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風景を切り取る~ 主役をよき脇役に

風景を撮るということは、主に風景の一部を切り取るということですが、どこをどう切り取るかで平凡な風景も絵ごころのある写真になります。

写真の構図はこうでなければいけないということはありませんが、そこに撮影者の想いが反映されれば写真はより饒舌になります。花を撮る場合も、せっかくきれいな風景の中にいるのですから、花だけを写すのではなく、周囲の状況や自分の心情を織り交ぜながら、花が絵全体をを引き立てる一要素となるように配置してみましょう。

まずはきれいな花を記録

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ハイキングコースに咲いていたミツバツツジです。みなさんもこのように見事な花全体をまずは写されることでしょう。しかし、これだけではただのミツバツツジの写真で、後で見たときにどこで撮ったのかも思い出せないことがあります。

花を絵の一要素として画面づくり

カメラを右に向けて、自分が歩いた尾根道を画面に入れました。ミツバツツジは全体を入れないことでかえってたくさんの花を想像させます。画面にも奥行きが出て、図鑑写真ではなく、周囲の様子や当時の心境がわかる写真になりました。人物を入れた記念写真も、たとえば道の向こうから歩いてくる様子にすればいっそう雰囲気が出ます。

撮影のヒント

風景を切り取るには、ただ目に見える光景の一部をトリミングするだけではなく、見えない空間で奥行きを出したり、望遠レンズで前後を圧縮したり、画面に動きを表現したりと、肉眼での見え方とは違うカメラならではの手法もあります。

見えない空間で遠近感を

晴れた日は花見日和ですが、撮影には雨の日もまたよしです。山桜などは木によって微妙に違う花色がよくわかります。また霧雨に煙る背景は風情があり、浮かび上がる木々の姿をきちんと入れることでより遠近感が出ます。

 

望遠レンズでの圧縮効果

ここでは、桜そのものに加えて手前の新緑や菜の花がいっしょに咲く様子を撮りました。実際には手前の菜の花と桜との間には畑がありますが、 望遠レンズはその距離を縮めてひとつの絵にしてくれます。「庭の撮り方」と同じように、風景のなにもかも画面に入れようとはせず撮りたいものを強調することが大切です。ときには縦位置で撮ることも、前後の奥行きが出てより効果的です。

桜吹雪は背景に注意

桜吹雪は桜の写真の醍醐味のひとつですが、あまり広範囲でも、背景が明るすぎても花びらが見えません。また、シャッタースピードが速すぎても完全に静止して風の動きが感じられません。その時の天候次第なので、何枚かシャッタースピードを変えて撮るのがいいでしょう。

水面の花びらで動きを表現

水面に散った花びらも桜の写真の絶好のテーマです。川など流れがある場合は、スローシャッターで写真ならではの動きのある表現ができます。その場合、三脚でカメラを固定し、岩や枝など動かないものを画面に入れて対比させると絵の中のアクセントになります。ここでは、石の上で休む鴨をいっしょに撮りました。

桜のおすすめスポット 六本木さくら坂

桜の名所は全国各地にありますが、東京の都心の意外な見所です。まだ若いソメイヨシノの並木が清楚で、夜のライトアップも裏通りにあたるので静かに楽しめるのですが、おすすめ理由は園芸家の杉井明美さんによって並木沿いに植えられた日本古来の植物たちです。桜の頃のタツナミソウやムサシアブミ、エビネなどに始まり、季節ごとに様々な日本の植物が花を咲かせます。


桜の足下に花を咲かせるヒトリシズカ。六本木ヒルズの中にありながら、山里でも少なくなった草花を見ることができます。

プロフィール 入江寿紀

写真家。自然の中の風景写真を様々な媒体に提供するほか、園芸雑誌でも撮影を担当している。

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