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1月-3. おせちの復習(クワイ・チョロギ)

クワイって誰?

 お重のなかで一際ひょうきんな佇まいを見せているのがクワイです。「クワイって誰だっけ?」と思う方は、上にピョコンと柄がついたサトイモのような形の煮物を思い出してみてください。お芋のようにホクホクした食感で、少しほろ苦い風味があります。漢字では「慈姑」と書きます。クワイは水生植物で、レンコンと同じように水底の泥のなかで栽培されています。ピョコンとついた柄は芽で、これを「よい芽がでる」「子孫繁栄の象徴」として縁起がよいとおせち料理に加えられるようになりました。だから、入手するときは、この芽が折れたり傷んだりしていないものを選ぶのがコツで、料理するときも、芽の部分を折らないように皮をむき、丁寧に調理します。お重のなかでシュッと伸びたこの芽こそ、クワイが縁起物たる所以だったのです。
 ある時、クワイの学名を調べていたらびっくり。サジタリア・トリフォリア(Sagittaria trifolia)、つまり園芸で水生植物として栽培されている、オモダカだったのです。オモダカは、矢じりのような形の葉をつけ、夏に白い小花を咲かせる植物で、池や水鉢などでも栽培されます。クワイは食用にする塊茎が大きく太るように改良された、オモダカの栽培品種‘カエルレア’でした。ちなみに‘カエルレア’とは、ラテン語で「青色の」という意味。クワイで一番普及しているのが、皮が青銅色の青クワイです。

クワイ(右)・チョロギ
クワイ(右)・チョロギ

チョロギって何?

 さぁ、次は、黒豆に目をやってみましょう。黒豆は「まめに働く」といわれる縁起物です。この黒豆のなかに、赤色をした巻き貝のような形をしたものが添えられているのをご存知でしょうか。摩訶不思議な形のこれも立派な植物の部位。チョロギというシソ科の植物の塊茎です。夏にシソ科らしい穂になる花を咲かせ、なかなか美しいのですが、まさかその根に、こんな不思議な形のものが宿っていようとは。知らずに掘りあげたら驚くかもしれませんね。
 黒豆の添え物として見かけるチョロギは赤い色をしていますが、生のチョロギの塊茎の色は象牙色です。黒豆の色が映えるように、梅酢などで赤く着色されたものが市販され、さくさくとした歯ごたえはおつまみや箸休めとしても人気です。
チョロギは中国原産ですが、ヨーロッパにも渡っていて、フランスではクリーム煮などで食されるそうで、いつか味わってみたいと思っています。
そんなチョロギの学名はスタキス・アフィニス(Stachys affinis)。ガーデニングファンなら「あれ!?」と思いませんか。スタキスといえば、ふわふわのシルバーリーフが美しく、ボーダー花壇の縁どりにも使われるラムズイヤー(スタキス・ビザンティナ/Stachys byzantina)を思い出します。つまりチョロギとラムズイヤーは同じ属の、とても近い仲間です。しかしラムズイヤーを掘り上げて根をみても、チョロギのような塊茎は見当たりません。 植物って、本当に不思議ですね。

コラム|ウチダ トモコ
園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主にウェブで提案および取材執筆活動中。

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