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知っておきたい園芸情報 - 園芸知っトク情報きゅうりの病気対策~対処法や予防方法を解説~

きゅうり栽培をすることで、愛情のこもったきゅうりを食べることができます。また、きゅうり栽培を通して、お子さまがいるご家庭では食育にもつながります。
しかし、実際にきゅうりを栽培する際には、病気の特徴や予防法などについて理解しておく必要があります。

そこで本記事では症状の見分け方から予防策、対処法まで解説し、きゅうりが病気にかかりにくくなる栽培のポイントについてお伝えします。この記事の内容を実践すれば、おいしいきゅうりの収穫ポイントが分かるでしょう。

目次

きゅうりの病気に関する基礎知識

きゅうりに発症するおもな病気には、うどんこ病、べと病、炭疽病などがあります。病気が発生する要因はさまざまで、早期発見と適切な対策が重要です。

◇きゅうりの病気が発生しやすい環境条件

きゅうりは病気ごとに、発生しやすい環境条件が大きく異なります。高温多湿の環境ではうどんこ病、べと病、炭疽病などが発生する可能性が高くなります。特に降雨時は注意が必要です。

また、栽培方法や気候条件、過剰な窒素肥料なども病気を助長します。すき間なくきゅうりを植えたために通気性が悪い環境では、葉が乾燥しにくく多湿となるので、病原菌の繁殖が促進されます。同じ場所で同じ作物を繰り返し栽培する連作によって土壌が変化し、病気になりやすくなります。

きゅうりの栽培において病気の発生を防ぐには、適切な栽培環境の管理が大切です。

◇栽培ステージごとに注意すべき病気

きゅうりは、栽培のステージごとにかかりやすい病気があります。一見してどの病気にかかっているかわからない場合に、対策を誤ると病気が広がってしまうかもしれません。正しく対処を行なえるよう、栽培のステージごとに発生しやすい病気について理解しておきましょう。

育苗期はうどんこ病やべと病に注意しましょう。乾燥するとうどんこ病にかかりやすく、湿度が高くなるとべと病が発生しやすくなるため、水分の管理が重要です。

定植時から栽培初期は、土壌に潜む病原菌が要因であるつる枯・つる割病や疫病などに注意します。

栽培中後期になるとうどんこ病やべと病だけではなく、灰色かび病、黒星病なども発生しやすいです。

いずれのステージでも、病気の早期発見と迅速な対応が重要です。各ステージに応じた対策を施して、被害を最小限に抑えましょう。

きゅうりに発生しやすい代表的な病気と識別方法

ここでは、きゅうりがかかりやすい病気の症状と見分け方、各病気の初期症状から進行した状態までを説明するほか、早期発見のポイントや類似した症状が見られる病気との見分け方について詳しく解説します。

◇うどんこ病の症状と見分け方

うどんこ病は、まず葉の表面に白い粉が付着したような白斑が見られます。病気が進行すると、茎や葉表、裏側にも白斑が広がり、全体が白いカビに覆われます。最終的には黄色く変色し、枯れてしまうという流れです。

うどんこ病は乾燥した環境において発生しやすく、特に昼夜の温度差が大きな時期に多く見られます。夜間に気温が15~16度、湿度が97~99%と冷涼で多湿な環境で病原菌の胞子が繁殖し、日中に温度が23~27℃、湿度が40~70%となる条件下で胞子が飛散し感染します。

春から初夏にかけては、日中は温暖でも夜間は冷え込むため、特に注意が必要です。初期症状を早期に発見するよう努め、症状を見つけたら発症している箇所を取り除くなどの対策が重要です。

◇べと病の症状と見分け方

べと病は、まず葉の表面に淡い黄色の斑点が現れることが特徴です。この斑点は、次第に葉脈に囲まれた角ばった黄褐色の形状に変化します。さらに、斑点の裏側にはビロード状のカビが発生します。

べと病は温暖で湿度が高い環境で発生しやすいことが特徴です。湿度が高い梅雨の時期や朝露が多い時期には特に注意が必要です。病気が広がると葉全体に影響をおよぼし、葉が脆くなるため、最終的には株全体が枯れる原因となります。早期発見を意識するとともに、通気性を良くするなど適切な湿度管理が重要です。

◇炭疽病・褐斑病・黒星病の症状と見分け方

炭疽病は葉、茎、果実に影響をおよぼし、淡褐色から黄褐色の大きな円形の斑点が見られます。進行すると斑点が白くなり、やがて破れて穴が空くことが特徴です。

褐斑病は葉の表面に淡褐色で円形の小斑点が現れることが特徴です。病斑は直径5~8mmから10~30mmほどの大きさまで徐々に拡大し、中心部が灰褐色になることがあります。

黒星病は若い葉、茎、幼果に発生し、特に茎や幼果には紡錘形のくぼんだ暗緑色の斑点が現れ、その上に黒褐色のカビが生えます。やがて、中央部からヤニを分泌することが特徴です。

これらの病気は多湿な条件で発生しやすく、早期発見と迅速な対応が重要です。

◇灰色かび病と斑点細菌病の症状と見分け方

灰色かび病は果実、葉、茎に影響をおよぼします。果実には灰色から淡褐色のカビが見られ、葉には灰褐色で円形の斑点が形成されて中央部に灰色から淡褐色のカビが生じることが特徴です。特に弱った部分から感染し、気温が低く湿度の高い環境で急速に広がります。

一方、斑点細菌病は葉に水浸状で暗褐色の小さな斑点が現れることが特徴です。この斑点は次第に拡大し、中央部が乾燥して灰白色となり破れることもあります。場合によっては果実には油浸状の小斑点が現れ、さらに進行すると亀裂が生じヤニを分泌します。

どちらの病気も湿度が高い環境で発生しやすいため、初期症状の段階での早期発見と適切な湿度管理が重要です。

きゅうりの病気を防ぐ栽培管理のポイント

適切な水管理、風通しを良くするための整枝・整葉、適切な間隔での栽植、水はけが良く適度に栄養を含んだ土づくりなど、病気の発生を未然に防ぐための対策について紹介します。

◇適切な水管理と湿度コントロール

病気予防には水管理と湿度のコントロールが重要です。水やりは朝に行ない、夏場は朝夕2回行ないます。水やりの際は株もとに直接水を与えて葉に跳ね返らないよう注意が必要です。

ハウス栽培では、極端に高湿な状態や乾燥は病気の原因となるため、60〜80%の湿度を目安として湿度管理を行ないましょう。

◇風通しを良くする整枝と栽植密度

病気予防のため、整枝を行なって混み合った枝を剪定し、風通しを良くします。同時に、適正間隔で栽植することにより株間を十分に確保して湿度を下げ、病原菌の繁殖を抑えるとともに健全な生育環境を実現します。

適切な整枝と栽植間隔の管理は、きゅうり栽培において極めて重要です。これにより病気にかかるリスクが大幅に低減します。

◇土づくりと適切な施肥

病気に強いきゅうりを育てるためには、適度に有機肥料に含んだ土づくりが基本です。畑などでは天地返しにより上部と下部の土を入れ替えます。また、適度な肥料を与える一方で窒素過多による病気の発生を防ぎ、健全な生育環境を整えます。

適切な肥料配分と定期的な土壌改良を行なうことによってきゅうりの病害発生を防ぎ、安定した収穫が期待できます。

◇耐病性品種の選定と活用

品種改良により病気への耐性を持った品種を選ぶことで、きゅうりの安定的な収穫が期待できます。べと病やうどんこ病に強い品種を見極めるため、栽培条件に応じた選択が重要です。

効果的な防除方法と対策

きゅうり栽培で生じる主要な病気に対して、効果的な防除方法について解説します。また、防除に効果的な製品についても紹介します。

◇予防散布のタイミングと方法

きゅうりは定植直後、苗がまだ十分に成長しておらず、病原菌に対して非常に弱い状態です。そのため、定植後すぐに初期防除として土壌に対し病気を予防する薬剤を均一に散布し、病原菌の侵入を防ぐことが重要です。また、病気の発生前に一度予防散布を行なうことによって、のちの感染拡大を未然に防ぐ効果があります。

粒剤タイプの「ベニカXガード粒剤」は、種まきや植付け時に土に混ぜ込む、あるいは植付け後に株もとにまくだけで、すぐに効果を発揮することが特徴です。根から吸収された殺虫成分が葉全体に行きわたり、害虫による被害から株全体を守る働きをします。

◇うどんこ病とべと病の効果的な防除法

うどんこ病とべと病は適切な対策により、防ぐことができます。うどんこ病は乾燥した環境で発生しやすく、葉に白い粉状のカビが発生します。一方、べと病は湿度が高い環境で発生し、葉の裏に灰色のカビが現れます。

効果的な防除法として、ベニカナチュラルスプレーなどの薬剤を散布することが有効です。薬剤は葉の表裏にムラなく丁寧にかけることが重要です。

また、栽培環境の改善も大切です。風通しを良くするために株同士の間隔を適切に保つようにします。また、枝や葉が込み入って風通しが悪くならないよう、枝葉の剪定も適宜行ないましょう。うどんこ病には乾燥対策を、べと病には過湿を避けるための工夫が必要です。

◇農薬の効果的なローテーション方法

うどんこ病などの病害は薬剤耐性のある病菌が発生しやすいため、有効成分の系統などが異なる農薬を複数、ローテーションして使うことが重要です。

これは、同じ薬剤を連続して使用すると薬剤耐性を持つ病菌が発生し、薬剤の効果が低下するためです。異なる種類の薬剤を順番に使うことにより、特定の薬剤に対する耐性を持った病菌の発生リスクを低減できます。同一系統の薬剤を連続して使用することは避けるほか、使用回数の制限を守ることも大切です。

まとめ

きゅうりは生長が早く、次々と収穫できる初心者でも育てやすい野菜です。病気は必ずといってよいほど発生しますが、適切な管理、対策を行えば、病気の発生を最小限に抑えることができます。対策として、適切な水管理、風通しを良くする整枝、適正な栽植間隔の確保が重要です。有機質の土づくりと窒素過多を避けましょう。

防除にはベニカナチュラルスプレーが有効なほか、薬剤耐性を防ぐために異なる系統の農薬をローテーションして使用することが大切です。病気の早期発見と対応により、新鮮でおいしいきゅうりの収穫を目指しましょう。

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