植物栽培ナビたまねぎ【地植え】の育て方

監修  恵泉女学園大学教授 藤田智
基本情報
基本情報
科名属名
原産地
分類
栽培のスタート
日照条件
生育適温
水やり
特徴
樹高
種まき期
植えつけ期
開花期
収穫期
植えつけから収穫までの期間
開花から収穫までの期間
豆知識

オニオンセット栽培

 8月末に、タマネギの小さな子球を植えつけ、年内に収穫できるオニオンセット栽培という方法があります。子球は、3月にタネをまき、直径2cm程度の小さな球に肥大させたもので、8~10月にこの子球を植えつけて育てます。植えつけの時期が8月末までだと、年内に新タマネギを収穫することができます。比較的簡単なので試してみましょう。

コンテナで育てるときは

 コンテナで育てるときは、上記のオニオンセット栽培が向いています。

 8月末、標準型のプランターを用意し、プランターの底が見えなくなるぐらい鉢底石や軽石を敷きます。次いでウォータースペースを1~2cmとって用土1ℓ当たり粒状肥料「マイガーデンベジフル」を7gを混ぜた培養土を入れ、土の表面を平らにします。平らにした表土に、子球を10cm間隔で置き、先端が少し隠れるぐらいの深さに埋め、たっぷり水やりをします。その後も土の表面が乾いたらたっぷりと水やりします。水のやりすぎに注意しましょう。

 9月末と10月末に、土の表面を軽く耕し、根元に土寄せして、1週間間隔で2~3回、液体肥料「マイガーデン液体肥料」か、液体肥料「花工場原液」か、液体肥料「ベジフル液肥」を500倍に薄めて追肥します。

 11月中下旬に、7~8割の茎葉が倒れてきたら、根元を持って引き抜き、収穫します。収穫後の保存方法は、菜園や畑の場合と同じです。

栽培カレンダー

カレンダーは拡大してご覧ください。

準備と植えつけ

準備

作型や品種の特徴

 タマネギも品種が増え、多彩なものがラインナップされています。

1. 極早生

 11月上~中旬に苗を植え、4月下旬~5月上旬に収穫できます。‘マッハ'はとう立ちも少なく、低温でも鱗茎が肥大しやすく、病気にも強い品種です。‘チャージII'は、1球が300~350gになる品種で、つくりやすく、食味もよく、家庭菜園向き品種です。

2. 早生

 11月中~下旬に苗を植え、5月中旬から収穫します。‘ソニック'は病気に強く、とう立ちも極めて少ない品種です。また、中早生種では‘オメガ'が病気に強く、揃いもよく、収穫後9月までのつり玉貯蔵に向きます。

3. 中生・中晩生

 11月下旬~12月上旬に苗を植え、6月上旬から順に収穫します。中生では、‘ターボ'、‘O・K黄'、‘O・L黄'、‘O・P黄'、‘アトン'がおすすめです。‘ターボ'は病気に強く、1球320gで収穫量も多い品種です。‘O・K黄'は1球290gほどで貯蔵力がよく、萌芽も少ないので12月まで貯蔵可能な品種です。‘O・L黄'は作りやすく食味よく1球300gになります。‘O・P黄'は分球の心配がなく、作りやすい定番の品種。1球320gになります。‘アトン'は1球600gにもなるので大玉栽培向きです。加工・業務用に最適ですが、大玉でも食味がよく家庭菜園で栽培してもおもしろいでしょう。中晩生では‘ネオアース'が貯蔵性に優れ、色つやがよく人気の品種。1球530gになります。‘アタック'は病気に強く貯蔵性にすぐれ、2月末までつり玉保存が可能です。1球320gになります。‘パワー'は1球290g、長期貯蔵に最適な品種です。

4. 生食用

 オニオンサラダに最適なのが、赤タマネギの‘猩々赤'です。外皮は美しい濃紫色で、サラダの彩りとしても鮮やかです。中晩生で、6月上旬から収穫します。

5. ミニタマネギ

 ペコロスと呼ばれている小タマネギ栽培には、‘貝塚早生黄'などを利用します。普通のタマネギですが、春まきして小玉に育てます。

6. オニオンセット

 子球を植えつけて育てる栽培方法を、オニオンセットといいます。8月下旬に植えつけると年内に収穫可能です。「ホームたまねぎ」という名前でも販売されています。

育て方のコツ

 タマネギは、冬越しさせて栽培する代表的な野菜です(ただし北海道は除く)。自然状態では、冬越しさせると5月に花(ネギ坊主)が咲き、6月にタネができます。しかし、ネギ坊主ができてしまっては、タマネギの栽培は失敗ですから、タマネギの花芽分化の条件を知っておきましょう。タマネギは、ある一定以上の大きさになると寒さに反応し、花芽分化する性質があります。これを緑植物春化型といいます。したがって、タマネギは、植えつける苗の大きさがポイントとなります。苗は必ず、鉛筆の太さぐらい(太さ7~8mm)のものを植えましょう。それより太い苗だと寒さにあってネギ坊主ができてしまい、細い苗だと寒さで傷みやすくなります。

 また、根(鱗茎)が肥大するためには、長日条件が必要です。春先から日が長くなってくると、タマネギが肥大するのはそのためです。

タネまき

 自分で苗をつくる場合は、タネを9月中旬~下旬にまきます。タネまきが早すぎるととう立ちの危険性が高い太すぎる苗に、遅すぎると寒さで枯死する危険性がある細い苗になってしまいます。早生品種は9/15~20ごろ、中生~中晩生は9/25を目安にタネまきするとよいでしょう。

 まず、苦土石灰を1m²当たり100g散布してよく耕します。次いで1m²当たり堆肥2kgと粒状肥料「マイガーデンベジフル」を1m²当たり120gを全面散布してよく耕し、幅1mの平畝をつくります。条間10~12cmのまき溝をつくり、1cm間隔にタネをまきます。発芽するまで、べたがけで覆いましょう。

 

植えつけ方

苗の植えつけ

 11月中旬~12月上旬は、タマネギの苗の植えつけ時です。苗は、園芸店などから購入しましょう。早生品種は11月中~下旬、中生~中晩生品種は11月下旬~12月上旬が植えつけ適期です。

マルチ栽培の場合

 幅135cmで、15×15cmに穴のあいた黒マルチを用意します。植えつけ2週間前に、苦土石灰を1m²当たり150g散布してよく耕します。植えつけ1週間前に、1m²当たり堆肥2kgと粒状肥料「マイガーデンベジフル」を1m²当たり120gを全面散布してよく耕し、幅120cmの平畝をつくって、マルチを敷きます。マルチの穴ごとに指を指して穴をあけ、深さ2cmほどに苗を植えます。

 

栽培管理

管理

水やり

 乾燥が激しい場合、たっぷりと水やりします。

追肥

 2月下旬に粒状肥料「マイガーデンベジフル」を1m²当たり120g施し、さらに3月下旬に、液体肥料「マイガーデン液体肥料」か、液体肥料「花工場原液」か、液体肥料「ベジフル液肥」を500倍に薄めて、1週間間隔で2~3回追肥します。

除草

 マルチ栽培の場合は、マルチの穴の部分、マルチなし栽培の場合は畝全体を見て、雑草が生えていたら、抜きましょう。

 

収穫

収穫

 全体の7~8割の茎葉が倒伏し、葉に緑色が残っている時期に収穫します。収穫後のタマネギは畑に並べて乾かし、収納します。

 なお、家庭菜園では10月上旬ごろまで、風通しのよい軒下などの日陰に吊るし、吊り玉にして保存します。冷蔵貯蔵する場合は、0~2℃が目安です。

監修  恵泉女学園大学教授 藤田智
1959年、秋田県生まれ。岩手大学農学部、岩手大学大学院終了。恵泉女学園短期大学助教授を経て、現在、恵泉女学園大学人間社会学部人間環境学科教授(専門は、野菜園芸学、農業教育学)。
女子栄養大学、横浜国立大学非常勤講師。
NHK趣味の園芸・やさいの時間講師、NHKラジオ夏休み子供科学電話相談回答者(植物)、日本テレビ世界一受けたい授業講師(野菜)。
著書は、「野菜づくり大図鑑」(講談社)、「キュウリのとげはなぜ消えたのか」(学研新書)、「ベランダ畑」(家の光協会)  など多数あり。

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