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失敗しない鉢植え果樹のポイント

監修 千葉大学環境健康フィールド科学センター 助教 三輪 正幸

 果樹というと、庭や畑に植えるイメージがありますが、果樹は種類を問わず鉢植え(コンテナ)栽培できます。鉢植えならベランダでも栽培できるほか、庭植えよりもコンパクトに仕立てることができ、実つきがよい傾向にあるのでとてもおすすめです。ぜひともチャレンジしてみましょう。基本的な管理作業は庭植えと同じですが、植えつけや植え替えなどのポイントは大きく異なります。

1.植えつけ

用意するもの

● 苗木
 1~2本の枝がまっすぐ立っている、1~2年生の苗木の棒苗と、何本も枝分かれした3年生以上の苗木の大苗に大別できます。
 木の形(仕立て)にこだわりたい場合は、棒苗が向いています。購入した年に収穫したい場合は、大苗が向いています。
● 鉢
 素焼き鉢、陶器鉢、プラスチック鉢、樹脂鉢などがありますが、素材は何でも構いません。ただし、置き場を移動させる必要がある果樹においては、軽量なプラスチック鉢や樹脂鉢がおすすめです。苗木の根鉢より一回りほど大きなサイズの鉢を選ぶとよいでしょう。
● 用土
 庭土や畑土を用いてもうまく育つことがありますが、物理的・科学的に好適な条件を保ち、雑草のタネが入っていない市販の培養土を購入して使用するのがおすすめです。用土の種類は果樹によって異なります。
● 鉢底石
 鉢底石とは、鉢底の水はけをよくし、土漏れを防ぐために使用する大粒の石のことです。鉢底に厚さ3cm程度敷き詰めて使います。鉢の底にすのこのような網が付属している鉢や、スリット鉢を用いる場合は不要です。
● 支柱
 苗木がぐらつかないように固定するために使用します。一般的には棒状の支柱を用いますが、ブドウやキウイフルーツなどのつる性果樹にはオベリスクやフェンス型などの支柱を用います。
● ひも
 支柱と枝を固定するために使用します。麻ひもや紙ひもなどが一般的です。中に針金が入ったビニールタイを使用する際には、枝に食い込まないように注意が必要です。
● 肥料
 用土に元肥が含まれていない場合は、用土に混ぜ込んで植えつけ時に使用します。施す肥料は粒状肥料「マイガーデンベジフル」などがおすすめです。

 そのほか、ジョウロや土入れ、鉢底ネット、剪定バサミなどを必要に応じて用意します。

適期

植えつけの適期は果樹によって異なります。育てている果樹の植えつけ期を参照してください。

方法

 苗木の根鉢を軽くほぐし、根がむき出しになるようにします。太い根があるようなら剪定バサミで軽く切り詰めて、新しい根の発生を促します。
 鉢の底に鉢底石を敷き詰め、用土を入れて植えつけます。その際、こぶ状に膨らんだつぎ木部が用土で隠れると、台木から発根し、台木のほうの樹勢が強くなりすぎて実つきが悪くなることもあるので、深植えにならないように注意しましょう。支柱を立てて、水をたっぷり与えたら完成です。

2.植え替え

植え替えとは

 鉢植えの果樹は、何年か経過すると、鉢の中が古い根でいっぱいになり、水や肥料が十分に吸収できなくなり弱りはじめます。この現象を根詰まりといいます。根詰まりを起こすと水や肥料を十分与えたとしても、枝葉がしおれたり、葉が黄化したりすることがあるので注意が必要です。
ほかにも、鉢底から根が出ている場合や、水を与えても1分以上、水がしみ込まず、鉢土の上にしばらくたまっている場合は、根詰まりしている可能性が高いです。根詰まりを予防する、もしくは根詰まりを改善するためには、一回り大きな鉢に植え替えるなどして、新しい根が伸びる余地をつくる必要があります。この作業を植え替えといいます。

適期

 植え替えの適期は植えつけの適期と同じです。育てている果樹の植えつけ期を参照してください。
 根詰まりしていない場合でも、予防的に2~3年に1回は植え替えるとよいでしょう。

方法

● 一回り大きな鉢に植え替える方法
 育てている鉢がまだ小さくて、今後も鉢や木を大きくさせたい場合は、現在の鉢よりも直径3~6cm程度大きなサイズの鉢を新たに用意して植え替えます。鉢が大きくなるので鉢ましともいいます。方法は「1.植えつけ」と同じ要領で行います。
● 同じ鉢に植え替える方法
 前述の鉢ましのように、徐々に鉢を大きくするのが理想的ですが、際限なく大きな鉢に植え替えることはできません。もし、鉢を大きくしないのであれば、イラストのように鉢から株を抜いたあとに、根鉢の底面と側面を剪定ノコギリなどで切り詰め、同じ鉢に新しい用土を用いて植え戻します。適期なら、根鉢を多少切り詰めても木が傷むことはありません。

監修:千葉大学環境健康フィールド科学センター 助教 三輪 正幸

1981年岐阜県生まれ。千葉大学環境健康フィールド科学センター 助教。 専門は果樹園芸学。 教育研究に加え、「NHK趣味の園芸」の講師をつとめ、家庭でも果樹を気軽に楽しむ方法を提案している。 著書「剪定もよくわかる おいしい果樹の育て方」、ほか監修書など多数。

鉢植え(コンテナ)果樹栽培の植えつけ・植え替えなどのポイントをご紹介しています。
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