植物栽培ナビパッションフルーツ【地植え】の育て方

監修  宮崎大学農学部教授 國武 久登
基本情報
基本情報
科名属名
原産地
分類
栽培のスタート
日照条件
生育適温
水やり
特徴
樹高
種まき期
植えつけ期
開花期
収穫期
植えつけから収穫までの期間
開花から収穫までの期間
豆知識

鉢やコンテナで育てるときは

 あんどん仕立ての場合、7~10号(直径21~30cm)程度の大きさの鉢を使用します。緑のカーテンに利用する場合は、一般的な65cmプランターを使用します。いずれの場合も、1鉢に1本の苗を植えつけて栽培します。

 まず、鉢やプランターにゴロ土を入れ、赤土、腐葉土、赤玉土の小粒を4:4:3で配合した用土を準備し、この混合土の1/4量に、用土1ℓ当たり8g程度の粒状肥料「マイガーデンベジフル」をよく混合して鉢やプランターに入れます。次に、ポリポットから苗を取り出し、肥料を加えていない残り3/4の混合土を用いて苗を植えつけます。最後は、棒などで土をよく突いて、すき間なく土を入れます。用土は鉢縁まで入れずに、9分目程度までにして、ウォータースペースをとりましょう。あんどん仕立ての場合は、ここであんどん支柱を立てます。

 植えつけた鉢は、南向きで日当たりがよく、強風が吹きつけない場所に置きます。緑のカーテンに利用する場合は、ネットを張った場所にプランターを設置します。

 つるが伸びてきたら、あんどん、またはネットに誘引していきます。

 水やりは、7~9月までは1日2回、それ以外は表土が乾いたら、たっぷり水やりするのが目安です。

 追肥として6月に用土1ℓ当たり2g程度の粒状肥料「マイガーデンベジフル」を施します。冬越しさせた株には、翌年の生育前の3月に、元肥として同様の肥料を用土1ℓ当たり4g程度を、株元にばらまき、その後6月に前記と同様の肥料をばらまきます。

 液体肥料を施す場合には、「マイガーデン液体肥料」、「花工場原液」、「ベジフル液肥」を1000倍に薄めたものを、2週に1回程度施します。

 なお、パッションフルーツは霜に弱いため、冬はつるを1/3程度まで切り戻し、秋早めに室内に移動させて日当たりのよい場所で管理しましょう。

栽培カレンダー

カレンダーは拡大してご覧ください。

準備と植えつけ

準備

種類・品種選びのポイント

 パッションフルーツの品種には、果実の色が紫色の系統と黄色の系統、それらの交雑種の3つがあります。日本では、比較的寒さに強い紫色の系統が、主に沖縄県や暖地の無霜地帯で栽培されています。

 熱帯原産の植物ですが、寒さに強い品種を選んで鉢植えにし、冬の管理を適切に行なえば、関東地方以西の平野部でも十分に楽しむことができます。

育て方のコツ

 パッションフルーツは基本的に花がつきやすい植物で、苗を購入した年から果実がつきます。花が咲かないということがあれば、管理の基本を確認してみましょう。

 まず、植えつけは、遅霜の心配がなくなってから行ない、植えつけ直後に寒さで株が傷まないように注意します。植えつけには、水はけと水もちがよく、有機物を多く含んだ用土を使い、日当たりのよい場所に育てることが大切です。

 また、枝葉が大きく展開した後は、チッ素肥料を減らしリン酸分の多い肥料に切り替えることが花をつけやすくするポイントとなります。

 

植えつけ方

植えつけ

 パッションフルーツは、1~2年生のさし木苗が春から夏にかけて販売されます。緑のカーテンに使う場合には、夏に間に合うよう、なるべく大きく育った苗を選びましょう。

 植えつけ適期は、霜の心配がなくなった4月です。冬越しさせた苗は、この時期を待って植え替えるとよいでしょう。

 庭植えの場合は、日当たりや水はけがよく、強風が吹きつけない場所を選びます。直径、深さとも50cm程度の植え穴を掘り、掘りあげた土5、腐葉土3、赤玉土の小粒2をよく混合します。この混合土の1/3量に、1株あたり300g程度の粒状肥料「マイガーデンベジフル」をよく混合して埋め戻します。次に、ポリポットから苗を取り出し、肥料を加えていない残り2/3の混合土を用いて苗を植えつけます。この際、肥料が根鉢に直接触れないように注意しましょう。

 なお、水はけ悪い場所に植えつける場合は、少し盛り土をするとよいでしょう。また、パッションフルーツは風で揺れると成長が遅れるため、植えつけた苗には支柱を立て、ひもでしっかり固定して誘引します。無霜地帯以外では、冬越しは難しいため、翌年は新しい苗を購入して栽培するとよいでしょう。

 

栽培管理

管理

水やり

 パッションフルーツの水やりは、基本的には鉢土の表面が乾いたら行ないます。気温が高くなる6月以降は、株も旺盛に生育を始めるため、1日2回は水やりするようにします。また、つるがどんどん伸びる栄養成長が盛んすぎると花芽がつきにくくなるため、枝葉が大きく展開した後は、水やりを控えめにします。

肥料

 パッションフルーツの生育初期には、株を充実させるためにチッ素肥料を基本に施すことが有効ですが、チッ素過多になって栄養成長が盛んすぎると、花芽がつきにくくなります。ある程度株が成長したら、チッ素分を控えてリン酸肥料を施すことがポイントです。

 庭植えの場合、1~2年生苗であれば、元肥として植えつけ時に粒状肥料「マイガーデンベジフル」を1株あたり150g程度施し、さらに追肥として、6月に同様の肥料を75g程度、施しましょう。粒状肥料「マイガーデンベジフル」は、元肥(3月)と追肥(6月)の両方に使えます。

 なお、施肥量は、成木になるにつれて徐々にふやします。無霜地帯以外では庭植えでの冬越しは難しいため、果実の収穫が終わったときの9月の追肥(お礼肥)は不要でしょう。

誘引

 パッションフルーツはつる性植物のため、枝の誘引が必要です。果実を収穫する目的の場合は、あんどん仕立てが最適です。緑のカーテンに仕立てる場合は、ネットに誘引します(図参照)。主幹を一本立ちさせ、地表から20~30cmぐらいで左右に数本の主枝を分岐させて誘引し、さらに、それぞれの主枝から出る側枝をネットに誘引していきます。最初は頻繁に誘引が必要ですが、徐々に自分で巻きづるを伸ばし這い上がっていきます。側枝に花が多くつくので、収穫が終わるまでなるべく剪定はしないようにしましょう。

 剪定後の切り口、及び傷口のゆ合促進には、殺菌剤「トップジンMペースト」を剪定整枝時の枝の切り口に塗布します。

 

収穫

受粉・収穫

 パッションフルーツは、充実した株では5月頃から開花を始め、2カ月ほど開花期が続きます。果実が紫色の系統は自家受粉で結実するといわれていますが、同株の別の花や異株の花の花粉を受粉させることで、実つきがよくなり果実も大きくなります。そのため、できれば2株以上を植えるとよいでしょう。

 果実の成熟時期は、真夏の高温乾燥する時期に当たり、また、果実と葉の間で水分の競合が起こるため、水切れには特に注意することがポイントです。

 果実は、受粉からおよそ2カ月で収穫期を迎えます。果実を軽く持ち上げて取れる程度に熟したら収穫します。

 収穫した果実は、果実表面にシワができるまで室温で保存してから食べると、甘酸っぱい最高の香りのパッションフルーツが味わえます。

監修  宮崎大学農学部教授 國武 久登
1963年、福岡県久留米市生まれ。佐賀大学農学部、千葉大学大学院自然科学研究科修了、学術博士(植物育種学)。佐賀県農業試験研究センター研究員、東海大学農学部助教授を経て、現在、宮崎大学農学部応用生物科学科教授(専門は、植物遺伝育種学、果樹園芸学)。宮崎大学大学院博士課程農学工学総合研究科教授、東海大学大学院非常勤講師を兼任。
カンキツやブルーベリーなどの果樹の品種改良や増殖に関して研究中。また、美味しい家庭果樹の栽培や普及も手がける。著書に、「新版・園芸相談 家庭果樹」、「育てて味わう!まるごとベリー」、「よくわかる栽培12ヶ月 ラズベリー、ブラックベリー」など多数あり。

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