4月-6.季節をつなぐよ、クレマチス

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南半球のクレマチス

 早春の園芸店の目につく場所に、リース型や小さなタワー仕立てでディスプレイされている鉢花。たっぷりと咲く6弁ほどの白やクリーム色の小花が愛らしく、よく見れば、クシュクシュっと縮れた葉は、まるでパセリのようです。そう、それはクレマチス。クレマチスといえばつるを盛大に伸ばし、初夏から見られる紫や白の平たい大輪の花を思い浮かべる方にとっては、意外に思えるかもしれません。この小さなクレマチスは、ニュージーランドを原産地とする種類で、フォステリー系、もしくはオセアニア系と呼ばれています。
 そもそも世界中に300種ほどがあるクレマチスのなかでも、南半球原産のものは珍しい存在です。系統名になったフォステリーというのは、ニュージーランドに自生する原種のひとつ。ほかにもマルモラリア、パニキュラータなどの原種があり、それらから生まれた園芸品種が日本でも流通しています。いずれも白、クリーム色、淡緑色などのさわやかな花色で、一般的なクレマチスにはない佇まいが、驚きとともに、ファンをふやしています。
 もっとも多く見かけるのは、この系統では比較的大きな白い花を咲かせるカートマニー‘ジョー’でしょう。同じくカートマニーの‘アバランチェ’は、さらに大きめな花。ほかにも新品種が出てきている、期待したいグループです。
 いずれにしても、日本の環境とは懸け離れたニュージーランド原産の植物です。かなり水はけのよい用土に植えて、雨に当てないように乾かし気味に育てるのがコツです。

ちょっと大人な雰囲気に

 園芸店で、さっそくフォステリー系クレマチスをチェックした帰り道。洋風な外構がすてきなお宅の前を通りかかりました。通りすぎるとき、かすかに鼻がつかんだ甘酸っぱい香り。その方向へ目をやると、建物の一部に堂々誘引されている植物がありました。見紛うことはない、クレマチス・アーマンディー!クラシックな印象のダークグリーンの葉は革質。その重なり合う長い葉を覆うのは、滝のようなボリュームで咲く真っ白な4弁花です。
 アーマンディーの開花時期はソメイヨシノと同じころなので、サクラに気を奪われていると、うっかり花を見に行くのを忘れてしまいそう。けれどもこちらも、一般的なクレマチスとは一線を画す、印象的なグループなので、町中のお散歩途中などに探してみてください。原種は白花、花茎も白ですが、ピンク色の‘アップルブロッサム’や‘日光’、そして猛烈に花つきがよい‘スノードリフト’など、いくつかの園芸品種があります。目印は細長く硬い葉、そして甘い香りです。

 そうこうしている間に季節は進み、やがて冷涼な地域原産のアトラゲネ系やモンタナ系、そしてよく見かける花形の大輪系も続いて咲き出すことでしょう。バラが咲き出すまでの間、そのすぐれたお相手とされるクレマチスが、花の季節を順繰りにつないでくれます。

コラム|ウチダ トモコ
園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主にウェブで提案および取材執筆活動中。

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