こそ、刈り込みの影響の大きさを考慮して、ストレスが最小となるよう、そのときの状態に合わせて、刈り高を細かく調整することが大切です。


軸刈り

8〜9月
8月は1年でもっともコウライシバがのびる時期です。ヒメコウライシバやTM-9のような矮性品種であれば、月1回でもよいですが、普通のコウライシバであれば月に2回以上、できれば週1回のペースで刈り込みます。炎天下での芝刈り作業は大変なので、朝の涼しい時間帯での作業をおすすめします。

 9月に入ると生育のピークを過ぎ、気温の低下とともに芝の成長は少しずつ鈍ってきます。9月上旬は、まだ8月同様の勢いがあるので、1回は刈り込んでおきます。9月後半になると残暑もゆるみ、芝のようすもだいぶ変わってきます。次第に葉ののびも少なくなるので、刈り込みが必要かどうかは芝の状態を見て判断します。もし芝の成長が続いているようであれば、9月中にもう1回刈り込みます。あまりのびていなければ、10月上旬ごろの刈り止めまで待ってもよいでしょう。

10〜11月
関東地方では、10月の上旬ごろに最後の刈り込み(刈り止め)を行ないます。その後は、コウライシバののびも止まるので刈り込みは不要です。冬の間のすり切れを減らすうえでは、ある程度葉がのびた状態で休眠に入るのが望ましいので、芝のようすを見ながら少し早めに刈り止めした方がよいでしょう。

 ただし、沖縄などの暖かい地域では、この時期でも芝ののびはあると思うので、のびてきたころ合いを見て、適宜、刈り込みます。

12〜1月
冬の休眠中であれば、刈り込みは不要です。ただし、沖縄などの暖かい地域では、この時期でも休眠せずに緑を保つので、芝ののびに応じて、適宜、刈り込みます。

2〜3月
3月下旬ごろになると、地域によってはコウライシバの萌芽が見られる可能性がありますが、刈り込みは不要です。ただし、沖縄などの暖かい地域では、2月でも休眠せずに緑を保つので、芝がのびていれば、適宜、刈り込みます。3月に入るとコウライシバの生育が活発化してくるので、芝ののび具合に合わせて、月1〜2回、刈り込みます。

 

水やり

 

4〜5月
4月はまだ気温も低く、コウライシバの成長も盛んではないので、水やりが必要になることはほぼありません。しかし、好天が続いたときだけでも水やりしておくと、適度に土壌がうるおい、芝生の緑化が早まるでしょう。

5月の大型連休ごろになると日ざしも強まり、気温が高く、強風の日もあって、芝が一気に乾いて水やりが必要になることもあります。天候や土壌の湿り具合、芝のようすなどを見ながら、だいぶ乾いてきたなと思ったらたっぷりと水やりします。

水やりの基本は「量は多く、回数は少なく」です。乾きすぎを心配するあまり、頻繁に水やりすると、かえって根が浅く、乾きに弱い芝になってしまいます。芝生への水やりは、1回にたっぷりと与え、できるだけ間隔をあけて水やりすることが大切です。

6〜7月
梅雨の間は基本的に水やりは不要です。梅雨明け後も夕立などが数日ごとにあれば、水やりが必要なほど乾きすぎることはないでしょう。しかし、水やりの必要性は床土の保水性によって大きく異なるので、あくまで芝生の土壌に合わせた適切な間隔で、水やりを行なうよう、心がけてください。

8〜9月
8月は気温も高く、コウライシバの生育が盛んなので、晴天が続き、夕立もないときなど、芝が乾燥症状を示すことがあります。コウライシバの葉が細く針のように丸まったら、乾きはじめたサインなので、すぐに水やりを行ないます。

 土壌が砂質であれば、より注意深く観察し、萎れのサインを見逃さないようにします。粘土質土壌では、固結が進んで水はけが悪くなると、芝の根が浅いところで張り、より乾きやすくなります。日々の観察から土質や芝の状態をきちんと把握し、天気予報を参考にしながら、必要と思われる場合には風のない早朝にたっぷりと水やりを行なっておきます。

 8月に注意しなければならないのは、休暇などで何日も留守にする場合です。楽しい旅行から帰ったら芝が乾きすぎて枯れていたということがないよう、芝生への水やり頻度を考えて、必要であれば留守中の水やりを依頼するか、タイマー機能つきのスプリンクラーで自動灌水を行なうようにします。

 もっとも、保水性の高い床土でコウライシバを育てている場合、降雨量の多い日本で水やりが必要になることはそれほど多くはありません。「芝生に水やりなんて、一度もしたことがないよ」という方も少なくないでしょう。水やりの要不要は、床土の保水性や地域の気候、そのときどきの天候などで大きく異なるので、あくまでも水やりが必要かどうかは、芝のようすや土壌の湿り具合を見て判断してください。

10〜11月
この時期は自然の降雨だけで、十分水が足りるので、水やりは不要です。ただし、沖縄など、芝が緑を保っている地域では、芝を乾かしすぎないことが良好な緑を維持するうえで大切です。降雨だけでは水が足りない場合には水やりし、適切な土壌水分の維持を心がけましょう。

12〜1月
冬の休眠中であれば、水やりは不要です。ただし、沖縄などの暖かい地域では、この時期でもコウライシバは休眠せずに緑を保っているので、芝の様子を見ながら、適宜、水やりします。

2〜3月
2月は、水やりの必要はなく、自然の降雨だけで十分水が足ります。3月に入るとコウライシバは徐々に生育し始めますが、降水量も多くなるので、とくに水やりは不要です。しかし、適度に水やりをすると芝の萌芽が早まるともいわれるので、平年よりも降雨量が少ないようであれば、過湿にならない程度に、ときおり、水やりしてみてもよいでしょう。

 なお、沖縄などの暖かい地域では、コウライシバはこの時期でも休眠しないので、芝のようすを見ながら、適宜、水やりします。

 

施肥

 

4〜5月
4月の下旬ともなれば、コウライシバの萌芽もそろい、成長もはじまってきます。シーズン最初の刈り込みをしたあとに最初の施肥を行ないます。このときはまだ芝の成長もゆるやかで、、根の伸長も十分ではなので速効性肥料よりも緩効性肥料や肥効調節型の肥料がおすすめです。

 5月に入ると気温の上昇にともない、コウライシバの成長も活発になってきます。まだ夏のような旺盛な成長ではありませんが、出穂したり、分げつしたり、根を伸ばしたりと、芝もかなり体力を使います。また、刈り込みもほぼ週1回のペースになり、刈り込みで失われる葉面積(葉に含まれる栄養分)もふえてきます。葉が十分に展開すれば光合成量はふえますが、まだ地上部も地下部も急速な成長段階にあるので、生育を安定させるよう、肥料切れさせないことが大切です。4月に施した肥料の効果がどの程度残っているかにもよりますが、芝ののび方を見ながら、速効性肥料であれば月2回、緩効性肥料や肥効調節型肥料であれば月1回程度の施肥を予定します。

 5月は根の伸長も盛んなので、肥料の成分バランスとしては、リン酸を含む水平型か山型をおすすめします。水平型であれば三要素以外に酸性土壌で欠乏しやすいマグネシウム(苦土)も入っている「マイガーデン芝生用」がおすすめです。マグネシウムはリン酸の吸収を助ける働きがあります。

6〜7月
春に施した肥料の効果が持続している場合には、施肥は不要です。また、刈り込み回数を減らしたい場合には、施肥量を控えめにする必要があります。

 施肥量を調整する場合には、床土の保肥力も考慮します。粘土質土壌と砂質土壌では保肥力は大きく異なり、保肥力が劣る砂質土壌では、 流亡する養分も多く、そのぶん、適量の肥料を回数を多めに施す必要があります。とくに梅雨どきは雨量が多いため、流亡するチッ素量が多く、床土の土質に応じて、必要な施肥量はかなり違ってきます。あくまでも芝ののびや葉色の変化に応じて、施肥量や施肥のタイミングを細かく調整してください。

 6〜7月に使用する肥料としては、三要素以外に酸性土壌で欠乏しやすいマグネシウム(苦土)も入っているマイガーデン芝生用」がおすすめです。マグネシウムはリン酸の吸収を助ける働きがあり、追肥でのリン酸補給に効果的です。また、カリは植物の水分調節に必要不可欠な養分なので、乾燥害が起きやすい夏はとくに不足させないよう注意します。

8〜9月
8月と9月では、施肥の仕方は全く異なります。8月はまだ芝の生育が旺盛なので、芝刈りの回数も多く、そのぶん、土壌から失われる養分量も多くなります。ただし、高温期は土壌微生物による有機物の分解も盛んなので、そこから供給される養分量も無視できません。とくに肥効の長いタイプの肥料では、施しすぎた場合にとり返しがつかないので、より慎重な判断が求められます。

 手間を惜しまなければ、速効性の肥料を少量ずつ施し、肥料の効果を確認をしながら、その都度作業するのが理想的です。できるだけ手間をかけたくない場合には、6〜7月に施した緩効性肥料と、有機物分解由来の養分に期待して、8月の追肥は行なわないという方法もあります。いずれにしても、8月の緩効性肥料、とくにチッ素肥料の過剰施用はコウライシバの伸長成長を長引かせ、冬越しへの備えを遅らせてしまうだけでなく、秋に発生する雑草を勢いづかせることになるので、くれぐれも注意しなければなりません。冬枯れしてしまうコウライシバだからこそ、少しでも長く緑をもたせたい、そのために肥料を施したいという気持ちもわかりますが、冬の寒さが厳しい地域では、早期に冬越しの準備をさせることを最優先に考えましょう。

9月は基本的にコウライシバへの施肥は不要です。理由は前述の通りです。しかし、もし予定よりも早く肥料の効果が切れてしまい、少し肥料を施しておきたいという場合は、9月上旬までに施します。秋にも肥料を施せば、それだけ長く緑を保ちますが、そのぶん、寒さに対する抵抗力は失われます。

10〜11月
10月前半は、まだ少し芝ののびが見られる可能性がありますが、施肥は不要です。ただし、沖縄などの暖かい地域では、刈り込みをして刈りかすが出た場合のみ、追肥を検討します。施肥が必要かどうかは、あくまでも芝ののび具合、つまりは刈りかすの量が多いか少ないかで判断します。冬の間も良好な緑を保つことを重視するならば、この時期にも少量の肥料を施して、肥料の効果の切れ目をなくし、コウライシバの生育を安定させておくとよいでしょう。

12〜1月
冬の休眠中であれば、施肥は不要です。ただし、沖縄などの暖かい地域では、この時期でもコウライシバは休眠せずに緑を保つので、芝ののび具合、つまりは刈りかすの量が多いか少ないかや、葉色などを見て、肥料が必要かどうかを判断します。必要であれば、少量の肥料を施します。

2〜3月
この時期、施肥は不要です。肥料を施したほうがコウライシバの萌芽が早まるのではと、考える方も少なくないでしょう。しかし、春先のコウライシバの萌芽は、体内に貯蔵された養分を使って行なわれるので、肥料を施しても、ただ冬の雑草を元気づけるだけです。ここはじっくりとコウライシバの新芽がそろうのを待ちましょう。

 なお、沖縄などの暖かい地域では、徐々にコウライシバの生育が旺盛になっていきます。2月中は 芝ののび具合、つまりは刈りかすの量が多いか少ないかや、葉色などを見て、肥料が必要かどうかを判断します。3月なったら、三要素以外に酸性土壌で欠乏しやすいマグネシウム(苦土)も入っている「マイガーデン芝生用」を施します。マグネシウムはリン酸の吸収を助ける働きがあり、追肥でのリン酸補給に効果的です。

 

目土散布

 

4〜5月
4月下旬か5月中に1回、目土(目砂)を入れます。目土の厚みは、枯れ落ちた古い葉が隠れる程度で十分です。散布機があればそれを使用しますが、ない場合はスコップなどで目土を芝生上に薄くばらまき、トンボやほうきなどでていねいにすり込みます。すり込み終了後には水やりを行ない、葉の上に残った目土を地際まで落とし、落ち着かせます。

 実施時期としては、コウライシバの新葉が揃ってからがよいでしょう。この時期、コウライシバは秋に蓄えた養分だけで新芽を伸ばし、葉を開かなければなりません。そのためこの時期は、根が一時的に衰えることさえあります。まさに身をけずって萌芽しているわけで、その新葉を目土で隠してしまうことは、やはり避けるべきでしょう。コウライシバとしては1日でも早く葉を開き、光合成を行ないたいはずなので、もし萌芽中やその前に目土を散布する場合には、あくまで地面の凹部分を修正する程度にとどめることをおすすめします。

6〜7月
4〜5月に目土入れが行なえなかった場合や、定期的に目土を入れてサッチの管理を行なっている場合、この時期に1回、薄めに目土を入れておきます。目土の厚みは、枯れた古い下葉が隠れる程度が目安です。

8〜9月
とくに必要というわけではありませんが、定期的に目土入れをしてサッチ管理を行なっている場合、この時期にも1回、薄めに目土を入れておくとよいでしょう。 実施時期は、エアレーション後に行なうならば8月の早い時期が、サッチとり後に行なうのであれば8月上旬ごろが適期となります。目土の厚みは、枯れた古い下葉が隠れる程度が目安です。

10〜11月
この時期は不要です。

12〜1月
この時期は必要ありません。

2〜3月
冬の間に凸凹になってしまった場所があれば、3月下旬ごろに目土を入れて補正します。ただし、あまり厚く目土を入れると、芝の萌芽にも影響をおよぼすので、凹部が深い場合は1回で補修せずに、4月以降に再度、目土入れを行なって補修するようにします。

 

サッチ取り

 

4〜5月
サッチとは元々の土壌の上に芝の茎葉やほふく茎、根などが重なって堆積したもののことです。厳密にいうと、サッチには古い枯れたものだけでなく、生きたこれらのものも含まれますが、もっぱらサッチとして問題になるのは、難分解性のリグニンを多く含む、枯れたほふく茎や太く固くなった古い根などです。

 サッチとりとは、こうしたサッチをガーデンレーキや専用の機械を使ってとり除く作業のことです。コウライシバの芝生はこのサッチがたまりやすいので、1年に何回かサッチとりを行なうことをおすすめします。ただし、レーキなどでかき出せるのは、刈りかすや枯れた茎葉などがほとんどで、ほふく茎 などをとり除くことまではできません。あくまでサッチ層の形成を遅らせることが目標です。

 サッチとりは生育シーズン中いつでも可能ですが、芝生への影響を考えると春の萌芽期と成長の低下しはじめる秋は避けるべきでしょう。したがって、シーズン最初のサッチとりは5月の新葉がそろってからをおすすめします。タイミングとしては、目土を入れる前が最適です。目土入れ前にサッチとりを行なっておけば、目土の効果も高まります。ただし、コウライシバの生育はまだ十分ではないので、強くかきとり過ぎてはいけません。コウライシバはのびが遅いぶん、ダメージからの回復も遅いので、芝を傷めない程度に行なうことがポイントです。

6〜7月
梅雨に入ると、どうしても土壌水分量が高くなりがちです。とくに、サッチがたまった表層は、水分を多く含み、常に湿った状態になっています。こうした状態は、土壌の水はけや通気性をさらに低下させ、芝の根腐れの原因になるだけでなく、地際の環境を高温多湿にして病原菌の活動を活発化させ、病気発生のリスクを高めることになります。芝を傷めるほどの過剰なサッチとりは控えるべきですが、軽めのサッチとりは積極的に行ない、芝生の表層周辺を少しでも乾きやすくするよう努めます。

8〜9月
施肥量が多めだったりすると、この時期、芝生が過繁茂気味になることがあります。密度の高い芝生は大変美しいものですが、密度が高すぎると光や空気の通りを妨げ、下葉の枯れや病気発生の原因にもなりかねません。もし、地際付近が枯葉や刈りかす、生きた茎葉などで過密状態にあるようなら、芝が傷まない程度に軽めのサッチとりを行ない、地際付近の環境を整えておくとよいでしょう。

10〜11月
サッチとりは不要ですが、この時期は周囲の樹木からの落葉が目立ちはじめます。芝生内に飛散した落ち葉を放置すると、美観を損なうだけでなく、芝の光合成を妨げるので、できるだけこまめに掃除をし、芝生内の落ち葉をとり除いておきましょう。

12〜1月
サッチとりは不要ですが、風で飛ばされてきた落ち葉が芝生内にあれば、きれいに掃除しておきましょう。

2〜3月
サッチとりは不要ですが、風で飛ばされてきた落ち葉が芝生内にあれば、きれいに掃除しておきましょう。

 

エアレーション

 

4〜5月
エアレーション(穴あけ)の適期です。造成から何年か経過した芝生であれば、この時期に1回エアレーションを行ないます。

 エアレーションとは、芝生に穴を開けて、新鮮な土や砂を入れる作業です。通常、目土入れと合わせて行ないます。いったん造成してしまうと、耕耘や全面改良ができない芝生土壌ですが、唯一、このエアレーションのときだけは局所的ではあっても土壌の入れ替えが可能となります。ただし、1回の作業で入れ替えられる土壌の量はごくわずかなので、定期的に、根気強く続けることが大切です。

 エアレーションの器具には、ムク刃(突き刺すだけの刃)のものと、中空タイン(芝を土ごと抜き取る円筒形の刃)のものがあり、作業はムク刃のほうが楽ですが、効果は中空タインのほうが高くなります。穴あけ後は必ず目土を入れ、ていねいにすり込んで穴を埋めます。通気をよくしようと穴を開けたままにすると、そこから雑草が発生してきます。また、開口部が先にふさがるので、土壌中に空洞が残り、そこは芝にとって養分も水もない、ただの無駄な空間にしかなりません。開けた穴に新しい土壌をしっかりと入れ、必要であれば土壌改良材なども併用してこそ、土壌の改良や芝生の更新になることを理解しておきましょう。

 実施する時期としては、目土入れと合わせて行なうためにも、コウライシバの新葉がそろった時期かそれ以降をおすすめします。


エアレーションの作業


エアレーションの穴

6〜7月
梅雨どきは、床土の水はけのよし悪しを判断する好機です。大雨のときならば芝生に水が浮くのも仕方がありませんが、もし大雨でもないのに芝生に水がたまるようであれば、水はけが悪い場所だと判断し、水がたまる箇所に重点的なエアレーションを行ないます。

この場合のエアレーションは、あくまでも水はけの改善が目的なので、穴はできるだけ深くあけ、目土には砂を使用するとよいでしょう。

8〜9月
床土の水はけ不良に悩まされている場合や、土壌の固結が進んできた場合などは、この時期にもエアレーションを行ない、少しずつでも土壌を更新します。エアレーションは芝生に穴を開け、芝を傷める作業なので、コウライシバの生育が旺盛な8月上旬に行ない、遅くても9月中には穴がふさがるようにします。

10〜11月
適期ではありません。

12〜1月
適期ではありません。

2〜3月
適期ではありません。

 

張り替え補修

 

4〜5月
同じ日本芝であっても、コウライシバにはノシバほどの耐寒性はありません。よって、冬の寒さや早春の天候次第では、5月になってもきれいに緑がそろわないことがあります。とくに、前年の秋にチッ素が効き過ぎて冬への備えが遅れた場合や、コウライシバが萌芽しはじめた春に、突然、冬のような寒波に見舞われたようなときなどは、芝が枯死しかねないほどのダメージを受けることもあります。万一、そのような状況になったときは、早々に見切りをつけて、4〜5月のうちに傷んだ部分の張り替え補修を行ないましょう。

 張り替え補修の場合は、床土内にコウライシバのほふく茎や根が残っているので、それらをとり除き、必要なら、土壌改良をしたのちに整地して、新しい切り芝を張ります。このとき、芝の高さを合わせることと、目地をあけずに張ることに注意します。芝の面が低いぶんには目土で補正できますが、高い場合には最初の刈り込みで軸刈りしてしまい、すぐに芝を傷めてしまいます。目地があいていると見ばえがよくないばかりか、大雨で目地の土が流亡したり、目地から新たな雑草が発生します。施工後、補修した部分だけはこまめに水やりを行ない、しっかりと根づくまで養生します。

6〜7月
コウライシバの生育が安定する時期なので、張り替え補修が必要なほど芝が傷むことはないでしょう。また、多少、芝が薄くなった箇所が残っていたとしても、今後の芝の成長にともない、次第に目立たなくなるはずです。ただし、この時期になっても裸地化している箇所があり、しかもそれがかなりまとまった広い面積であれば、その部分の自然回復はあきらめ、張り替え補修をしておきましょう。ただし、梅雨に入ってからの張り替えでは、乾きすぎる心配は少ないものの、土壌が過湿になって、かえって芝の根づきが悪くなることも考えられます。雨天続きだからと安心せずに、補修後の芝の活着具合も、ときどき確認しておきましょう。

8〜9月
9月に入るとコウライシバの成長が低下しはじめるため、この時期は芝の張り替えには適しません。しかし、何らかの事情で張り替えを行なわざるをえない場合には、エアレーション同様、8月上旬に作業を済ませるようにします。9月に入ってからの張り替えでは、根が浅く張り、貯蔵養分も不足した状態のまま冬越しに向かうことになり、地域によっては寒さで枯死したり、春の萌芽がそろわないなどの悪影響が懸念されます。冬でも暖かい地域であれば、それほど心配する必要はありませんが、霜が降りるような地域では、できるだけ、この時期の張り替えは避けたほうがよいでしょう。

10〜11月
適期ではありません。

12〜1月
適期ではありません。

2〜3月
3月に入るとコウライシバも徐々に生育しはじめるので、張り替えが必要な場所があれば補修します。この時期に張り替え補修を行なうことの利点は、コウライシバの生育がまだ十分でないために芝が乾きにくく、施工後の水やりが楽という点です。芝の成長が活発になってからだと、施工後にはこまめに水やりしなければならず、それだけ手間がかかります。ただし、芝の生育が不十分ということは、芝が活着するまでに時間がかかるということでもあります。もし、張り替え後の水やりがしっかりとできるならば、コウライシバの成長が、もう少し活発になってからがよいでしょう。

 

除草

 

4〜5月
4月のコウライシバが萌芽する時期は、前年の秋に発生し冬越しした雑草や、早春に発生した雑草、いわゆる冬雑草が目立ちます。コウライシバが芽吹く前ならば冬雑草にもすぐに気づくので、早めに除草フォークや除草小ガマなどを使って除草します。  冬雑草の除草が一段落すると、今度は春から夏にかけて発生する夏雑草が発生してきます。5月に入って刈り込み回数がふえ、芝生が密になってくると雑草の発生が抑えられてくるので、それまではコツコツと除草を続けましょう。

  コウライシバの芝生の場合、家庭園芸向けの除草剤もいくつか販売されているので、それを利用するという選択肢もあります。ただし、萌芽期のコウライシバは、まだ根の張りが浅く、生育も十分ではないので、適用のある薬剤を使用しても薬害が発生するおそれがあります。したがって、もし除草剤を使用するならば、萌芽中になる4月の間は使用を避け、できるだけ5月下旬ごろになってから使用するとよいでしょう。

   なお、造成後1年目の芝生ならばともかく、2年目以降の芝生であれば、雑草の発生量は前シーズンからの芝生の状態、つまり芝生の管理のよし悪しが反映されています。もし、前年の同時期よりも雑草の発生が多いと感じられたら、前年の管理に何か問題がなかったかを検討し、心当たりがあれば、それを改善して今年の芝生管理に活かしましょう。


フェアリーリング病(コムラサキシメジ)


フェアリーリング病(ホコリタケ)

6〜7月
4〜5月にきちんと除草してあれば、コウライシバの生育が活発になったこの時期には、それほど多くの雑草は発生しません。ただ、春にはまだ小さくて見逃してしまった雑草もあるはずです。メヒシバなどは、この時期も盛んに発生するので、見つけ次第、除草フォークや除草小ガマなどを使って除草します。また、雑草ではありませんが、梅雨どきは秋に並んでキノコが発生しやすい時期で、芝生と同様の環境を好むキノコがしばしば発生します。放任しても短期間のうちに枯れてしまうものですが、傘が開くまで放任すると新たな胞子が飛散するので、まめに刈り込むか、見つけ次第、手で引き抜くとよいでしょう。ただし、芝生に大きなリング状の変色が現れ、芝の色が濃くなったり、枯れたりし、リングに沿ってキノコが発生しているようなら、それは単なるキノコの発生ではなく、フェアリーリング病という芝の病気である可能性が考えられます。放任しても深刻な被害をおよぼすことはほとんどありませんが、美観の維持を優先するのであれば、フェアリーリング病に効果のある殺菌剤を早めに散布しておきましょう。ただ、キノコが発生したからといってフェアリーリング病であるとは限らないので、あくまでもキノコがリング状に発生し、それに沿って芝が変色しているのを確認できた場合のみに限ります。

8〜9月
9月中旬ごろになると、冬雑草がポツリポツリと発生してきます。密度の高い美しい芝生であれば、それほど多くの雑草は発生しないので、見つけ次第、除草フォークや除草小ガマなどを使ってとり除けば十分に対応できます。 問題は、春に張り芝施工した1年目の芝生や、管理が雑で密度にムラのある芝生などで、ときに除草フォークや除草小ガマなどを使っての除草では、間に合わないほどの量の雑草が発生することがあります。春の雑草であれば、その後の刈り込みによって自然に消える場合がありますが、秋の場合は刈り込み作業をしないため、雑草は旺盛に成長し続けてしまいます。そのような場合には、土壌処理剤と呼ばれるタイプの除草剤を使って防除するのが、もっとも手間のかからない方法です。もし、除草剤を使用したくないのであれば、冬枯れした芝生に発生する雑草を、地道に手でとり続けるしかありません。かなり根気のいる作業ですが、幸い、コウライシバが冬枯れしたあとであれば、雑草も簡単に発見でき、秋以降はとくに手間のかかる作業もないので、暖かな日を選んで少しずつでも除草フォークや除草小ガマなどを使って除草しましょう。なお、もし除草剤を利用して防除するのであれば、土壌処理剤である「シバニードアップ粒剤」などがおすすめです。関東地方辺りであれば9月下旬ごろに散布すると、冬雑草でもっともやっかいなスズメノカタビラなどの発生を、長期間抑制してくれます。ただし、土壌処理剤は成長した雑草には効果がありません。また、コウライシバが衰弱していたり、土壌が砂土の場合などは使用できないといった制限があるので、入手前によく確認しておくことが大切です。


芝生の中に生えたスズメノカタビラ

10〜11月
10月以降も冬雑草が発生します。コウライシバが冬枯れすると、雑草も見つけやすくなるので、こまめに除草フォークや除草小ガマなどを使って除草しましょう。


芝生の中に生えたスギナ(春~秋)


芝生の中に生えたウラジロチチコグサ(冬~春)


芝生の中に生えたカタバミ(一年中)

12〜1月
冬雑草が発生してきたら、見つけ次第、除草フォークや除草小ガマなどを使って除草しておきます。そのまま放任すると、春には根が張って抜きにくくなります。根が浅く張っているうちに抜いておきましょう。

2〜3月
3月に入ると、とり残して冬越しした雑草が成長をはじめるだけでなく、新しい雑草も発生します。新たな雑草が発生してきたら、見つけ次第、除草フォークや除草小ガマなどを使って除草します。そのまま放任すると根が張って、容易には抜けなくなるので、根が浅く張っているうちに抜いておきましょう。暖かな地域では、3月中~下旬になれば、土壌処理剤と呼ばれる除草剤も使用可能になります。ただし、前年にしっかりと除草してあれば、除草剤を使用しなければならないほどの量の雑草は、発生しないはずです。コウライシバの生育もまだ十分ではないので、2〜3月 の土壌処理剤の使用は、慎重に判断してください。

 

転圧

 

12〜1月
寒さの厳しい地域では、霜柱などで芝生の表層がもち上げられることがあります。そのままにするとコウライシバの地下部が乾燥したり、寒気にさらされてダメージを受けることにもなりかねません。日中の暖かな時間帯に転圧し、芝生面を平らに直しておきましょう。

 転圧は底が平らな靴で踏んでもよいですが、板を敷き、その上から踏むと足跡が残らずきれいに平らな状態にできます。

2〜3月
2月上旬は、1月下旬と並んで1年でもっとも寒い時期に当たります。霜柱などで芝生面がもち上げられているのを見つけたら、日中の暖かな時間帯に転圧し、平らに直しておきましょう。3月に入れば確実に暖かくなるので、しばらくは観察を続け、必要があれば転圧します。

 

ワンポイント

高性能な芝刈り機であっても、使用していけば次第に刃の切れ味が落ちてきます。コウライシバの刈り込み回数はそれほど多くはありませんが、それでも1シーズン使用すれば、刃先の摩耗や刃こぼれが起こります。
 刈り込みとは、それ自体が芝へストレスをおよぼす行為であり、いかに芝へのダメージを最小に抑えるかが大切です。同じく葉先を切るにしても、鋭利な刃で切断されるのと、鈍い刃で引きちぎられるのとでは、芝が受けるダメージも大きく異なります。鈍い刃でちぎったようになる葉先では、回復に時間がかかるだけでなく、回復するまでの間に、傷口から水分が蒸発して葉が乾きやすくなり、病原菌が侵入するリスクも高まります。芝生の美観と芝の健康にとって刃の切れ味は非常に重要なので、管理作業の少ない冬には、刈り刃の研磨を含めた芝刈り機の整備を行ないましょう。
 なお、芝刈り機の整備については、メーカーによって方法が異なるので、詳しくは各メーカーのホームページや付属の解説書でご確認ください。

監修  芝生研究家  武井和久
1963年栃木県生まれ。千葉大学大学院園芸学研究科修士課程修了。
1989年より千葉大学園芸学部助手。園芸別科(造園・樹木専攻)担当の傍ら芝草研究に従事。
1993年より株式会社那須ナーセリーに入社。寒地型芝草研究所研究員、後に主任研究員。2000年よりウェブサイトの制作・運営に携わり、芝生関連情報の公開およびサポートに努める。2006年より情報管理課長。現在、社内のIT全般を担当しつつ、芝生調査や教育研修に当たる。
2016年3月、家の光協会より「一年中美しい 家庭で楽しむ芝生づくり12か月」を上梓。

害虫・病気対策

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日本芝(コウライシバ)で適用のある害虫・病気と対処薬剤

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使用に際しては必ず商品の説明をよく読んで、記載内容に従ってお使いください。
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