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1月-1. 愛しき冬のローズたち(クリスマスローズ他)

冬薔薇(ふゆそうび)

 寒い日が続く中の、晴れた日にはやはり散歩が楽しいもの。冬枯れの景色を眺めたり、店先で冬の花苗を見繕ったと、花や植物への興味は失せることがありません。さて住宅街を歩いているとまれに目に留まるのが、冬のさなかに咲いている、あるいは咲こうとしているバラの蕾です。積地や寒冷地では無理ですが、温暖地ならそんな株を見かけることがあるでしょう。そんなバラは冬の季語でもあり冬薔薇(ふゆそうび)と呼ばれています。
 いずれも四季咲きの系統のもので、本来なら秋のバラの季節が終わったあとについた蕾は、株の体力温存のために摘み取るし、冬剪定で切り戻されるのですが、手入れが行届かなかった株のほか、むしろついた蕾がかわいそうで切れなくて…という愛好家の気持ちの現れだ ったりすることもあります。冬についた蕾は、寒さが続けば蕾が開くことなく傷んで萎れてしまうこともあります。また、開いたとしても時間がかかり、そのようすがじれったくもあり、またいじらしくもあり。やっとのことで開いたその花は小ぶりながら色濃く、凍える空気のなかで凛とした姿を見せてくれます。冬薔薇もまた、私たちの心に、深く訴えかけてくる冬景色のひとつかもしれません。

クリスマスローズ

 年末年始の時期の「ローズ」といえば、近年大人気のクリスマスローズも挙げられます。今や冬の代表的な花のひとつに数えられ、 愛好者もたくさんいらっしゃいます。
クリスマスローズは、正式にはヘレボラスという学名をもつキンポウゲ科の植物。もちろんバラの仲間ではありません。「ローズ」という呼び方は「美しい花」の総称として使われることがあり、これもその慣用的な例です。
クリスマスのころに咲くヘレボラスは、ニゲル種とその交配種など一部の早咲きのものに限られており、花色や花形が豊富で流通量も多いオリエンタリス種とその交配種は、主に4月ごろに咲きます。後者のグループは別名「レンテンローズ」とも呼ばれ、それはキリスト教の四旬節(レント)の時期に咲くことからついた名前だそうです。 しかしながら、日本では「クリスマスローズ」というロマンチックで美しい名前が好まれて、ヘレボラス全体の呼び名として広く用いられるようになりました。学名のカタカナ読みのヘレボラスより親しみやすいのでしょう。
最近ではさまざまな交配がなされ、今までになかった花色や花形が誕生し、定着しているクリスマスローズ。タネから育てられた株は遺伝的な特徴から、ふたつとして同じ株がないことから、非常に高価な値段がつけられるものもあり、愛好家たちの興味は尽きることがありません。

季節に先駆けて、プリムローズ

 新年を迎えたひと月後には節分、立春がやってくるかと思うと、庭や街の景色のなかに春の兆しを見つける楽しみは、花好きなら心が自然と躍ってくるものです。
この時期の花の「ローズ」をもうひとつというなら、迷わず「プリムローズ」を挙げたくなります。「プリムローズ」はプリムラ・ブルガリスというプリムラの原種のこと。ヨーロッパなどを原産とする宿根草で、古くから、ヨーロッパの野原に春を知らせてくれるといわれるかわいらしい花です。花色は淡いクリーム色が基本で、白に近いものやクリーム色の濃いものまでさまざまです。寒いヨーロッパの国々では、より春の訪れが心待ちにされたのでしょう。
プリムラ・ブルガリスは多少暑さに弱いものの、丈夫で日本の温暖地の庭でも、よく育ちます。同じく春の芽吹きが待ち遠しい球根草花といっしょに植えると、ナチュラルで優しい景色をつくることができます。
なお、プリムラ類も非常に育種が進んでいて、プリムローズやプリムラ・ベリスに見られるような野趣のある姿を残しながらも、より暑さに強く丈夫な園芸品種がいくつか登場しています。春を待つ庭やベランダに、ぜひともひとつ加えたい草花のひとつです。

コラム|ウチダ トモコ
園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主にウェブで提案および取材執筆活動中。

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