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12月-7. 新品種の楽しみ方(シクラメン・ポインセチア・洋らん)

冬の鉢花の新しい世界

 地域の気候の都合にもよりますが、冬の間は一切ガーデニングはお休みという方もいらっしゃるでしょう。それでも何か、身近に花を飾っておきたい、お世話をしたいと思うので、冬は鉢花ガーデニングに勤しむという人も少なくありません。
 この時期のおなじみ鉢花は、やっぱりシクラメン、ポインセチア、洋ランの御三家。でもおなじみのせいか、ちょっと飽き気味という声も聞こえてきます。

 しかし、よくよく園芸店を見渡してみれば、これらの新品種も続々と誕生しています。シクラメンでは、今までなかった青花があったり、芳香に重点がおかれたものも誕生しています。また、多色咲きのもの、フリルが大きなもの、上を向いて咲くもの、花茎が揃わず、ナチュラルな株姿になるものなど、シクラメンの世界はこの数年で、大きく変化を遂げています。特にガーデンシクラメンのバラエティの豊富さは、シクラメンという植物を見直すきっかけにもなることでしょう。
 なお、シクラメンは暖房が入った室内では暑がります。10~20℃の場所が最適ですから、室温の確認を忘れずに。日中、10℃あるなら、軒下などに出しておくのがおすすめです。
 ポインセチアでは苞葉に模様が入ったもの、クリーム色や純白の品種、バラ咲きのような形など、新しい品種が毎年賑わせてくれています。水切れさせたり、乾燥した場所では苞が落ちるので、特に小鉢のタイプは水切れに注意しましょう。加湿器を置くのもおすすめです。
 洋ランは、扱いやすいのはミニタイプのファレノプシス。種間交配種など、栽培しやすさが魅力です。大きなタイプも茶系やオレンジ系など色幅が広がり、なおかつ値段も手ごろになり、贈答用の域を超えて、個人で楽しむにも恰好のアイテムとなりました。

見えない部分にも育種の力

 さて、花色や、花形の多様化に目を見張る、数々の新品種ですが、育種家や開発メーカーは、目に見えない部分にも「新しい工夫」を添えてくれています。まずは、耐病性です。遺伝的にかかりやすい病気を、葉を厚くするなどで回避しやすくしたり、花がらが自然に落下することで、カビが生えることを防ぐなど、その植物にふさわしい方法が付加されるものもあります。
 また、ひと昔前は、耐寒性を高めることが育種の目標にありましたが、近年では日本の高温多湿な夏をやり過ごすための耐暑性に注目して、夏に強い育種が進められている種類がふえました。
 さらに最近では、芳香が取り上げられることもふえ、なかにはリラックス効果などをねらったものもあります。花の楽しみ方の幅がぐっと広げられているのも、育種の力によるものです。
 新品種を調べると、こうした情報も添えられているので、育種家が何を目指し、私たちの要望の何に応えてくれているのかが見えてきます。カタログを見るときは、花のトレンドや姿形にうっとりするだけではなく、園芸の世界でどんな課題や動きがあるのか読み解いていく、そんな楽しみもあるのです。
 とはいえ、新しい品種が生まれるか否かは、いずれも神様の采配次第なところもあり、次にどんな品種が生まれてくるかは、誰にもわかりません。その未知数なところもまた、園芸にワクワクできる醍醐味のひとつといえるのではないでしょうか。

コラム|ウチダ トモコ
園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主にウェブで提案および取材執筆活動中。

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