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7月-1.父の日の後日談

 毎年、そう。梅雨は、そう。曇天や雨天の日がだらだらとふえて、ようやく「梅雨入り宣言」で諦めがついて、月が変わると梅雨はいよいよ本性を現して、これでもか、これでもかと雨を降らせる。そう、まるでダメ押しするかのように。

 雨の日の「みちくさ」は長靴と雨合羽でくり出す私だけれども、春以降、在宅の過ごし方の幅が広がったこともあって、雨の日も家にこもりがちでした。しかしながらひっきりなしの雨降りは、さすがにガーデニング作業を滞らせます。薬剤散布もしたいし、アジサイの花後剪定もしたい。晴れ間待ちの気持ちは、皆同じですよね、きっと。

小さな盆栽の定位置は

「ちょっと教えて欲しいんだけど」。
 雨の日曜日。同級生からの久しぶりのメールに、何事かと思いきや「父の日に娘から、小さな盆栽をプレゼントされたんだけど」という微笑ましいものでした。「これって、どうしたらいいのかな。今はリビングに飾ってるんだ」。
 お嬢さんに尋ねたらいいのに。もしくは、一緒に調べたらいいのに、という返事はぐっとこらえて、昔から決して雄弁ではない、今なら照れ屋なお父さんだろう彼には、率直に質問にだけ答えることにしました。
 まず、どんな樹種であっても、盆栽に使用される類の植物は、基本的に戸外で栽培します。身近な場所で観賞するために室内で飾る場合も、その期間は2週間程度と考えましょう。6月の父の日からすでにひと月あまりが経っています。その間、ときおり戸外へ出して、日光や自然の風に当てていたのならなんとか保てますが、ずっとリビングに置きっぱなしであれば、そろそろ定位置を戸外に変更することをおすすめします。
盆栽の戸外の定位置の決め方は、その樹種の基本的な栽培方法に沿います。日なたを好むものは日なたに、また、夏の強光線を避けたいものは、梅雨が明けたら明るい半日陰や遮光ネットの下に置くなど、植物に応じた管理をします。

 また、雨の季節の間なら外置きの植物にはそれほど心配はないとはいえ、盆栽は、特に鉢が小さければ小さいほど、根を張れる土の量が少ないので、梅雨明けからは乾きすぎが心配です。
 「鉢土が乾いたら水やりすることを基本にするけれど、真夏は1日3回ほど水やりが必要な場合もあるよ」と彼に伝えると「えっ、日中は根が煮えちゃうから水やり厳禁じゃないの?」と驚いていました。
 それでも土が乾き切って植物が枯れてしまったら、元も子もありません。鉢と鉢土が熱くなっていたらいったん日陰に置いて全体を冷ましてから水を与えます。また、水で冷やす効果もありますから、むしろ鉢土はもちろんのこと、鉢自体や植物全体にたっぷり水をかけて熱を逃がすことで、盆栽全体の温度が下がります。つまり、「根が煮える」ことを避ければ良いのです。それよりも水はけのよい土を使い、鉢の中に大量の水を停滞させないことが大切ではないでしょうか。
 同級生がお嬢さんからプレゼントされた盆栽は、ニレケヤキとのことでした。ニレケヤキが植えてある都内の公園の名前を伝えて、ぜひ大きな状態の木も観賞してみて欲しいことを添えました。
 そして、改めて植物を介した親子の交流はいいものだなと、私自身の子ども時代も振り返ってみたのでした。

ときには戸外へ

 さて、室内に飾る植物といえば、観葉植物。父の日に限らず、何かの御祝いでプレゼントされた方もいらっしゃるでしょう。観葉植物の類の多くは熱帯地方原産のものですから、今から夏にかけて、まさに彼らの成長期のど真ん中。この時期もそのまま室内に置いておけますが、エアコンに馴れさせてばかりではなく、ときおり、もしくは秋口までは、戸外に定位置をつくってあげてもよいのです。自然の風と日ざしと、そして雨の恵みは、箱入りっ子の観葉植物を生き生きとさせてくれます。戸外管理に移行して、ぜひ表情の違いを楽しんでみてください。よい表情のために、肥料もしっかり与えましょう。
 梅雨の終わりのこの時期なら、まだ強光線にもならないから葉焼けも避けられ、戸外管理スタートにおすすめですよ。そう、ダメ押しのように、今こそ戸外へ!

ときには戸外へ
コラム|ウチダ トモコ
園芸ライター、グリーンアドバイザー、江戸東京野菜コンシェルジュ。
園芸雑誌、ライフスタイル誌などの編集、ライターを経て、現在は主にウェブで提案および取材執筆活動中。

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