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12月-8.冬の虫たち

冬の妖精がやってきた

 先日、秋ナスを収穫してから放置してしまっていたナスの株を処分しに、久しぶりに貸し農園を訪れました。がっしり木質化したナスの株元を、小ノコギリでガリガリとひき、小さくしてから根を引き抜きます。すると、ふわふわと白い小さな虫が舞い降りました。終わりのナスについていたアブラムシでしょうか。よくよく見てみると、それは雪虫! アブラムシよりもひとまわりほど大きい昆虫です。
雪虫という名前は通称名で、正式にはトドノネオオワタムシという、アブラムシの一種です。変わった名前だなと思って調べてみたら、トドマツ、そしてヤチダモを季節や成長度合いに応じて移動しながら寄生しているのだそうです。ふわふわと白く妖精のように見える原因は、体にまとったロウ物質です。水分から体を守り、また飛びやすくするためについているといわれています。
 北海道では雪虫の発生について、話題になることが多いかもしれませんが、東京の雪虫は珍しいなと思っていたら、次の日も、またその次の日も、外に出るたびに雪虫を見かけました。
 すると、どうでしょう。その数日後に、東京でも雪が降りました。11月中の雪は、まさに50数年ぶりということでニュースになったばかりです。雪虫の雪便りは、本当だったんだなと改めて思いました。
 さて、また年内中に東京に雪は降るのでしょうか。雪虫チェックに勤しむ12月になりそうです。

冬の作業中にも虫チェックを

 冬の間に行ないたい園芸作業といえば、まず天地返しが挙げられます。深さ50cmほどの土を掘りあげて、上層と下層の土を入れ替えるというもの。雑草のタネが地中深く埋められたり、下層で硬くなっていた土が雪や寒さに合うことでほぐれ、再団粒化が促されたり、よい庭土をつくるためには恰好の作業です。
 さて、この作業中、白や灰褐色のイモムシが掘り起こされることはありませんか? 灰褐色の細身はカブラヤガ。いわゆるネキリムシです。根切りという名前で呼ばれつつ、かじるところは植物の地際部分で、植えつけたばかりの苗を倒してしまいます。
 半透明の白くムチムチしたイモムシはコガネムシの幼虫で、前方についた脚が長く目立つのが特徴です。生育中の植物が突然調子を崩し、株元を引っ張ってみると、すっぽり抜けて根がなくなっていることがあります。これはコガネムシの被害なのです。コガネムシは成虫になっても葉や花を食害するので、いついても困る害虫のひとつです。
 コガネムシの幼虫によく似た、白いイモムシはカナブンの幼虫で、これは根をかじりません。成虫は樹液を吸汁しますが、植物が枯れるほどの被害を及ぼすことはないようです。
 ネキリムシやコガネムシの幼虫は、寒くなると土中深く潜り、幼虫や蛹の状態で冬を越します。ですから、天地返しの際にできるだけ捕獲して、退治しておきたいのです。
 以前レイズドベッド(上げ底花壇)の植物が枯れたので掘り返してみると、たった1m角の花壇から、100匹近くのコガネムシの幼虫が出てきたことがありました。手で取り漏らす分もありますから、適切な薬剤で防除しておきたいものです。

 天地返しは庭での作業だから、コンテナ派には関係ないと思いきや、これらの昆虫は、鉢植えの土にもしっかり潜んでいます。冬に植え替え時期を迎えるバラなど、鉢土を開けたとき、根がかじられて短くなっていないか、古土のなかに幼虫が紛れていないか、よくよく様子を確かめてみることが大切です。
 実は私自身、これから暇をみつけては、ひと鉢ずつバラを植え替えていく時期に入るのですが、コガネムシの幼虫チェックには、毎冬、鬼になった気持ちで臨みます。たぶん、みなさんも同じ心意気ですよね。

[参考情報]

病害虫ナビ
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ばらの病害虫対策
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コラム|ウチダ トモコ
園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主にウェブで提案および取材執筆活動中。

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