4.基本のタネまきと植え付け作業
4-10.野菜を育てるコツ
苗の選び方と畝立て
野菜づくりは「苗半作」といい、苗の良し悪しで収穫が大きく左右されます。野菜のよい苗も草花の苗と同じく、茎が太く節間が短く、がっしりしていて、根張りがよい苗です。さらに、野菜には種類ごとに植え付けに適切な大きさもあります。大きすぎても小さすぎても、生育がうまくいきません。最近は、植え付けの時期より大分早くから苗が出回りますが、購入した苗が小さい場合は、適切なサイズになるまで育苗してから植え付けます。
苗は、あらかじめ土づくりをして畝をつくってから植えます。畝は野菜のタネをまいたり、苗を植え付けるために畑の土を細長く盛り上げた床で、ベッドともいい、畝をつくる作業を「畝を立てる」といいます。
苗の選び方
トマトやナス、キュウリなどは、育苗に時間がかかるので、市販の苗を利用すると手間がかかりません。ただし、よい苗を選んで適期に植え付けるのが大事です。
よい苗の条件
・葉が厚く、葉色が自然の緑である
・病害虫の被害にあっていない
・節間がつまり、全体にがっしりしている
・下葉が枯れたり、黄色くなっていない
・しっかりした子葉がついている
・鉢底から白い根が見えている
・ナスやトマトは、第一花房に花が咲いているかつぼみがある
よい苗
トマト、ナス、ピーマン(ナス科の野菜)などは、一番花が咲いているか、つぼみがついているものを選ぶ。

キャベツ、ブロッコリー、ハクサイ(アブラナ科の野菜)などは、本葉が5~6枚ついて、茎の先の成長点がしっかりしているものがよい。

悪い苗

・節間が伸びて、徒長してひょろひょろしている
・下葉が黄色くなっていたり、枯れている
・葉が虫に食われてボロボロになっている
接ぎ木苗

畝立て
よく耕した畑に畝をつくって苗を植えますが、畝をつくると、水はけがよくなり、畑と通路の区別ができて追肥や中耕などの日常の管理がしやすくなります。畝の幅は、野菜の種類によっても違い、一般的には60~70cm。水はけのよい畑なら畝の高さ5~10㎝の「平畝」にしますが、水はけの悪い畑は高さ20~30㎝の「高畝」にすると排水性がよくなります。
平畝

高畝
高さが20~30cmで、水はけの悪い畑に向く。
畝立てと同時に元肥を施す
キュウリのように根の浅い野菜や葉菜など生育期間の短い場合は、畝全体に元肥をまく「全面施肥」。ダイコンやニンジンなどの直根類も、根に堆肥の塊などが当たると叉根になるので「全面施肥」。キャベツ、ハクサイ、ブロッコリー、トマト、ナスなどのように収穫までの期間が長い野菜は、畝の中央に深さ20㎝程度の溝を掘り、溝の中に肥料をまいて土を埋め戻す「溝施肥」にします。
① 作りたい畝の幅と長さに合わせて紐を張る。

② 紐の内側に苦土石灰をまいて土とよく混ぜておく。

③ 石灰をまいた1週間後に、全体に堆肥と化成肥料をまく。

④ 土になじむようによく耕す。

溝施肥
① つくりたい畝の幅と長さに合わせて紐を張る。

② 紐の外から鍬で土をすくい、土を盛り上げて畝を立てる。

③ 溝肥を施すために、畝の中央に深さ20~30㎝、クワの幅(15㎝)の溝を掘る。

④ 溝に堆肥を均等にまき、その上に化成肥料をまく。

⑤ わきに盛った土で溝を埋め戻す。

⑥ レーキで表面をよくならす。
