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12月-1. ニュースをつまみ食い

 当地の幹線道路沿いのイチョウは例年黄葉が遅くて、足早に行く季節を実感できないままでした。しかし、大通りから逸れて住宅地に迷い込んでみたら、公園のイチョウの木はすでに金色に染まり、今年のフィナーレを飾っているよう。
 感染症を始め、いろいろなことに翻弄された2020年の年末。ちょっと気になるニュースが目に留まったので、今回はそんな「みちくさ」に。

ポット苗のラベル

 この秋もみなさんは、たくさんの花苗やタネを購入したことでしょう。ところでその苗についているラベルや、タネの袋はどうしていますか?即処分するミニマム派、苗を定植した鉢や土に挿して利用するリサイクル派。また、スクラップブックに貼って、栽培記録の要素にするという本格派もいらっしゃいます。
 ラベルやタネ袋には、その植物や品種のデータが詰まっています。とはいえ、いかんせん小さなスペース。記載以外にもユーザーに情報を提供したい場合、最近ではホームページのURLやQRコードを記載して、インターネット上の豊富なリリースにつなげる工夫も見られます。こうすることで文字が小さくで見づらい人もフォローできますし、ラベルやタネ袋のデザインを損なうことも回避できているようです。
 さて、そんな記載文のなかの最後の方にある一文が今回のお話。「この品種は種苗法に沿って種苗登録されています」といった内容の文言を見たり読んだりしたことがあるのではないでしょうか。
 説明しなくてもその文言の通りで、その苗はいつ誰が育成したかが明確に記録されていて、育成者や育成メーカーなどにその権利があることがわかります。
 登録品種は既存品種に比べて、花色や花形といった形質や耐病性といった何かしらの利点が認められて初めて登録品種になりえます。さらに、ご存じの通り、新品種の開発にはたくさんの時間と技術が必要ですから、栽培する人は営利農業者、一般の趣味家を問わず、それにかかった経費を許諾料という形で直接的に、あるいは間接的に支払っています。登録品種の表示がある苗やタネが、表示のない一般品種と比べて少し割高なのにはこうした理由があるからで、私たちはその利点に納得して、料金を支払っているのです。

ガーデニングと法律

 さて、登録品種は種苗法という法律に従い、権利者に無断で増殖することは禁止されています。ですから挿し木や株分けで殖やしたり、それを販売、譲渡することはできません。
 また、園芸愛好家ならご存じの通り、F1品種(雑種1代目)からタネを採った2代目を栽培しても、それは元の品種とは別物になりますから、登録品種増殖の観念からは外れますし、元の品種の意味も利点も失います。
 最近では、誰でも売買ができるネット販売が盛んですから、まれに無認可での増殖販売が懸念される品種があるようです。ガーデニングをこよなく愛するものであれば、育成者の努力の賜物に敬意を払う意味でも、ルールを遵守したいものです。
 なお、最近、この種苗法の改正案が国会で議論されたことがニュースになりました。農林水産省のホームページを見ると、今回の改正案は一般趣味家には関係ないため、前出の通り、すでに規定されている無許可に登録品種を増殖しないなどのルールに沿えば、これまでと変わらず栽培を楽しめます。
 気に入った新品種やブランド苗を購入した際は、ついているタグやラベルをよくよく読んでみてください。品種登録出願中の番号や、商標についての情報や注意事項が記載されていることに気づきます。
 そのほか、ガーデニングには農薬取締法や肥料取締法といった法律が関連します。少し前、自宅で焼いた灰をネット販売したケースが、肥料取締法に触れると勧告を受けた事例がありました。いずれにしても農薬や肥料は、添えられた取扱説明書をよく読んで利用するようにしましょう。
 普段、ガーデニングを楽しむうえであまり気にしない法律のことですが、ひょんなことでルールを侵してしまわないように、日々、情報収集することは大切だなと、改めて感じた今回の「みちくさ」です。

コラム|ウチダ トモコ
園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主にウェブで提案および取材執筆活動中。

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