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栽培管理|きんかん【地植え】の育て方

監修 宮崎大学農学部教授 國武 久登

きんかん【地植え】の栽培管理と収穫の方法について紹介します。

きんかん【地植え】写真

 キンカンは、ミカン科キンカン属に分類される常緑性低木の果樹です。キンカンの仲間の一部には、江戸時代以前に中国から伝わったものもあり、固有種と間違えるぐらい日本になじみの深い種類となっています。元来、中国南部が起源であり、いくつかの野生種やそれらの雑種が存在し、現在でもその分類は不明瞭なまま残されています。たとえば、金豆(キンズ)と呼ばれ、古くから盆栽として親しまれてきたマメキンカンは、形態的には

管理

水やり

 キンカンを含むカンキツ類の栽培では、春から夏にかけての果実の成長期に水切れさせると、落果や落葉の原因になります。植えつけ直後や空気が乾燥している時は、十分に水やりしましょう。

  しかしながら、成熟期に当たる10~12月は、土を乾かし気味に管理した方が、果実の色づきが早くなり、甘い果実ができます。

肥料

 キンカンは、木自体は小さいわりに、果実をたくさんつけます。そのため、果実を多くつけすぎると木が弱りやすいことから、施肥は、年間を通じて非常に重要な作業となります。肥料は、春に芽が出てくる前に、寒肥として粒状肥料「マイガーデンベジフル」を1株あたり200g程度、株元の土の上にばらまいて施し、軽く土を耕しておきます。

 さらに追肥として、7月下旬と9月下旬に50g程度を同様に施しましょう。施肥量は、成木になるにつれて徐々にふやします。また、樹勢が弱っている時は、液体肥料を使うと効果的です。液体肥料「マイガーデン液体肥料」、「花工場原液」を250倍に薄めたものを、株全体にかけて施します。特に、果実が多くつくので、9月の追肥は果実を肥大させるだけでなく、木を維持するのにも大切な作業となります。

仕立て方と剪定

 整枝、剪定は3月に行ないます。剪定は樹形を整え、病害虫の発生を防止し、毎年果実をならせるための重要な作業です。キンカンは自然な「ほうき仕立て」にするのが一般的です。主枝を2~3本決め、枝を更新したり、間引いたりして、木の内部の日当たりをよくしていきます。また、カンキツと違って細い枝が密集するので、こうした枝は整理します。さらに、枯れ枝は病害虫の巣になるので、必ず除去しましょう。

収穫

収穫

 11月下旬ごろから、果皮に甘みがのり、全体的に黄色から黄橙色に変わっていきます。黄橙色になったものから順次、ハサミで果梗(かこう)を切って収穫しましょう。

 最近、宮崎県ではビニールハウスを利用した「完熟キンカン」が栽培されています。樹上で成熟した果実は黄橙色が際だって、甘い果実が収穫できます。ぜひ、挑戦してみてください。ただ、あまり遅くまでならせておくと、果汁が乾燥したような「すあがり」となり、味が落ちるだけでなく、次年度の花芽にも影響するので、2月上旬までにしましょう。

監修:宮崎大学農学部教授 國武 久登

1963年、福岡県久留米市生まれ。佐賀大学農学部、千葉大学大学院自然科学研究科修了、学術博士(植物育種学)。佐賀県農業試験研究センター研究員、東海大学農学部助教授を経て、現在、宮崎大学農学部応用生物科学科教授(専門は、植物遺伝育種学、果樹園芸学)。宮崎大学大学院博士課程農学工学総合研究科教授、東海大学大学院非常勤講師を兼任。
カンキツやブルーベリーなどの果樹の品種改良や増殖に関して研究中。また、美味しい家庭果樹の栽培や普及も手がける。著書に、「新版・園芸相談 家庭果樹」、「育てて味わう!まるごとベリー」、「よくわかる栽培12ヶ月 ラズベリー、ブラックベリー」など多数あり。

きんかん【地植え】の育て方のページです。
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