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寒さが本格的に訪れる季節、家庭菜園にとって大敵となるのが「霜」です。霜が野菜に当たると、作物がダメージを受け、生育不良や枯死につながることも。冬の間は霜対策が欠かせません。霜の仕組みを理解し、適切な対策を施すことで、大切に育てている野菜を守りましょう。
本記事では、霜の降りる条件やその影響、そして、家庭菜園で実践できる霜対策について詳しくご紹介します。
霜とは、放射冷却により地面の温度が下がり、空気中の水蒸気が氷として植物に付着する現象です。放射冷却とは、日中に太陽で暖められた地面の熱が、夜になり上空へ逃げていくこと。この放射冷却が強まると、地面の温度が急激に下がり、霜が発生しやすくなるのです。
放射冷却が特に強まる条件として、以下の条件があげられます。
● 風が無く湿度が低い日
● 雲がない星空の日
雲がないと地面からの熱が遮られることなく放出され、急激に冷え込むためです。
例年、北日本では10〜11月、東・西日本では11〜12月が初霜のシーズン。朝の気温が3~5℃になると、霜が降りやすくなるため、特にこの時期は注意が必要です。
霜が植物に悪影響を与える理由としては、植物の表面に氷の結晶が付着し、細胞内外の水分が凍結することにあります。この凍結により、植物の細胞が壊れてしまい、壊死を引き起こします。霜に弱い植物ならば、一度の霜によって大きなダメージを受け、枯れてしまうこともめずらしくありません。
特に、葉物野菜や霜に耐性が無い作物は、霜が降りることで著しいダメージを受けることがあります。細胞が壊れた部分は回復が難しく、葉が黒ずんだり枯れたりする原因になります。ですので、霜が降りやすい時期には、しっかりと対策を施しましょう。
霜に比較的強いとされる野菜は、耐寒性に優れ、寒冷な環境でも元気に育ちます。
代表的なものとして、ネギ、タマネギ、ラッキョウ、ホウレンソウ、ナバナ、タカナなどが挙げられます。これらの野菜は、霜が降りても枯れにくく寒さに強いため、冬場の家庭菜園に適しています。
ただし、これらの耐寒性のある野菜でも、霜が連続して降りる場合や、急激に気温が下がるとダメージを受けることがあります。暖かい日が続いた後に急に霜が降りると、植物が寒さに適応できずダメージが大きくなってしまうこともあります。
霜から野菜を守るために、家庭菜園でも取り入れやすい対策をご紹介します。霜対策の基本は、霜が直接野菜に当たらないようにすることです。
最も手軽で効果的な霜対策は、寒冷紗や不織布などで作物を覆う「べたがけ」です。不織布は通気性があるため、植物の生育に悪影響を与えず、霜が直接当たるのを防ぐことができます。
日中の太陽の光は布を通して差し込みますが、夜間は適度な保温効果を保つため、霜が降りやすい寒冷地や朝晩の冷え込みが激しい地域で特に有効です。
べたがけを行う際は、布が植物に直接触れないように支柱などで空間を作ると、より効果的です。大きな葉を持つ作物では、布の重みで葉が傷むことがあるため、注意しましょう。
敷きわらや落ち葉などを使ったマルチングも地温を保てるので、有効な対策です。土壌を冷えから直接守り、植物の根が凍結しにくくするだけでなく、土壌の保湿効果も高めます。特に霜が降りやすい地域では、この方法で土壌の温度を安定させ、霜のダメージから作物を保護することが大切です。
また、マルチング材には敷き藁や落ち葉などの自然素材が適しています。堆肥や腐葉土を一緒に使用すれば、土壌改良も期待できます。
より本格的な対策としては、ビニールトンネルを設置する方法もあります。ビニールで覆うことで、内部の温度を保ち、霜から野菜を守ることができます。これにより、冬場でも暖かい環境を作り出すことができて、夜間の冷え込みから作物を守ってくれ、霜の影響を大幅に軽減できます。
トンネル栽培の資材は、園芸店やホームセンターで購入することができます。
気温が上がる日中にはビニールを少し開けて換気をしておきましょう。
霜が発生するのは、風がなく、冷たい空気が滞留してしまう環境です。つまり、風通しを改善すれば、霜が発生しにくくなります。菜園の周囲に高い構造物がある場合は、風通しを良くする工夫をして、冷気の滞留を防ぎましょう。
冬が近づくと、家庭菜園にとって霜対策が重要な課題となります。霜が降りる仕組みや野菜への影響を理解し、適切な方法で対策を施すことで、寒い季節でも作物の成長を守ることができます。
寒冷紗や不織布を使ったべたがけ、敷きわらなどを使ったマルチング、ビニールトンネルによる保温対策など、家庭でも手軽に取り入れられる方法でしっかりとガードしましょう。
霜の降りる季節に備えよう!簡単にできる霜対策方法まとめ園芸知っトク情報のページです。
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