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栽培管理|温帯スイレンの育て方

園芸研究家 倉林雪夫

温帯スイレンの栽培管理と収穫の方法について紹介します。

温帯スイレン写真

水面にぽっかりと花を浮かべる温帯スイレンは昔から人々の心をとらえ、印象派の巨匠モネが夢中になったことでも知られています。池で咲いている姿が印象的ですが、スイレン鉢を使えば家庭でも手軽にその花を楽しむことができます。

置き場所

半日以上日の当たるところ(できれば8時間以上)だが、真夏は水温が上がらないように工夫すると良いです。

 

水やり

水が減ってきたら、株元が露出しないうちに水を継ぎ足していっぱいにする。水道水をそのまま入れてかまいません。
水が極端に濁らない限り、水替えは不要です。

 

肥料

元肥が十分にいれてあれば追肥不要だが、葉色が薄くなって生育が悪くなってくるようなら、「マイガーデン粒状肥料」または、市販のスイレン用肥料か錠剤型の肥料を株元から離れたところに埋め込みます(水中に溶け出さないよう、土に埋めてふたをする)。

 

間引き・土寄せ

黄色くなってきた葉や重なり合った葉などは早めに摘み取ります(茂りすぎると花付きが悪くなる)。

 

わき芽摘み

小さな葉が出てきたらわき芽なので、付け根から摘み取ります(わき芽が増えると花が咲きにくくなる)。

 

花ガラ摘み

終わった花は閉じた状態で水中にもぐるが、放置すると腐ってきて水が汚れるので、摘み取ります。

 

防寒・冬越し

寒さには強く、水面に氷が張っても大丈夫(根茎本体が凍らなければ良い)なので、屋外で水中に入れたまま越冬させます。

 

植え替え、株分け

芽数が増えすぎると咲かなくなるので、毎年必ず株分けして植え替えが必要。放置すると咲かなくなります。

従来は3月~4月の植え替えが常識とされていたが、10月~11月に行うと作業がしやすく(水が冷たくない)、春の開花も早いのでオススメ!

土を落として根をすべて切りつめ、芽を付けた根茎を7~10㎝程度で切り分けます。

  • 温帯スイレンの根茎
  • 根茎の芽の位置

この時、余分な芽はカキ取り、1株に1芽だけ残した方が花が咲きやすくなります。品種にもよるが3~10倍に増えます。

植え込み鉢に用土を詰め、伸長方向を空けて根茎を横向きに植え付けます。この時、根茎の後ろの方を土に埋め、芽先は土の上に出しておきます。根茎が浮いてしまうようなら、針金でUピンを作り差し込んで固定します。

肥料は春になって新芽が伸び始めてから土に埋め込むと良いでしょう。水中に溶け出さないよう、根茎から離れたところにまとめて埋め込み、土で覆っておきます。

 

 

 

害虫&病気対策

温帯スイレンは病害虫の少ない植物なので、ほぼ無農薬で栽培が可能です。しかしアブラムシが付くことがあり、放置しておくと生育に影響するので、早めに防除します。メダカを飼っていなければ、「オルトランDX粒剤」を水中に撒けば簡単に防除できますが、メダカがいる場合には魚に影響の少ない「モスピラン・トップジンMスプレー」を葉に散布します。鉢から飛び出している葉が多いと、その葉裏に付きやすくなるので注意します。
特に秋口に大量発生することがあるので、気を付けましょう。

葉が直径1~2㎝にくりぬかれ水に浮いていたら、ミズメイガの仕業です。その中に小さな芋虫が潜んでいるので、回収して捕殺します。

ごくまれに、葉に褐色の斑点が出る褐斑病が発生しますが、少ないうちに病気の葉を回収してしまえば、ほとんど問題ありません。

 
監修 園芸研究家 倉林雪夫

1950年 東京都生まれ 明治大学農学部卒。
三重県の(株)赤塚植物園育種開発部参与。シャクナゲやタイタンビカス等さまざまな植物の育種を担当。熱帯スイレンについては、海外からの導入だけでなく、量産体制のシステム作りや一般への普及に取り組んできた。
NHK「趣味の園芸」で過去2回熱帯スイレンのテーマで出演。

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