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「庭」を撮る~見る人に臨場感を与えるように

みなさんは、ご自分の庭で咲いた花を撮ることは多くても、庭という空間を撮ることは少ないかもしれません。
自分の記録写真であれば、見たままを素直に撮ることが大切ですが、誰かに写真で庭の雰囲気を伝えるには、ちょっとカメラ的な視点が必要です。
それは、花や寄せ植えと違って、庭の写真は広い範囲のどこかを切り取る作業になるので、必ずしも実際に目で見た印象と同じにはならないからです。庭という空間を撮るとき、きれいな花をあれもこれも写そうとすると、かえって散漫な印象の写真になってしまいます。
今回は、より庭の雰囲気が伝わる写真にするための、効果的な画面の切り取り方をいくつかご紹介します。

ポイントは奥行き感を出すこと~人の気配をアクセントに

庭という立体的な空間を、写真という平面で伝えるには、奥行き感が出るような視点で撮ることが大切です。そのために効果的なアクセントになるのが、草花以外の人工物です。もちろん庭の主役は草花なので、きれいに咲いた花だけを撮ってもよいのですが、写真のなかに人の気配が感じられれば、いっそう雰囲気のある写真になります。それは、庭は植物見本園や自然ではなく、みなさんが植物たちとともに過ごすためにつくった人間のための空間だからです。たとえば、レンガの小径やひと休みする椅子、お茶を飲むテーブルなどは、写真に奥行き感を出すのに利用できるだけでなく、写真を見た人に、自分もその場にいるような臨場感を与え、みなさんと草花との楽しい時間を想像させてくれるのです。

岩見沢市白井邸
(園芸ガイド2009夏特大号掲載)

基本テクニック

庭の一部分を切り取り、カメラ的な視点で庭の雰囲気を出す方法をいくつかご紹介します。

1. 縦位置・横位置の違い

写真は横位置が基本ですが、庭の撮影では縦位置を多く選択します。それは、人の動線がよくわかり、写真に奥行きと立体感が出るからです。伝えたい雰囲気に合わせて、縦位置と横位置を使い分けましょう。

岩見沢市高橋邸 岩見沢市高橋邸

横位置の写真は静的な印象です。楽しいティータイムを垣間見るようです。

岩見沢市高橋邸 岩見沢市高橋邸

同じ場所を縦位置で撮影しました。カーブを描く道が庭の奥まで誘ってくれるような、動的な印象になります。

2. 広角・望遠の特性を生かす

ほとんどのコンパクトカメラは広角から望遠までズーム機能があり、また、一眼レフなら専用レンズに交換できます。庭の撮影でよく使うのは、広い範囲が写る広角レンズ(ズームなら広角側)ですが、必要に応じて望遠レンズ(ズームなら望遠側)も利用しましょう。

岩見沢市白井邸 岩見沢市白井邸

広角レンズ(ズームなら広角側)で撮ると、全体の様子はよくわかりますが、それぞれの植物は小さく写り、配置の説明的な写真になります。

岩見沢市白井邸 岩見沢市白井邸
園芸ガイド2009夏特大号掲載

同じ場所を望遠レンズ(ズームなら望遠側)で撮ると、画面が圧縮されて、遠近感があるイメージ的な写真になります。写る範囲が狭くなるので植物の数は減りますが、写したい植物がより強調されます。

3. 上下・前後を生かしてメリハリを

実際の撮影で、もっともよく使う基本的な写し方です。画面を平面的に写すのではなく、上下や前後を上手に生かしましょう。

岩見沢市高橋邸 岩見沢市高橋邸

広角レンズでの縦位置がもっとも効果的なのは、木立やアーチなど高さがあるものをあえて手前に配し、画面の上下をフルに生かす構図です。前後が立体的になり、写真を見る人に、まるでその場に立っているような臨場感を与えます。

岩見沢市白井邸 岩見沢市白井邸

主に花だけを写す場合も、いくつもの花を漫然と画面に入れるのではなく、見せたい花を決めて手前に大きく配すると、その花の様子もよくわかり、画面にメリハリと奥行きが出ます。

まとめ
  奥行きの出る画面構成で臨場感を出す
  効果的に人工物を入れて庭らしい雰囲気に
  写す草花を限定して画面にメリハリをつける

プロフィール 入江寿紀

写真家。自然の中の風景写真を様々な媒体に提供するほか、園芸雑誌でも撮影を担当している。

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