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準備と植え付け|なし【地植え】の育て方

監修 宮崎大学農学部教授 國武 久登

なし【地植え】を育てるための準備と植えつけの方法をご紹介します。

なし【地植え】写真

ナシは中国西部から南西部にかけてが原産です。原産地から東に伝わる過程で東洋系のナシが生まれ、原産地から西方に伝わったものからセイヨウナシが生じたとされています。日本で広く栽培されているニホンナシは中国や朝鮮半島から導入されたという説と、日本に古くからあるニホンヤマナシから改良されたとする二つの説があります。

準備

種類・品種選びのポイント

 夏に高温多湿になる場所が多い日本での栽培には、ニホンナシが適しており、赤ナシの‘豊水’ ‘幸水’、青ナシの‘菊水’‘二十世紀’などの品種があります。

完熟したナシは果汁たっぷりで、香りと甘みが強い秋を代表する果実のひとつです。

また、ナシは4月にサクラに似た可憐な白い花を枝いっぱいに咲かせます。なかでも、花の大きい‘豊水’や、ピンク色の花を咲かせる‘大原紅’(おおはらべに)は観賞にも優れた品種です。

育て方のコツ

ナシのほとんどの品種は1本では実がつかない「自家不和合性」という性質を持っています。自分の花粉では結実しないので、他品種との混植が必要です。必ず相性のよい受粉樹を用意し、2品種以上を一緒に栽培することが重要です。例えば‘豊水’ ‘幸水’ ‘長十郎’ ‘大原紅’のなかから2品種を選んで栽培するとよく結実します。しかし、‘幸水’と‘新水’、‘新高’と‘豊水’、‘新興’と‘新星’、‘菊水’と‘二十世紀’の組み合わせでは結実しないので注意が必要です。 

確実に着果させるためには、とくに昆虫の少ない市街地では、受粉樹の花を採取して、目的の品種の花に直接擦りつけるようにして人工授粉すると確実に着果できます。1本でも実がなる‘おさ二十世紀’のような品種は、庭にこの品種を1本植えるだけで収穫できます。‘おさ二十世紀’は開花期に枝を揺すると、さらに実つきがよくなるでしょう。

果実が肥大してきたら摘果をし、大きな果実をならせます。開花3~4週間後に果実がビー玉くらいの大きさになったところで、1花房あたり1果を残してほかの果実は摘み取ります。果実がピンポン玉くらいの大きさになったところで2回目の摘果をします(イラスト参照)。葉30枚に対して1個の果実を残すようにします。摘果が終わったら、パラフィン紙の袋をかけて病害虫から守ります。収穫が近づいてきたら、水やりを控えるようにすることが、甘くジューシーな果実にするポイントです。

植えつけ方

植えつけ

 3月または12月に植えつけます。イブキ類(ビャクシン、カイヅカイブキ、シンパクなど)にはナシの赤星病の原因になる病原菌が寄生しているので、これらの樹木の近くに植えないよう注意します。

庭植えの場合は、保水力と水はけのよい日なたを選びます。直径、深さとも50cm程度の穴を掘り、掘り上げた土5、完熟腐葉土3、赤玉土小粒2をよく混合します。この混合土の1/3に、1株あたり300g程度の粒状肥料「マイガーデンベジフル」をよく混合して埋め戻します。

次に、ポリポットから取り出した苗を、肥料を加えていない残り2/3の混合土を用いて植えつけます。なお、水はけが悪い場所は、少し盛り土をするとよいでしょう。また、苗木は地面から50cmで切り、支柱を立て誘因ひもでしっかり固定します。

監修:宮崎大学農学部教授 國武 久登

1963年、福岡県久留米市生まれ。佐賀大学農学部、千葉大学大学院自然科学研究科修了、学術博士(植物育種学)。佐賀県農業試験研究センター研究員、東海大学農学部助教授を経て、現在、宮崎大学農学部応用生物科学科教授(専門は、植物遺伝育種学、果樹園芸学)。宮崎大学大学院博士課程農学工学総合研究科教授、東海大学大学院非常勤講師を兼任。
カンキツやブルーベリーなどの果樹の品種改良や増殖に関して研究中。また、美味しい家庭果樹の栽培や普及も手がける。著書に、「新版・園芸相談 家庭果樹」、「育てて味わう!まるごとベリー」、「よくわかる栽培12ヶ月 ラズベリー、ブラックベリー」など多数あり。

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