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準備と植え付け|もも【地植え】の育て方

監修 宮崎大学農学部教授 國武 久登

もも【地植え】を育てるための準備と植えつけの方法をご紹介します。

もも【地植え】写真

 モモは、観賞樹ともいえるほど花が美しく、またほのかな紅色をした果実には、ほかの果物にはない甘さとみずみずしさがあります。特に、樹上で完熟させた果実を収穫できる醍醐味は、自家栽培ならではの楽しみです。  さて、モモは、バラ科モモ属の落葉小高木で、中国西北部の黄河上流域が起源とされており、ヨーロッパへはペルシアを経由して1世紀頃には導入されていたといわれています。中国において桃は「仙果」呼ばれ

準備

種類、品種選びのポイント

 始めてモモを育てるなら、品種選びが大きなポイントになります。庭やベランダのスペースを考慮すると、1本植えでも果実がつく品種がよいでしょう。

 モモには‘白桃'‘砂子早生'のように花粉がない、または少ない品種があり、これらの品種の場合、もう1本、花粉のある品種が必要になります。花粉があり、1本でも実がなる品種には、‘あかつき'‘白鳳'‘大久保'などがあります。

 また、もう1つの品種選びのポイントは、成熟時期です。味がよいとされる晩生品種は、梅雨明けから成熟するので、病害虫がつきやすい傾向があります。‘ちよひめ'などの、早生種~中生種を中心に選ぶことが大切です。

育て方のコツ

 モモは、マイナス15℃の低温にも耐えるほど寒さに強く、鉢植えだと全国で栽培が可能ですが、庭植えで美味しい果実を生産するには、東北地方南部以南が適地とされています。また、日当たりがよく、水はけのよい場所が適します。モモは特に過湿に弱いので、湿地は避けることが賢明です。

 次に、‘白桃'系品種群のように、花粉が少ないことが原因で、2本植えなければ実がつきにくい品種があります。そのような品種を栽培する場合、1本は花粉の多い品種を植え、人工授粉を行ないます。人工授粉は、花粉をもつ品種の花を直接、実をつけさせる目的にする品種の花にこすりつけるように授粉させるか、または、葯ごと花粉を集め、やわらかい筆や綿棒などで授粉させるとよいでしょう。最近では、都心部、ベランダ、人通りの多い場所などは、放花昆虫が少なくなっているようです。1本でも実がなる品種でも、着果する数が少なくなる傾向があるようです。簡単な作業なので、ぜひ人工授粉を試してみましょう。

 また、よい果実をつけるための、「摘花(蕾)」・「摘果」の作業は重要です。モモは、生理落果という性質を持っており、花(幼果)の半数以上は6月までに落ちてしまいます。そのため、1回に花を落とさず、徐々に整理していくことが重要です。まず、蕾がふくらんできて赤みが出始めたら、上向きの蕾は取り除き、下向きのものを残していきます。次に、摘果は2回程度に分けて行ないます。1回めは開花から約4週間後、2回目は5月下旬が適期です。最終的な摘果の目安は、葉数にして20~25枚に1果程度とします。枝の種類ごとであれば、図に示したように、30cm以上の長い枝(長果枝)には2~3個、20cm前後の枝(中果枝)には1~2個、15cm以下の枝(短果枝)は5本に1個程度を残すようにします。

 

植えつけ方

植えつけ

 モモは接ぎ木苗の形で、9~4月を中心に通信販売や園芸店などで販売されます。苗は地上部と地下部のバランスがよく、細根が多く、根がしっかりしているもの、病気に侵されていないものを選びましょう。苗を購入したら、余分な土を落として、6~12時間、根を水に浸して吸水させてから植えつけましょう。

 モモは、極端に根が過湿になるのを嫌うので、庭植えでも、鉢植えでも、日当たりがよい場所で、水はけのよい土に植えることが大切です。植えつけは、11~2月の休眠期が適していますが、花が咲くのが早いので、暖地では年内に植えつけを終えることをおすすめします。

 まず、庭植えでは、植えつけ2週間前に、直径50cm、深さ50cm程度の穴を掘り、掘り出した土5、腐葉土3、赤玉土中粒2に、適量の苦土石灰を混合し、さらに、粒状肥料「マイガーデンベジフル」を1株当たり200g程度を加えておくのがポイントです。

 植えつけ当日には、まず、混合した土を植え穴に半分程度入れて、根を広げるようにして据え、残りの土を入れて浅く植えつけます。最後に、地上部は60cm程度の高さまで切り戻し、支柱を立てます。最後に、たっぷりと水やりします。

監修:宮崎大学農学部教授 國武 久登

1963年、福岡県久留米市生まれ。佐賀大学農学部、千葉大学大学院自然科学研究科修了、学術博士(植物育種学)。佐賀県農業試験研究センター研究員、東海大学農学部助教授を経て、現在、宮崎大学農学部応用生物科学科教授(専門は、植物遺伝育種学、果樹園芸学)。宮崎大学大学院博士課程農学工学総合研究科教授、東海大学大学院非常勤講師を兼任。
カンキツやブルーベリーなどの果樹の品種改良や増殖に関して研究中。また、美味しい家庭果樹の栽培や普及も手がける。著書に、「新版・園芸相談 家庭果樹」、「育てて味わう!まるごとベリー」、「よくわかる栽培12ヶ月 ラズベリー、ブラックベリー」など多数あり。

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