植物栽培ナビオリーブ【地植え】の育て方

監修  宮崎大学農学部教授 國武 久登
基本情報
基本情報
科名属名
原産地
分類
栽培のスタート
日照条件
生育適温
水やり
特徴
樹高
種まき期
植えつけ期
開花期
収穫期
植えつけから収穫までの期間
開花から収穫までの期間
豆知識

鉢やコンテナで育てるときは

鉢植えでは、必ず鉢底にゴロ土を入れて水はけと通気性をよくし、赤玉土6、腐葉土3、川砂1の割合で混合した用土を使用します。これらの混合用土1ℓ当たりに5gの粒状肥料「マイガーデンベジフル」を混ぜて植えます。その際、苦土石灰を少々入れておくと、生育がよくなります。枝が幼いときは細く、しなやかなので、必ず支柱を添えましょう。

栽培カレンダー

カレンダーは拡大してご覧ください。

準備と植えつけ

準備

種類・品種選びのポイント

 オリーブの品種は、利用目的により3種類あります。‘ルッカ'や‘ネバディロ・ブランコ'などのオイル用品種、‘アスコラノ'や‘カラマタ'などのピクルス用品種、および‘シプレッシーノ'や‘ミッション'などのオイルとピクルスの兼用品種です。品種によって樹勢や果実の大きさも違うので、品種選びはポイントです。

育て方のコツ

 自分の花粉では受精が困難な自家不和合性という特徴を持っています。そこで、必ず違う品種を2本以上植えることが重要です。組み合わせによって受粉のしやすさが違うという報告もありますが、花粉量の多い‘ネバディロ・ブランコ'という品種を片親に選ぶことが多いようです。

 

植えつけ方

植えつけ

 オリーブは、主に1~2年生のさし木苗が秋と春に販売されています。植えつけ適期は関東地方以西の平野部であれば4~5月、または9~10月です。やや気温が低下する山間地では、春植えがよいでしょう。

 オリーブは日当たりを好み、水はけのよい土壌であればよく育ちます。庭植えの場合、直径、深さとも50cm程度の穴を掘り、掘りあげた土5、腐葉土2、赤玉土小粒3に粒状肥料「マイガーデンベジフル」(1株あたり200g程度)をよく混合します。この作業を2週間前に行ない、適量の苦土石灰も入れておくことがポイントです。

 植えつけの際は、穴を半分から2/3程度まで埋め戻し、苗木の根鉢をくずして、根を広げて苗を据えてから、用土を入れます。必ず浅植えにし、苗木の高さの50cm程度で切り詰め、支柱を立てます。最後に十分に水やりします。

 なお、オリーブは根が浅いので、強風などで倒れやすい特徴があります。しっかりと支柱を添えることが大切で、特に庭植えでは忘れずに支柱を立てましょう。

 

栽培管理

管理

水やり

 オリーブは基本的には乾燥に強い植物ですが、適度の水分を好むため、1年を通して水を切らさないようにした方がよく育ちます。乾燥に強いといっても、水分がないと成長は極端に抑えられてしまいます。夏期に乾燥する地域では、腐葉土などを使って株元をマルチングすることが重要です。

肥料

 この樹種はそんなにたくさんの肥料は必要ないのですが、やはり定期的な施肥は重要です。葉の色がやや黄色っぽくなったら、栄養不足のサインです。庭植えの場合は、2月に寒肥として粒状肥料「マイガーデンベジフル」を約200gを株のまわりにばらまいて施します。果実が収穫できるようになってからは、果実が成長する6月と収穫後の11~12月に、50g程度ずつ同様にばらまいて追肥します.また、石灰を好むので、樹勢をみながら適量の苦土石灰をすき込むとよいでしょう。

剪定

 オリーブの剪定は、気温が下がり、根が動いていない2月に行ないます。花芽は前年春に伸びた枝につきます。冬期剪定でその新しい枝をすべて切ると果実がつきません。一方で、まったく剪定をしないと、枝や葉が混み合い、樹幹の内部まで日光が届かなくなったり、風通しが悪くなって樹勢が衰え、病気の原因にもなります。全体のバランスをみながら、枝を透かす間引き剪定をするようにしましょう。樹勢がついてくると根際からたくさんのひこばえが出てくるので、毎年つけ根から切ります。また,5年に1回程度は太い枝を切り、樹の若返りを図りましょう。剪定後の切り口や傷口のゆ合を促すには、殺菌剤「トップジンMペースト」を剪定整枝時に枝の切口に塗布します。

 

収穫

収穫

 オリーブは成熟するにつれて、果皮が緑色から赤色、そして黒紫色に変わっていきます。果実をピクルスや塩漬けにする場合は、9月ぐらいから未熟な果実を収穫します。収穫した果実に含まれる渋みを取るには苛性ソーダが必要で、作業には注意が必要です。また、オイルを搾る場合は、12月ごろに完熟した果実を収穫します。

ふやし方

 オリーブは、ブルーベリーと同様に、緑枝ざし(密閉ざし)で簡単にふやすことができます。太木ざしといって、直径5cm以上の枝を2月に土中に埋め込み、直接成株を作る大胆な方法もあるぐらいです。緑枝ざしは6~7月に行ないます。新梢の先10~15cm程度をさし穂用に準備し、葉を4~5枚程度残してほかは取り去ります。さす用土は、日向土とパーライト(1:1)などの水はけのよいものを用いましょう。準備したさし穂を用土にさし、よく水をかけて、ポリシートで密封するとできあがりです。置き場は日なたよりも日陰がよく、1週間に1回水やり、または水を霧吹きして、湿度を保ちます。1カ月程度で発根し、小苗ができます。

監修  宮崎大学農学部教授 國武 久登
1963年、福岡県久留米市生まれ。佐賀大学農学部、千葉大学大学院自然科学研究科修了、学術博士(植物育種学)。佐賀県農業試験研究センター研究員、東海大学農学部助教授を経て、現在、宮崎大学農学部応用生物科学科教授(専門は、植物遺伝育種学、果樹園芸学)。宮崎大学大学院博士課程農学工学総合研究科教授、東海大学大学院非常勤講師を兼任。
カンキツやブルーベリーなどの果樹の品種改良や増殖に関して研究中。また、美味しい家庭果樹の栽培や普及も手がける。著書に、「新版・園芸相談 家庭果樹」、「育てて味わう!まるごとベリー」、「よくわかる栽培12ヶ月 ラズベリー、ブラックベリー」など多数あり。

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