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サクラは、多くの日本人に愛されている植物です。代表的な品種といえばソメイヨシノですが、それ以外にも数多くの品種があることをご存じでしょうか。なかには、自宅の庭や鉢植えで栽培可能な品種もあります。
本記事では、サクラを自宅で育てる際のポイントやおすすめの種類、植え付け手順、お手入れ方法をご紹介します。自宅でサクラを育ててみたいという方は、ぜひ参考にしてください。
サクラといえば、花見で楽しむ大きな木のイメージが強く、自宅では育てられないと思っている方も多いでしょう。ソメイヨシノなどの大きな品種を自宅で栽培するのは現実的ではありませんが、大きく育たない品種なら自宅で育てることは可能です。しかも、栽培方法はそれほど難しくなく、初心者にもおすすめです。
そもそも、サクラにはどのような特徴があるのでしょうか。ここでは、サクラの特性とおすすめの種類を紹介します。
サクラの多くは3~4月に見頃を迎えますが、早咲きの種類は2月頃に開花します。おもに、北半球の温帯に分布している植物です。
種類は、ソメイヨシノやヤエザクラなど、多くの品種があります。自生する野生種は9種類ですが、品種改良された園芸品種は非常に多く、日本だけでも約600品種が存在するといわれています。なかには、御衣黄(ギョイコウ)という変わり種もあり、サクラには珍しい緑色の花を咲かせるのが特徴です。
自宅栽培に向いているものには、以下の種類があります。
種類 | 特徴 |
旭山桜(アサヒヤマザクラ) | 鉢植えや盆栽に多い品種。地植えしてもコンパクトな大きさで楽しめる |
豆桜(マメザクラ) | その名のとおり、葉が小さく小ぶりな品種。樹高も低くかわいらしい |
シナミザクラ | 枝が横に広がらず、狭い場所でも育てられる。実ったサクランボは食べられる |
小彼岸(コヒガン) | 枝が細かく花付きが良い。大きく成長しないため、かわいらしい姿が楽しめる |
ここでは、サクラを植え付ける際のポイントを4つ紹介します。
サクラの植え付けは、落葉している間が適しており、厳冬期を避けた11~12月上旬、2月下旬~3月中旬がおすすめです。
鉢植えにする場合は、根が成長する場所を確保するため、2~3年に1回程度は植え替えを行ないます。また、鉢の底から根が出てきたときも植え替えが必要です。植え替えには、からみ合った根をほぐしたり悪いところを切り捨てたりする役割もあります。
サクラは日陰ではうまく育たないため、日当たりの良い場所を選びましょう。また、水はけや風通しが良く、養分の多い土を好みます。水はけの悪い場所や養分が少ない場所では、植え付け前に土を改良しておく必要があります。
ほかにも、風が強すぎると花や葉が落ちやすくなるため、強い風が当たる場所は避けましょう
サクラの水やりは、年間を通じて土が乾燥しすぎない程度に行ないます。朝に水をやると日中に土が乾きにくくなるため、水やりは朝がベストです。夏は朝に水をやっても夕方に土が乾いていたら、もう一度水やりをしましょう。
水やりの判断が難しい場合は、以下を目安にしてください。
● 春から夏:1日に1~2回
● 秋:1~2日に1回
● 冬:2~3日に1回
なお、冬場は夕方に水やりをすると、凍結してしまうことがあるため注意が必要です。
サクラは開花までに時間がかかります。早くても5年以上、遅いものでは10年以上かかる場合があります。ただし、サクラは交雑により変異しやすいため、開花までにかかる正確な期間はわかりません。開花するまで気長に待つ、という心構えも必要です。
ここでは、サクラを植え付ける手順を解説します。
苗木を植える鉢を用意したら、苗木よりもやや大きい穴を掘って植え付けます。鉢は大きめを選ぶと管理しやすいでしょう。植え付けたあと、苗木の周りに隙間がなくなるようにしっかり土を入れるのがポイントです。
植えた直後は幹が細く、強風で倒れたり、伸びた根が切れてしまったりするケースがあります。サクラが自分自身を支えられるようになるまでは、支柱で支えてあげます。支柱が倒れないよう、しっかりと鉢や地面に挿しておくことが大切です。
植え付けたあとは、化粧土やコケで仕上げると見栄えが良くなります。最後にたっぷりと水やりをしてください。水やりの際に、「X-ENERGY(エックスエナジー)」を一緒に使うと効果的です。
X-ENERGYは、環境によるダメージの抵抗性を高める「バイオスティミュラント」など、植物を丈夫に育てる5つの成分を配合しています。
ここでは、サクラを植え付けたあとのお手入れ方法を紹介します。
苗木のうちは肥料が必要です。冬に、固形肥料や有機肥料を多めに与えましょう。ただし、サクラは根が弱いので元肥を与える必要はありません。植え付け直後の追肥も根を傷めやすいため、1ヵ月ほど様子を見てから追肥をします。また、大きく育ったあとの肥料は不要です。
サクラの枝の大きさは、根の広がりとほぼ同じであるため、肥料は、枝の先端あたりの土を50cmくらいの深さで3~4か所掘り、肥料を入れます。深く掘りすぎると肥料が根に当たって肥料焼けを起こすので注意しましょう。
「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」ということわざがあるように、サクラの枝を不用意に切ると切り口から菌が入って腐ることがあります。サクラは繊細な植物のため、剪定する際は特性をよく理解したうえで行ないましょう。
剪定に適している時期は、落葉後の11~2月にかけてです。大きく育った枝を切ると、花が長期間咲かなくなる可能性があります。
剪定後は切り口から菌が入らないよう、「トップジンMペースト」のような癒合剤を塗布しておくと安心です。
さし木や接ぎ木をするとサクラを増やせます。さし木は、花が咲く前の2月頃や花が咲き終わった6~7月が適した時期です。なお、さし木に使う「さし穂」は、花が咲く前なら新芽のついた枝を、花が咲き終わったあとなら新しく伸びた枝を選びましょう。
さし穂は10~15cmの長さにし、2~3時間水につけたあとで鉢に植えます。さし木をしたあとは、根が張るまで土が乾かないよう、適宜水やりをしてください。
接ぎ木は、2月下旬~3月中旬が適した時期です。1~2月にサクラの枝を切り取り、接ぎ木の「穂木(ほぎ)」にします。
接ぎ木の手順は、以下のとおりです。
1. 接ぎ木の土台となる、台木(だいぎ)の根もとから4~5cmを水平に切断する
2. 切断面の外から内にかけて約45度の切れ込みを入れる
3. 切れ込みに穂木を差し込む
4. 接ぎ木テープを巻いて穂木を固定する
台木と穂木が密着するように、穂木の切り口を斜めに削っておくことがポイントです。接ぎ木テープは、穂木が台木に根付く「活着(かっちゃく)」まで巻いておきましょう。
サクラには多くの品種があり、旭山桜や豆桜など、庭や鉢植えで育てられるものもあります。剪定などで繊細な面もありますが、一般的に初心者でも育てやすい植物です。
サクラの植え付けは、11~12月上旬と2月下旬~3月中旬が適しています。自宅でサクラを育ててみたい方は、今がチャンスです。ぜひ、この機会にサクラを植えてみてはいかがでしょう。
サクラの自宅での育て方~植え付けやお手入れ方法のポイント~園芸知っトク情報のページです。
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