4月-5.愛しきサクラのつぶやき

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 待ちわびたサクラの季節。ソメイヨシノが満開となり、それから晩生のサトザクラ系の品種が開花を迎え、街はいっとき艶やかな桜色に彩られます。桜前線は北上し、ほどなく東北や北海道からも桜便りが聞こえてくることでしょう。
 サクラの開花に毎年浮かれてしまう私ですが、早咲きの品種や膨らむソメイヨシノの蕾を観察する道すがら、ふと思ったことがありました。

早咲きばかりが愛でられる?

 テレビに先駆けて、ニュースがいち早く届くインターネット。桜の季節には暖地や気温が高い都心での開花のようすから、次々と投稿されていきます。春の便りは、まずウメから始まり、あっという間にサクラへ。なかでも、早咲きのカワヅザクラやカンヒザクラなどの開花のお知らせが、よく目に留まりました。
 花に興味がある方がたくさんいらっしゃるという、嬉しさを覚えるのと同時に、早咲きのサクラの植栽がふえているのでしょうか。冬枯れの景色にロウバイやスイセンなどが少しずつ彩りを添えていき、早咲きのサクラが目に留まれば、待ちに待った春への思いが一気にあふれてしまうのは私も同じです。しかし、早咲き品種だけが特出して植えられているのだとしたら、それは少し残念に思えます。

 さまざまなサクラが次々と咲いて、サクラの季節が連なっていく楽しみ方もよいものです。町や公園に多彩なサクラが植栽されたら、この季節の楽しみ方にもっと奥行きが出そうに思うのです。かつて、ソメイヨシノばかりが植栽されて、サクラの名所があちこちにできましたが、それとは違った、花期が連綿と続くサクラの名所が、身近な場所にもっとあってもよいのになと感じました。

サクラに教わるガーデニング作業暦

 さて、コブシが咲くと田植えを始める地域がありますが、サクラは園芸シーズンスタートの目印です。一斉に咲き誇ることから身近に多く植栽され、なじみ深いサクラの代表的な品種、ソメイヨシノが開花する時期の最高気温は15℃ぐらい、平均気温は10℃ほど。このぐらいになると、アスター、コスモス、サルビア、ジニア、ペチュニアなど、多くの草花のタネのまきどきになります。

 春まきのタネといえば、アサガオやケイトウなど、夏花壇を彩る草花も忘れてはなりません。これらは高温性種子なので、発芽に20℃以上の温度が必要になりますから、ソメイヨシノの時期では、まだ少々温度が足りません。
 関東地方では4月下旬ごろになれば、最高気温は20℃ぐらい、平均気温は15℃ほどに到達するので、高温性の草花のタネまきは、ヤエザクラが咲いて散るのを待つとよいでしょう。
 ただし、春まきは秋まきと違い、少々まきどきが遅れてしまっても、その後の気温が高くなるおかげでスタートのハンディを取り戻せます。むしろ焦って作業しないことのほうが大切です。
 サクラの種類による開花を目印にしながら、自分の都合とお天気の具合に合わせて、この春も楽しくガーデニングを続けたいものです。

コラム|ウチダ トモコ
園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主にウェブで提案および取材執筆活動中。

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