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4月-7.越年作物、アスパラガス

野菜だけれども、同じ株から毎年採れる

 アスパラガスは、キジカクシ科クサスギカズラ属の、雌雄異株の野菜です。聞き慣れない科名、属名かもしれませんが、そもそもアスパラガスの標準和名はオランダキジカクシ(阿蘭陀、もしくは和蘭 雉隠)。また、クサスギカズラは、日本の本州から九州の海岸沿いに自生がある植物で、そう思うと身近な印象になりませんか?
 なお、アスパラガスは旧分類ではユリ科に分類されていたので、そちらでなら記憶がある方も少なくないと思います。

 野菜のほとんどは、収穫してしまえばそれで終わる一年草として扱われますが、アスパラガスはちょっと変わり者。いったん株を植えつければ、そこから約10年は収穫できるのです。だから、ひょっとしたらお得な野菜といえるかもしれません。
 ただし、タネから育てると最初の数年は株を充実させるのに努めなくてはならないので、収穫ができるのは、およそ3年目以降と考えたほうがよいでしょう。初夏や秋に園芸店に並ぶアスパラガスの根株を入手して植えれば、翌春から収穫ができるので、家庭では根株から育てるのがおすすめです。
 アスパラガスは根が大きいので、菜園の土壌は深めにしっかり耕します。苦土石灰でpHを6.0~6.5の弱アルカリ性に整えた植え場所に、完熟堆肥を入れます。15~20cmほどの植え穴を掘り、根株を広げて据えて植えつけましょう。乾燥予防に敷きワラや籾がらなどでマルチングをしておきます。ポリマルチでは収穫する新芽が出てこなくなるので、使いません。
 なお、大型の30リットル以上のものを使えば、プランターでも栽培できます。ただし、夏から秋に地上部が1.5mほど伸びてとても茂るので、置き場のスペースに余裕が必要だと覚えておいてください。

 それから白いホワイトアスパラガスは、品種や種類が違うのではなく、芽が出てくるときに遮光した軟白栽培のものです。営利栽培では、ネットを張って遮光しますが、家庭では難しいので、芽が地表に出そうになったころを見計らって、食品用ラップの芯や20cmほどに切った塩ビパイプをかぶせ、上面を黒ラシャ紙などで覆って遮光すると簡単にできます。

アスパラガスか、否か

 ところで、観葉植物にもアスパラガスと呼ばれるものがあります。これも野菜のアスパラガスと同じ、キジカクシ科クサスギカズラ属の仲間で、スプレンゲリ(A.aethiopicus ‘Sprengeri’)、ミエルシー(A.aethiopicus ‘Myersii’)などが流通しています。いずれも食用ではなく観賞用です。野菜のアスパラガスと同様、雌雄異株で、雌株には赤い果実がつき、可愛らしいものです。
 また、フランスやイタリアでは、5月になると「野生のアスパラガス」こと、アスパラ・ソバージュがレストランで楽しめると聞きます。日本にも輸入されているほか、最近では、国内栽培に挑戦している生産者もいるそうです。いずれもごく少量しか流通しないため、高級食材として扱われています。
 アスパラ・ソバージュの見た目はすらっとしていて、グリーンのムスカリのよう。しかし、これは正確にはアスパラガスではなく、オーニソガラム・ピレネーカム(Ornithogalum pyrenaicum)という、ヒアシンス科オオアマナ属の植物。切り花や鉢物、球根でも流通する、オーニソガラムの仲間です。アスパラガスとは食感も風味も違いますが、もし見かけたら、その違いをぜひ一度味わってみてください。

コラム|ウチダ トモコ
園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主にウェブで提案および取材執筆活動中。

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