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6月-9.梅雨をやり過ごすヒントを探しに

菜園に咲く傘

 まず向かったのは、貸し農園。個人の愛好家たちが、それぞれ好みの野菜を栽培しているので、貸し農園の景色はとても多彩です。季節がら、やはりトマトは人気の品目で、あちこちのブースで栽培されているなか、エッ!? と目に留まったのが、傘でした。トマトの支柱のてっぺんに、ビニール傘が縛られているのです。
 トマトのふるさと、アンデスの高地は乾燥地。だから、本来は日本の多湿な気候は苦手なのです。せっかく大きくなったトマトの果実も、長く雨にさらされると膨張して割れてしまいます。それを防ぐために、傘をしつらえてあげたというわけでしょう。栽培者の知識と、愛情からの工夫を、微笑ましく眺めさせていただきました。
 ほかにも、U字に曲がる支柱を利用して、トマトの株を覆うように雨よけをしつらえているケースも見られました。これなら列植しても安心です。
 また、大きくなった果実ひとつひとつに、底を抜いた透明ビニール袋を、ブドウの房と同じようにかけている方もいらっしゃいます。雨よけを設置するのが大変だという場合は、こんなアイデアを試してみるのもよいかもしれません。

ガーデンローズの心意気

 お次は、毎年5月に、玄関前の小さなスペースで、バラを美しく咲かせているお宅へ向かいましょう。一番花はきれいにカットされ、残りの花がわずかに咲いています。すでに新しい枝が伸び始め、梅雨明けには夏花がいくつか見られるかもしれません。
 バラといえば春と秋のイメージで、確かに現代の四季咲きバラの花盛りはその2回です。しかし、近年育種された品種は生育がよく、花数こそ少ないけれど夏の暑さにもめげず、咲き続けるものがよくみられます。
 また、花弁や葉も厚く丈夫になってきているので、雨で傷んでしまうことも少なくなりつつあります。バラとは切り離せない黒星病が出にくいように育種されている品種もふえてきました。多湿な日本の庭で、美しく元気に育つバラが実現できた裏には、育種家たちのたゆみない努力があったことを思わずにはいられません。
 代表的なものを挙げるとすれば、中近東原産のペルシカ系のバラです。用土、空気ともに乾燥を好むこの系統は、日本では完全に施設内で栽培するほかありませんでした。しかし近年、ペルシカ系の血を受け継ぐ「バビロンシリーズ」などの品種が次々と登場し、庭植えが可能なまでに発展したのです。
 ただし、なかには、オールドローズや古い品種、またどうしても遺伝的に黒星病が出る品種もあります。こうした品種は庭植えにするよりも、あらかじめ鉢植えにして、雨の時期はテラスの軒下や玄関ポーチに取り込むようにしましょう。

雨の日の園芸

 家に戻ると、春にいただいたフランネルフラワーの鉢花がしっとりと雨に濡れていました。フランネルフラワーも、最近流通している品種は育種のお陰で、ずいぶん強健になったもののひとつです。しかし、元々はオーストラリア原産で雨が苦手。蒸れると黒ずみ傷んでしまうので、雨よけ下に置くのがおすすめです。
 このように園芸植物のなかには、雨には当てないで、人間がコントロールして水を与えるべきものが少なくありません。最近人気の多肉植物も、その筆頭といえるでしょう。
 雨だから園芸作業ができないということはありません。雨の日だからこそ、庭やベランダを見渡すと見えてくる園芸も、いいものです。

コラム|ウチダ トモコ
園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主にウェブで提案および取材執筆活動中。

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