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植物栽培ナビ|失敗しない多肉植物栽培のポイント

監修 広島市植物公園 島田有紀子

1. 多肉植物とは

乾燥した過酷な環境を生き抜くために、葉や茎、根などに水分を蓄える機能を持った植物の総称です。個性的な姿と質感、色合いが人気で、種類によっては紅葉や花の観賞価値が高いものもあります。園芸店やホームセンター、ひいては100円ショップでも手軽に入手できる植物ですが、奥の深い植物でもあり、初心者からベテランまで幅広くファンが存在します。お気に入りの器に小型の多肉植物を寄せ植えすれば、雑貨感覚でも楽しめます。

生育型 …多肉植物の生育型は、この3つに分けられます。ただし、同属であっても種によって生育型の異なるものがあります。

・春秋型
生育適温が10~25℃の種類で、春と秋に生育します。夏は生育が緩慢となり、冬に休眠します。
[植物例]「アガベ」、「エケベリア」、「オキザリス」、「ガステリア」、「クラッスラ」、「グラプトペタラム」、「コチレドン」、「セダム」、「セネシオ」、「セロペギア」、「センペルビウム」、「トラディスカンティア」、「ハオルチア」、「パキポディウム」など。

・夏型
生育適温が20~30℃の種類で、夏に生育します。春と秋は生育が緩慢で、冬に休眠します。
[植物例]「アガベ」、「アロエ」、「カランコエ」、「クラッスラ」、「セロペギア」、「トラディスカンティア」、「ユーフォルビア」など。

・冬型
生育適温が5~20℃の種類で、冬に生育します。春と秋は生育が緩慢で、夏に休眠します。
[植物例]「アエオニウム」、「オキザリス」、「クラッスラ」、「コノフィツム」、「リトープス」 など。

2. 栽培のポイント

植え替え時に準備するもの

サボテン・多肉植物の土、ひと回り大きな鉢(株を大きくしたくない場合は同じサイズの鉢)、ピンセットもしくは箸、土入れもしくは移植ゴテ、手袋など

栽培中に使用するもの

ジョウロ、遮光資材(遮光ネットやよしずなど。遮光率は種類に合ったものを用意)、ハサミなど

3. 置き場所

長雨の当たらない、日当たりと風通しのよい場所を好みます。ただし、多くの多肉植物は、真夏の直射日光により葉焼けを起こすので、半日陰に移すか、遮光をします。特に、ハオルチアやガステリアなどは、日差しに弱いので、年中遮光下で育てるとよいでしょう。

ほとんどの種類は耐寒性がないので、冬は室内で育てます。ただし、冬型種をあまり暖かい場所に置くと生育が停まるので、天気の良い日中は戸外に出し、夜は5℃程度の室内に取り込みましょう。

4. 水やり

乾燥に強い丈夫な植物ですが、生育期にはたくさんの水を必要とします。

そこで、生育期と休眠期で水やり方法を替えます。生育期は用土の表面が乾いたらたっぷりと水やりし、休眠期は断水します。

ただし、冬型種は高温期に休眠するので、夏は水やりを控えますが、植物の水分を奪うほどの乾きが続く場合は、用土に軽く散水したり、葉水をしたりして、植物の体の脱水を防ぎます。

いずれの生育型の種類も、夏に水が多いと根腐れを起こすので、水の与えすぎには注意してください。また、冬型種は、冬に生育が旺盛になりますが、気温が低い時期は、用土が十分に乾いてから水やりをしてください。

5. 用土

水はけのよい土を用います。市販のサボテン・多肉植物用の土を使うと便利ですが、水はけさえよければ草花用培養土でもかまいません。

6.肥料

植え替え時の用土に元肥として「マイガーデン元肥用」を用土に混ぜておきます。早く大きくしたい場合や種類によっては、生育期に追肥として「花工場液体肥料」を2週間に1回施すか、「マイガーデン植物全般用」を少量施します。紅葉する品種に対しては、10月以降は施肥を中止します。

7. 植替え、鉢増し

1~2年に1回を目安に、生育期に入ろうとするころに植え替えます。休眠期は植え替えません。植え替え前の数日前から水やりを中止して用土を乾かしておき、さらに株を鉢から抜いたあとも数日間放置して乾かしてから植え替えると根を傷めることがありません。

鉢に根がいっぱいに張った場合は、一回り大きな鉢に鉢増ししますが、大きくしたくない場合は、根を適宜カットして整理し、同じ大きさの鉢でコンパクトに仕立ててもよいでしょう。二回り以上大きな鉢への植え替えは、過湿になり、根腐れを招く恐れがあるので、適しません。
順調に生育している場合は植え替える必要はありませんが、種々の種類が寄せ植えされている鉢を入手した場合は、個々の鉢に植え替えた方が管理がしやすく、おすすめです。

8. ふやし方

株分けやさし芽でふやせます。また、種類によっては葉ざしやタネまきでふやすこともできます。

9. 夏越し、冬越し

夏越し:風通しのよい場所に置き、鉢が込み合わないように配置します。強光に弱い種類には日よけを施し、真夏の直射日光を避けて管理します。いずれの種類も、長雨に当てないようにしましょう。なお、高温に強い夏型の種類も、高温多湿には弱いので、鉢土が過湿にならないよう、水やりは鉢土が乾くのを待って夕方に与えます。

冬越し:アロエやセダム、センペルビウムなど一部の多肉植物を除いて耐寒性は強くはないので、霜が降りる前に、室内に取り込み、よく日の当たる場所で管理します。秋に紅葉する種類は、あまり早く暖かい室内に取り込むときれいに発色しないので、水やりの頻度を徐々に減らしながら、霜が降りる前まで屋外でしっかり日に当てて管理します。

10. 病害虫対策

害虫では、まれにカイガラムシ、アブラムシ、ネジラミ、ハダニがつくことがあります。

病気では、さび病が発生することがあります。

監修 広島市植物公園 島田有紀子

広島市植物公園にて、ベゴニアやゼラニウムをはじめ、種々の草花と鉢花を扱う。大阪府立大学大学院農学生命科学研究科修了。農学博士。科学的な根拠をもとに植物の魅力を最大限に発揮させることを心がける。著書に、「よくわかる栽培12か月木立ち性ベゴニア」(NHK出版)、「ナチュラルガーデンをつくる~宿根草~」(共著・NHK出版)、「園芸入門」(共著・NHK出版)、「球根の開花調節」(共著・農文協)、「農業技術体系」(共著・農文協)など多数。

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