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栽培管理|ラズベリー【地植え】の育て方

監修 宮崎大学農学部教授 國武 久登

ラズベリー【地植え】の栽培管理と収穫の方法について紹介します。

ラズベリー【地植え】写真

 ラズベリーは、バラ科のキイチゴ属に分類される低木性落葉果樹です。キイチゴの仲間は、日本にも多くの野生種が自生しており、子どもの頃に摘んだ思い出がある人もいるのではないでしょうか。完熟した果実は、まさに赤や黄色の宝石のようです。病害虫に強く、家庭での栽培が容易で、庭植えだけでなく、鉢植えでも十分に育てることができ、1年もすると最初の果実を収穫することができます。果実は生食のほか、ジャムやジュースな

管理

水やり

 庭植えの場合は、植えつけ時にしっかり水やりしていれば、後は土の表面が乾いている場合に水やりするだけで問題有りません。

 鉢植えの場合は、4月から7月までは1日1回、8月から9月は1日2回、そして10月から3月は表土が乾いたタイミングを水やりの目安とします。なお、ベランダ栽培では、夏場の乾燥に注意が必要です。

 

肥料

 庭植えの場合は、萌芽が始まる前の3月までに元肥として、粒状肥料「マイガーデンベジフル」を1株あたり50g程度施し、さらに5月から6月と、8から9月に追肥として、同様の肥料を1株当たり25g程度を施しましょう。施肥の量は、株が大きくなるにつれて、少しずつふやすとよいでしょう。

 なお、肥料は株元ではなく、樹の枝の広がりよりも外側に施しましょう。

 鉢植えの場合は、同様の時期に同様の肥料を、1株あたり3g程度を施します。葉色の様子を見ながら、施すことがポイントです。

剪定

 ラズベリーに限らず、果樹の冬期剪定をする場合、結果習性を理解したうえで剪定をすることが重要です。特に、ラズベリーは、ほかの果樹とは異なる習性を持っているので注意しましょう。

 まず、ラズベリーの花芽は「混合花芽」と言って、ブドウのように1つの芽の中に葉枝と花芽の両方を持っています。また、その分化期は一般的なもので7月上旬から中旬と言われています。

 次に、ラズベリーには「一季なり性」と「二季なり性」があります。「一季なり性」の種類は、春に地下茎からでてくるサッカーや、株元から発生するシュートのような栄養枝(1年枝またはプライモケーン)が伸長して、冬期の低温に遭遇した後、結果母枝(2年枝またはフローリケーン)となります。そして翌春、果実は、結果母枝の芽から伸長する結果枝の先端に着きます。この結果母枝と結果枝は、結実後、冬までに枯死してしまいます。

 一方、「二季なり性」の種類は、まず春に、結果母枝から発生した結果枝の先端に果実が着きます(春果)。この結果母枝は一季なり性種と同様、冬期に枯死します。さらに、春に発生したサッカーが結果枝となり、秋にはその先端に果実が着きます(秋果)。こうした仕組みによって、1年のうちに2回、収穫を楽しめるというわけです。ちなみにこの秋果をつけたサッカーは、翌年には結果母枝となり、結果枝を発生させて春果を着けます。その収穫後には枯死するという、サイクルを繰り返します。

 ラズベリーの剪定は、1月から2月に行ないます。果実をつけたすべての枝(結果枝)を、つけ根から切り取ります。なお、「二季なり性」の種類は、秋に果実がついた枝には翌年に果実が着くので切り取らず、残すようにしましょう。切り取ってもよい枝(イラストの1)は、枯れ込んで灰色になっているので、識別は容易です。

 次に、残す結果母枝を決め、枯れた部分(イラストの1)があれば切り取ります。結果母枝から出ている側枝は、1~2芽を残して切り詰めましょう(イラストの2)。春になると結果枝が30cm以上伸びるので、株全体のバランスをとるために切り詰めますが、スペースが十分ある場合は、2芽以上残してもかまいません。また、夏期に風通しよくしたり、株の中に光が入るように、細い枝は切除して枝と枝の間隔をあけます(イラストの3)

 最終的には、しっかりして大きい芽をもつ、太く充実した結果母枝を、1株あたり5~6本残すようにします。剪定後は、実がなったときの姿を考えながら、支柱やトレリスなどに誘引します。

 剪定後の切り口、及び傷口のゆ合促進には、殺菌剤「トップジンMペースト」を剪定整枝時の枝の切り口に塗布します。

収穫

収穫

 ラズベリーの収穫期は「一季なり性」であれば6月から7月、「ニ季なり性」であれば6月から7月と、10月から11月です。ラズベリーの果実は一度に成熟しないので、完熟したものから開花直後の幼果まで、ひと株でさまざまな段階の果実を見ることができます。完熟した果実の色は、品種によって赤、黄色、黒がありますが、ともに成熟すると柔らかくなり、独特の芳香が強く漂います。果実の傷みを避けるために、収穫は天気のよい日の朝、または夕方に行ないます。

ふやし方

 ラズベリーの仲間は、4月~5月ぐらいになるとたくさんのサッカーが出てくるので、それをつけ根から切り取って採取し、新しい鉢に植えつければ、容易に繁殖ができます。この時期は出芽して間もない時期ですので、根を切るとすぐに萎れてしまします。採取したら、すぐに水に浸けておくことがポイントです。

監修:宮崎大学農学部教授 國武 久登

1963年、福岡県久留米市生まれ。佐賀大学農学部、千葉大学大学院自然科学研究科修了、学術博士(植物育種学)。佐賀県農業試験研究センター研究員、東海大学農学部助教授を経て、現在、宮崎大学農学部応用生物科学科教授(専門は、植物遺伝育種学、果樹園芸学)。宮崎大学大学院博士課程農学工学総合研究科教授、東海大学大学院非常勤講師を兼任。
カンキツやブルーベリーなどの果樹の品種改良や増殖に関して研究中。また、美味しい家庭果樹の栽培や普及も手がける。著書に、「新版・園芸相談 家庭果樹」、「育てて味わう!まるごとベリー」、「よくわかる栽培12ヶ月 ラズベリー、ブラックベリー」など多数あり。

ラズベリー【地植え】の育て方のページです。
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