4月-2.人々の暮らしがはぐくむ山形野菜(地域伝統野菜)

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厳しい気候が多彩な野菜を生んだ

 東北地方は、その背骨にも例えられる奥羽山脈を境にして、東部と西部では大きく気候が異なります。さらに山脈や丘陵などの地形や海流の影響を受ける沿岸部など、その気候は地域によってかなり複雑で、積雪量の違いや夏の気温差も大きいという特色があります。実はこうした環境が、東北地方各地に特徴的な農産物を生み、伝統野菜として今に伝わっているのです。
今回は、山脈を背にいくつもの盆地と広大な庄内平野を抱く、山形県の伝統野菜を紹介します。

野菜を確保する知恵が育てた郷土食

 冬は寒く、夏は暑い盆地の気候。山形県の伝統食に漬物が多いのは、野菜の保存と確保のために生まれた生活の知恵でした。
温海蕪(あつみかぶ)や山形青菜(やまがたせいさい)、雪菜(ゆきな)、小真木(こまぎ)だいこん、花作り(はなづくり)だいこんといった伝統野菜はいずれも漬物向きの品種です。
 たとえば温海蕪。個性的な丸い紫紅色のカブで、肉質は硬くしまっており、漬物に最適。来歴が定かではないヨーロッパ型のカブですが、江戸時代の文献にはすでに紹介されていたほど、古くから栽培されていました。温海蕪とその漬物を江戸屋敷に上納するよう、藩主から催促されたという記録からは、このカブがどれほど美味であり、江戸時代にはすでに故郷の味として定着していたかを垣間みることができます。温海蕪は現在でも、栽培農家による自家採種と古来より伝わる焼き畑栽培という伝統農法によって、栽培が守られています。

日本のエディブルフラワー

 「もってのほか」と聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか。山形県で「もってのほか」といえば、食用ギクのこと。日本でキクといえば菊の御紋ですが、「そのキクを食べるなんてもってのほかだ」というところから名づけられたという説もあります。
 キクは古代中国では不老長寿の薬として扱われ、薬用として平安時代に日本へ導入されました。江戸時代から庄内地方で栽培が始まり、今に至っています。甘酢醤油や酢のもので食し、キクの芳香を存分に楽しむ、季節感あふれる郷土食です。

風味豊かなブランドエダマメ

 エダマメは、ダイズを若採りしたもので、専用品種が各地で栽培されています。山形県鶴岡市で古くから栽培されているだだちゃまめは、古くは新潟県で栽培されていた香りの高い茶豆が庄内地方に導入され、やがて鶴岡地域で栽培されるようになったものだそう。鶴岡地域では厳しい目をもった自家採種でその味を守り続けており、その評価は衰えることを知りません。今や口コミやインターネットで広く知れ渡り、おいしいエダマメの代名詞にもうたわれています。一般的なエダマメと同様に塩ゆでにされるほか、すり潰した豆に砂糖を加えてあんとして団子や餅に塗ったり(ずんだもち)、汁の実としても利用されています。

コラム|ウチダ トモコ
園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主にウェブで提案および取材執筆活動中。

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