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8月-2.夏のフワフワ
意外と知名度が高い?
残り梅雨と豪雨に続いて、各地で今度は観測史上最高気温が記録されたり台風が接近したりと、厳しい天候が続いています。みなさま、そして庭やベランダの植物たちは、元気に過ごしていますか?
私のベランダでは、数年育ててきたお気に入りのサボテンが突然腐ってしまったり、不注意によりハオルシアを、日焼けさせてしまいました。その代わり、熱帯スイレンやブドウが例年になく健やかで、花盛りを楽しみ、大収穫に期待する日々です。
酷暑のなかでもきっと元気に咲いているだろうなと思い出して、みちくさの散歩のルートを決めたのは、あの植物のためです。
子どもが初めて絵に描く花は、チューリップが多いと聞いたことがあります。また、マーガレットのような形の花を、花の象徴として、描くこともあるでしょう。
栽培観察を学習するアサガオやヒマワリを経て、成長とともに、名前を知る植物もふえていきます。そしてこの夏休みも、絵画の宿題に取り組む子どもたちがいることだと思います。植物をテーマに、絵画を描く子どももいるかもしれません。でも、戸外に出ての写生なら、くれぐれも日中は避け、熱中症予防を優先してくださいね。
さて、それほど植物に興味がない子どもでも、案外その名前を知っている植物のひとつにサルスベリがあります。名前の由来は、その幹肌がツルツルとなめらかで、サルが登っても滑り落ちるだろうという、ちょっとユーモラスな例えにあります。
別名は「ヒャクジツコウ」。漢字で書くと「百日紅」で、100日間紅い花が咲くという意味です。暑い夏から秋まで咲き続けるサルスベリの、その長い開花期を表しています。
サルスベリは、春から伸びた枝先に、薄紙をくしゃくしゃと丸めたような小花を、まとめて咲かせます。花房は円錐形をつくりながら伸び、まるで夏祭りの出店の綿飴のよう。白とピンク、濃ピンクの花色があるのも、あのフワフワのお菓子になんだか似ています。伸びて膨らんだ花房は、ときに重く垂れ、ねじれたような幹と相まれば、それこそサルスベリらしい個性的なたたずまい。
幹もやっぱり魅力的
さて、サルスベリの個性のひとつに、うねるようにねじれる幹の姿があります。その姿を生かして、盆栽に仕立てられることもあるようです。
このサルスベリは剪定にちょっとコツがいる樹木なんです。
まず、花芽は春から伸びる新しい枝につくので、剪定時期は花後か、もしくは真冬を除いた落葉期。春以降に新しい枝を切ってしまえば、花を見ることができなくなります。ここまでは簡単。
コツがいるなと思わせるのは、ときどき見かけるゲンコツ状になった幹や枝です。これもサルスベリならではの木の姿ともいえ、ゲンコツを好む人もいるようです。
このゲンコツ状はどうしてできるのかというと、自然にできたものではなく、「新しく伸びた枝」を毎年同じ位置で切り戻した跡、つまり人工的なものです。ゲンコツをあえてつくりたい人は毎年同じ位置で切り戻せばよいのですが、滑らかにうねるような幹の形を生かすなら、避けたいもの。剪定するときは、同じ位置でまとめて枝を切らないようにするのがポイントです。
夏は、まだ薄暗い早朝、もしくはやっと薄暗くなり始めの夕暮れの散歩。1日のうちでも日ざしが柔らかな時間帯に、見上げるサルスベリの花は、日中よりもフワフワの夢心地。そして、名前の由来となったスベスベの幹肌にもぜひ触れて、好みの樹形の一本を見つけてみるのも「みちくさ」の楽しみになりますよ。
- コラム|ウチダ トモコ
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園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主にウェブで提案および取材執筆活動中。
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