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8月-1.ヒマワリが迎えてくれた

 ある朝、いつも通りに部屋の雨戸を開けてみたら、見慣れた景色のなかに、昨日まではなかった「黄色」を目が拾いました。梅雨空に輝く鮮やかな黄色。見紛うはずがありません。懐かしく、でも新鮮なその「黄色」はヒマワリの色です。
 小学校低学年の教材で育てた私のヒマワリは草丈3mにも育ち、観察日記のために計測するには、父の脚立を借りなければなりませんでした。昔のヒマワリは「ロシアヒマワリ」と呼ばれて草丈が高いものでした。また、ヒマワリといえばノッポ草花の代名詞でもあったのです。
 そんな懐かしい背の高い黄色を見つけた日の「みちくさ」は、不思議とヒマワリ尽くしになりそうです。

見上げるタイプのヒマワリ

 前述した3mの私のヒマワリは、夏の終わりに襲来した台風にあおられて、翌朝、庭で二つ折りになっていました。子どもの指で一周できないほど太く育った茎も、強風には耐えられませんでした。すでにタネが熟し始めていた時分ではあったけれど、前日までの庭の王様のような堂々とした姿が変わり果ててしまい、少しさびしい思いを観察日記に記した覚えがあります。
 奇しくもその日、台風接近のニュースを聞きつつ出かけた先でも、遠目に見つけたご近所のお宅に続いて、ヒマワリに出会うことになりました。次第に強くなる風にあおられて左右に身を揺らしながら、キリッと花弁を輝かせている姿は、まさに夏の王様。草丈は2mほど、輪の大きさは20cmほどを中心にまちまちなのもまたリズミカルで面白いものだなと、しばしその病院の花壇を観賞させてもらいました。明朝に茎が折れていないことを祈りながら。

 2011年の東日本大震災後、一時は土壌の汚染を改善するといわれたこともあり、高性種のヒマワリを一面に植えた観光名所がふえました。みごとな夏景色は人々の心を癒し、今でもヒマワリ畑を継続している地域も少なくありません。
 最近では昔ながらの黄色いヒマワリだけではなく、茶褐色の花弁をもつ品種もポピュラーになりました。茶褐色一色ではなく、輪状の模様になっていたり、アンティークな雰囲気がとても素敵です。これらの品種も花壇の背景に列植したりすると夏の草花とよくなじみ、威風堂々とした一本立ちのヒマワリという、見慣れたものとはまた違う、夏の景色を作り出すことができます。

愛おしいサイズ

 時折、雨がパラパラと降ってくるなかを、傘をさしたり閉じたりしながら帰路へ。誰もいない公園の花壇が、ひとりにぎやかだったので近づいてみると、そこには矮性種のヒマワリがずらりと植えられていたのでした。

 矮性種のヒマワリが登場したのは、ガーデニングブームが起きた90年代の初めです。
 最初に目にしたときは、なんて寸づまりな姿なんだろう、キクのダルマ作りみたいだなと思いましたが、庭がない人もコンテナ植えで楽しめるうえ、小ぶりな草花と同じように扱えるので、花壇の仲間に加えられるようになりました。
 登場からすでに30年近くが経過し、これも夏景色のひとつとして、すっかり定着しています。

 さらに近ごろ、枝咲きのヒマワリも登場し、これまでのヒマワリという花のイメージを大きく変えてくれそうです。
 ヒマワリは、江戸時代初期には日本に導入されたという、歴史のある園芸植物です。採油や食用といった作物以外に観賞用植物としても、20世紀終わりから現在にかけて改良がなされ、まだまだ私たちを楽しませてくれる可能性を秘めた植物なんだなと、改めてその存在を認識した「みちくさ」でした。

愛おしいサイズ
コラム|ウチダ トモコ
園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主にウェブで提案および取材執筆活動中。

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