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12月-2. 冬の葉っぱ

 日増しに鉢土の乾きが鈍くなり、朝の水やり時間が後ろ倒しになったことにふと気づいたら、そうか、カレンダーの月名は最後の「12月」でした。「東京の12月はまだ晩秋」という人もいるぐらいで、紅葉の盛りは今ごろです。街中の複雑な日当たり具合によって、1株の染まり具合が妙にアンバランスだったり、意外と株全体が一律に鮮やかな色だったりと、しばらくの間、行く先々で葉色の変化を楽しもうと思います。
 久しぶりの「みちくさ」は、のんびりとご近所の商店街からです。

クリスマスのかけら

 そんな風に色に満ち満ちた世界に夢中になっていたら、モノトーンが新鮮に見えてきました。クリスマスが近くなり、白やシルバーの飾り付けが目立つからでしょうか。この日は生花店の店先で、白い塗り枝が目に留まりました。決して派手な花材ではないけれど、シクラメンやポインセチアの暖色系の花色がにぎわうなかで、それは神聖な雰囲気に見えてくるのでした。
 塗り枝は「サラシ」などとも呼ばれ、シラカバ、ミツマタなどの枝に色を塗ったドライフラワーの花材です。白以外にも様々な色がありますが、この時期ならではの色はやっぱり白。リッチなシルバーやゴールドもあります。オーナメントを飾ったりすると、ちょっとしたシーズンインテリアになります。
 クリスマスといえば、もみの木の切り枝が出回るのも楽しみです。路地に目をやると、小学校低学年ぐらいの子どもたちがうれしそうに、自分の背丈ほどの植木をおじいさんと一緒になって囲んでいます。どうやら庭先から鉢植えのもみの木を引っ張り出してきて、木の掃除をしているようでした。この辺りは敷地も庭も小さい住宅密集地ですから、狭い路地がコミュニティースペースになります。近寄って見学させてもらったら、針葉樹の爽やかな香りが路地いっぱいに漂っていました。

エバーグリーン探し

 立て込んだ駅前から離れて、大きな家も見られる住宅地へやってきました。モダンな植栽をオープン前庭に施したお宅のシンボルツリーはオリーブです。近年人気の樹木ですから、そんなお宅は今や珍しくないかもしれません。それでも緑灰色を帯びた重厚な幹、そしてうっすらと産毛を持つシルバーリーフの葉。落葉樹がカラフルな景色に、キリッと引き締め役をかっています。こうしたグレイッシュで上品な色合いは、冬にこそ美しく映えるものだなと思いました。
 もしもオリーブのひと枝があれば、しならせて曲げて曲げて曲げて、輪にして。つい頭に乗せたくなるオリーブの冠も、この時期はリースとして飾ってみたいもの。先ほど生花店で見かけた白い塗り枝に引っ掛けてみたら、部屋にモノトーンのコーナーができそうです。
 そういえば雪の日に通りかかったとき、このオリーブの木はとても神秘的でした。粉雪越しに見ると青みを増していて、いつもとは違う色彩もまた素敵。今日は小春日和だというのに雪の日を思い出すなんて、やっぱり季節はもう冬なのでしょう。また雪が降ったら、この道をたどって来てみよう、この木に会いに。

 冬の葉っぱ。それはエバーグリーンの樹木たち。住宅地の古いお宅の庭先では、ピカピカ艶やかな葉に乗っかるようにして、サザンカが盛りを迎えようとしています。まず心惹かれるのは、やっぱりモノトーンの白花でした。そして、クリスマスのホーリーにも似たヒイラギの垣根は、古いお宅ならではの佇まい。冬の葉っぱ探しが止まらない、その日の「みちくさ」になりました。みなさまも、そして庭やベランダの植物とともに、健やかな年末年始をお過ごしください。

エバーグリーン探し
コラム|ウチダ トモコ
園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主にウェブで提案および取材執筆活動中。

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