目次
秋の庭を鮮やかに彩るコスモスは、美しい花と育てやすさから多くの方に愛されています。種まきから開花までの管理もシンプルで、初心者でも手軽に楽しめるところが魅力です。
しかし、コスモスを元気に育てるには、病気や害虫の対策が必要になり、それに悩む人も多いのではないでしょうか。
そこで、秋咲きコスモスの特徴や育て方、病気・害虫対策について解説します。これから自宅でコスモスを育てたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
まずは、秋咲きコスモスの特徴とおもな品種について見ていきましょう。
秋咲きコスモスは、メキシコを原産とするキク科の一年草です。アキザクラ、オオハルシャギクとも呼ばれています。草丈は50~150センチメートルほどに成長し、夏から秋にかけて開花します。また、葉には細く深い切れ込みがあり、繊細な形状をしている点が特徴です。
なお、コスモスはその整った花の形や美しい花の色から、ギリシャ語で「秩序・調和・美」を意味する「Kosmos・Cosmos」にちなんで命名されたと伝わります。
秋咲きコスモスには、さまざまな品種が存在します。
例えば「ベルサイユ」と呼ばれる品種は、大輪で華やかな花を咲かせる点が特徴です。花壇や鉢での栽培だけでなく、切り花にも向いています。
「ピコティ」は、白い花弁が桃赤色に縁取られているところが印象的な品種です。「シーシェル」は、貝殻のように花びら1枚1枚が筒状になっている点に特徴を見いだせます。
「サイケ」はコスモスの種類のなかでも花びらの数が多く、濃紅色・桃色・白色と色の種類が豊富な点が魅力です。
品種ごとに花の色や咲き方などは異なるため、自分の好みに合わせて選ぶとよいでしょう。
なお、コスモスは基本的にどの品種でも育てやすく、初心者の方でもチャレンジしやすい花です。
秋咲きコスモスは比較的育てやすい花ですが、美しく咲かせるためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。コスモスを育てるにあたって気を付けたいポイントをご紹介します。
秋咲きコスモスを育てるには、水はけの良い土壌づくりが重要です。鉢植えの場合は、小粒の赤玉土と腐葉土を7対3の割合で混ぜた土がおすすめです。また、赤玉土と腐葉土、バーミキュライトを6対3対1の割合で配合した土も適しています。これらに加え、リン酸分が豊富な緩効性化成肥料を混ぜ込むと生育が促進されます。
地植えにする場合は、植え付けの1~2週間前に苦土石灰や堆肥、腐葉土を花壇の土に混ぜ込んでおきましょう。水はけを良くするために、川砂やパーライトを適量加えるのも効果的です。水はけの良い土壌環境を整えると根腐れを防ぐことができ、より健やかに育ちます。
秋咲きコスモスの種まきの適期は、6~7月頃です。この時期に種をまくと、10~11月にかけて美しい花を楽しめます。
コスモスは、花壇に種を直接まく「直まき」からでも簡単に育てられます。直まきでコスモスを栽培する場合は、土に指の第一関節程度の穴をあけて3~4粒の種をまき、その上から土を薄くかぶせましょう。なお、発芽の適温は15~20度です。
コスモスの苗を暑さに負けることなく育てたい場合は、「X-ENERGY(エックスエナジー)」の100倍液を使用すると効果的です。
発芽したら、双葉の段階で適切な間引きを行なうことが重要です。元気な苗だけを選んで残し、弱い苗は取り除きましょう。
鉢植えやポットなどで育てる場合は、同じく双葉の時期から2回に分けて間引きし、最終的に1つの鉢に1本のみを残すように調整します。
箱まきの場合は、密集して生えている部分を間引き、苗同士の葉が軽く触れ合う程度の間隔を保つようにすることが大切です。
これにより、残した苗の生育スペースが確保され、十分な養分が行き渡って健康で丈夫なコスモスが育ちます。
秋咲きコスモスは少ない肥料でもよく育つため、与えすぎには注意が必要です。
鉢植えの場合は、生育状況を見ながらマイガーデン粒状肥料を置き肥し、さらにマイガーデン液体肥料を追加するとよいでしょう。
マイガーデン粒状肥料には土の温度と水分量に応じて肥料が溶け出す量を調整する特性があるため、肥料を与えすぎてしまうことを防げます。
また、マイガーデン液体肥料を使うとモイスト効果によって使うごとに鉢植えの土の保水力が上がり、水やりの回数を減らせる点が特徴です。地植えの場合は、元肥としてマイガーデン粒状肥料を施すだけで十分です。
秋咲きコスモスを美しく咲かせるには、正しい水やりの仕方を押さえておくことも大切です。
鉢植えの場合は、生育期間を通じて土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。特に気温が高く乾燥しやすい時期は水切れに注意が必要です。土の状態を定期的に確認し、カラカラに乾いていたら水やりをしてください。
地植えの場合、基本的にほとんど水やりの必要はありません。雨水によって十分な水分量を確保できるためです。ただし、長期間雨が降らず土が完全に乾いてしまった場合には、水やりをするとよいでしょう。
秋咲きコスモスは日光を好み、湿度の高い環境を苦手とする植物です。そのため、風通しの良い日なたに花壇をつくったり、鉢植えを置いたりすることが、育てるときのポイントです。
また、霜が降りる時期の夜間には、鉢植えを室内に取り込むとよいでしょう。寒さによるダメージからコスモスを守ることができ、長く花を楽しめるようになります。
秋咲きコスモスは茎が細く、成長すると草丈が高くなり、倒れやすくなります。これを防ぐには、一番上の芽の部分をハサミなどで摘み取る「摘心」が効果的です。
本葉が6~8枚出た頃に摘心を行なうと、草丈を低く抑えられてコスモスが倒れてしまうのを防げます。また夏の間に数回摘心するとわき芽の成長が促進され、結果的に花数も増えます。
秋咲きコスモスの場合は、9月頃までに摘心を終えることがポイントです。花芽が形成されてきたら、摘心は行なわないようにしましょう。
秋咲きコスモスを美しく育てるには、病気や害虫対策が欠かせません。ここでは、秋咲きコスモスを育てる際に注意したい病気や害虫、被害を受けたときの効果的な対処法について解説します。
秋咲きコスモスに発生しやすい病気として、うどんこ病や灰色かび病、そうか病、立枯病などが挙げられます。
・うどんこ病:葉や茎に白いカビが発生する病気
・灰色かび病:花にシミのような斑紋ができたり、葉が黒くなったりする病気
・そうか病:茎に黄褐色の斑紋ができ、進行すると枯死する病気
・立枯病:葉が黄色になってしおれ、根も腐敗して枯れる病気
これらの病気の原因は、カビの発生です。そのため、秋咲きコスモスを病気から守るには、日当たりや風通しを良くして湿度を低く保つことが欠かせません。
秋咲きコスモスを育てていると、アブラムシやハダニ、ヨトウムシ、ナメクジなどの害虫が発生することがあります。アブラムシやハダニは葉の汁を吸って植物の生育を阻害する吸汁性害虫、ヨトウムシやナメクジは葉や茎を食べる食害性害虫です。いずれの害虫も放置していると、コスモスが枯れる原因となりかねません。
そのため、害虫を見つけた時点で適切な駆除を行なうことが求められます。
秋咲きコスモスが病気や害虫の被害にあった場合、初期段階では病気に感染した葉をちぎって様子を見たり、セロハンテープで虫を取り除いたりする方法が有効です。
また、被害が拡大する前に薬剤を使用して早期に対策を講じることも大切です。うどんこ病や灰色かび病には「ベニカXファインスプレー」、そうか病、立枯病には「サンケイオーソサイド水和剤80」の使用をおすすめします。
アブラムシやハダニ、ヨトウムシには「ベニカXネクストスプレー」、ナメクジには「ナメトックス粒剤」の使用が効果的です。
秋咲きコスモスは、育てやすさと美しい花姿で人気の一年草です。6~7月に種まきをすれば、10~11月に鮮やかな花を楽しめます。
栽培のコツは、水はけの良い土づくりと適切な日当たり環境の確保です。また、万が一病気や害虫が発生してしまったら、薬剤を使用して早めに対策を講じることが大切です。コツを押さえたうえで栽培すれば、秋に美しく咲くコスモスを楽しめるでしょう。
秋咲きコスモスの育て方~栽培・お手入れ方法~園芸知っトク情報のページです。
KINCHO園芸では、家庭園芸用殺虫剤・殺菌剤・除草剤・肥料のほか、くらしに関連するさまざまな商品を扱っています。
商品の使用に際しては必ず商品の説明をよく読んで、記載内容に従ってお使いください。
2025年7月1日をもちまして住友化学園芸株式会社は「KINCHO園芸株式会社」へ社名変更しました。一部、旧社名商品(画像・動画・音声)および旧社名での情報表記がございますが、順次変更してまいります。