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アブラムシは家庭菜園や花壇など、いろいろな場所でよく見かける害虫です。繁殖力が強く、すべてを駆除するのは骨が折れる作業なうえ、1匹でも残すと大量発生を繰り返す可能性もあることから、頭を悩ませている方も多いでしょう。
そこで本記事では、家庭でも簡単にできるアブラムシ駆除方法を具体的に紹介します。アブラムシがなかなか根絶できず困っている方は、アブラムシの性質などのポイントを押さえることで被害が減らせる可能性があるので、ぜひこの記事をお役立てください。
アブラムシの駆除は中途半端に行うのではなく、徹底的に根絶を目指して行うのがポイントです。もし1匹でも残っていると、そこから再び爆発的に増える可能性があり、時間が経つほど駆除も困難になります。
アブラムシは生まれてから成虫になるまでのスピードが速いうえ、春から夏の期間は雌だけで繁殖する性質もあるなど、繁殖力の強さが特徴です。そのため、中途半端な駆除では再び大量発生してしまうおそれがあるのです。
高温や極寒には弱いため、真夏や真冬にはアブラムシ被害は減ります。特に、冬に気温が低くなると成虫が死滅するので、花壇や畑などからアブラムシがいなくなり安心するかもしれません。ただし、卵は越冬することに注意が必要です。卵が残っていると暖かい時期にまた大量発生してしまうことから、自然に死滅するのを待つだけでは不十分といえます。
アブラムシを見つけたら、駆除はできるだけ速やかに根絶を目指して行ないましょう。さらに、発生前から予防対策をして、植物にアブラムシを寄せ付けないようにすることが重要です。
ここでは、一般家庭でも簡単にできるアブラムシ駆除方法を紹介します。特別な道具を必要としない方法もありますが、アブラムシの数によっては対応しきれない場合もあるため、状況によって適切な方法を選びましょう。一匹でも残すとそこから大量発生しかねないため、現在発生しているアブラムシを根絶できそうな方法を選ぶのがおすすめです。
最もシンプルなのは、手でつまんだり指ではじいたりしてアブラムシを取り除く方法です。取り除いたアブラムシを放置すると再び植物に被害が出る可能性があるため、容器に集めて捨てる、つぶして死滅させるなどしっかりと処理を行ないましょう。
道具が不要で、アブラムシを見つけ次第いつでも行なえるのがメリットですが、アブラムシに触りたくない人、虫が苦手な人には不向きな方法かもしれません。
アブラムシが密集している場合は、歯ブラシでこすり落としてもよいでしょう。この場合、強くこすりすぎると植物を傷めてしまうので注意してください。特に、新芽などのやわらかい部分は要注意です。
この方法は、細かい場所にアブラムシがひそんでいて見逃してしまう可能性があるので、間隔をおいて何回かチェックしましょう。
ホースなどの水流でアブラムシを洗い流すのも1つの手です。前述の手でつまむ方法でいったん大半を駆除したあと、取りきれなかったアブラムシを水で流すのもよいでしょう。
水をかけながら指でこすり洗いすると、アブラムシがより落ちやすくなります。植物や根もとにダメージを与えないように、水の勢いやこする強さには注意して行なってください。
つまんで駆除する方法と同様に、細かい部分の駆除が一度で完了しない可能性があるので、何度か行なうのがおすすめです。
セロハンテープやクラフトテープなどを使って、粘着力でアブラムシを捕殺する方法もあります。テープの粘着力によっては植物にダメージを与えてしまうおそれがあるので、粘着力が強すぎないものを使うようにしましょう。
この方法は、自宅にある道具で気軽に試せるのがメリットです。一方、アブラムシを根気良く触って駆除するやり方なので、一定の大変さはあります。
アブラムシは黄色を好む性質があるため、その性質を利用して、黄色い粘着シートなどを設置することで捕殺できます。
黄色い粘着シートは、100円ショップやホームセンターなどで探すとよいでしょう。一例として、キング園芸株式会社の「ムシナックスDX」が挙げられます。園芸用の支柱や割り箸などに挿して植物周辺に設置するだけで害虫が貼り付き、そのまま廃棄すれば良いため手間がかかりません。
そのほかに、黄色いバケツに水を入れてアブラムシに飛び込ませる方法もあります。植物の近くに設置して様子を見てみましょう。
アブラムシを捕食する天敵を利用する方法です。天敵の例としては、テントウムシ(成虫、幼虫)、ヒラタアブやクサカゲロウ、カマキリの幼虫などが挙げられます。
特にテントウムシはアブラムシの天敵としてよく知られていて、成虫1匹で1日に100匹ほどのアブラムシを捕食してくれるといわれています。ただし、草食のテントウムシ(テントウムシダマシ)は葉を食べてしまう害虫なので注意しましょう。
テントウムシは屋外で見つけて連れてくるほか、テントウムシが住みやすい環境を整えることで呼び寄せるとよいでしょう。アブラムシが付きやすい雑草(カラスノエンドウなど)が近くに生えている場合、そのままにしておけばテントウムシの飛来が期待できます。
天敵を利用するのは植物にとって自然な方法ではありますが、テントウムシなどの発生条件にも左右されるため、コントロールは難しいかもしれません。天敵だけに頼るのではなく、ほかの方法と組み合わせるのが確実といえるでしょう。
アブラムシ殺虫成分を含む農薬を土にまいて、植物に吸収させる方法もあります。茎や葉に殺虫成分が行き渡るため、アブラムシが植物の汁を吸うことで駆除できます。浸透移行性農薬は有効成分が植物体内を速やかに浸透して茎や葉に到達します。雨や風で農薬が飛ぶ心配が少ないのも特徴です。
このタイプの駆除剤は殺虫成分の効果に持続性があります。繁殖力の強い害虫には効果が持続する方法が適しているため、アブラムシ対策として有効な方法といえます。
植物の成長過程や種類によって使える駆除剤が異なるので、事前に確認したうえで使いましょう。また、一度まくと効果が持続することから、特に野菜などの食用作物の場合は用法・容量を守る点に注意してください。
一般の家庭でも安心して使える、害虫駆除のスプレーを使うのも1つの手です。一度選んで購入しておけば、アブラムシを発見したときにスプレーするだけなので手軽に対策できます。野菜の種類にもよりますが、収穫前日までスプレーできるものもあるため、安心感を重視する方にも適しています。
より手間を省きたいのであれば、希釈の必要がないタイプがおすすめです。また、アブラムシ駆除だけでなく、その後もしばらく虫を寄せ付けない効果を持つものもあります。
アブラムシは発生してしまうと駆除に苦労しがちなので、まずは日頃から予防することが大切です。以下では、アブラムシの予防方法をいくつか紹介します。ただし、ここで紹介する方法は殺虫の効果はないため、あくまでも駆除とは別で行なうという点に注意してください。
アブラムシは強い光を嫌うため、シルバーマルチ(光を反射させる銀色のフィルムシート)を植物の根もとに敷くとよいでしょう。シルバーマルチが手に入らなければ、アルミホイルで代用も可能です。反射された光をチカチカさせることによって、アブラムシの方向感覚を狂わせ、植物に近寄りにくくします。
ただし、銀色の資材はモンシロチョウなどを誘い、産卵につながる可能性もある点に注意しましょう。また、シルバーマルチだけでは強い効果は見込めず、完全にアブラムシを予防するのは難しいので、ほかの方法と組み合わせるのがおすすめです。
コンパニオンプランツとは、野菜などと一緒に育てることによって、成長促進効果や、病気・害虫から野菜を守る効果が期待できる植物のことです。虫が嫌うにおいで虫の飛来を防いでくれたり、逆に虫を寄せ付けて身代わりになってくれたりします。
アブラムシの予防に効果のあるコンパニオンプランツには、以下のような植物が挙げられます。
マリーゴールド
カモミール
チェリーセージ
ソルゴー
トウガラシ
ネギ類(ニンニク、長ネギ、ニラ、タマネギなど)
香りの強いハーブ類(バジル、セージ、ミントーなど)
コンパニオンプランツを選ぶ際は、植物同士の相性がある点に気を付けましょう。相性の悪い植物同士を近くで育てると、生育が悪くなるおそれがあります。
アブラムシが嫌う成分の入った防虫スプレーも市販されています。予防と同時に初期の殺虫に使えるものもあるので、ご家庭に一本置いておくと重宝するでしょう。
防虫スプレーは、定期的に散布することでアブラムシを寄せ付けない効果が見込めます。手軽で効果も見込める方法なのでおすすめです。
手動による駆除は、アブラムシ発生初期には一定の効果が見込めます。ただ、アブラムシの数が増えてくるとその方法だけでは対応できなくなり、結果的に植物の被害が拡大してしまうかもしれません。
結論として、アブラムシ駆除や予防には、適切なスプレー剤などを用意しておくのが安心です。ここでは、具体的なおすすめのアイテムを紹介します。
「ベニカXネクストスプレー」は、花や野菜(トマト、きゅうり、なす、キャベツ、レタス、リーフレタス、メロン)、庭木などに使える殺虫殺菌スプレーです。
速効性が特徴、かつアブラムシに対しては1ヵ月ほど効果が持続するため、手間がかかりません。希釈の必要がないスプレータイプなので、アブラムシに気付き次第すぐに使えます。
また、薬剤が効きづらくなったアブラムシも、水あめ成分が包み込むことで物理的に退治します。容器を逆さにしてスプレーすることも可能なので、アブラムシが集まりがちな葉の裏側などにも噴射しやすいでしょう。
【適用害虫】アブラムシ類、ハダニ類、アザミウマ類など
「ピュアベニカ」は、お酢から生まれた害虫・病気対策スプレーで、食酢100%の安心感が特徴です。アブラムシ、ハダニ、コナジラミの予防・退治に使えるほか、ナメクジ、ハスモンヨトウの食害、モンシロチョウ、ハモグリバエの産卵に対する忌避効果もあります。
使い方は、2~3日おきに1回の頻度で葉にスプレーするだけです。土にスプレーすると、病気に対する抵抗力アップも見込めます。うどんこ病などのやっかいな病気予防にもなるため、一本あると心強いでしょう。
さまざまな植物に使用でき、野菜や果物などに対しても食べる直前まで使えるため、身近で安心感のある成分を優先したい方におすすめです。
【適用害虫】アブラムシ、ハダニ、コナジラミなど
「家庭園芸用GFオルトラン粒剤」は、土に混ぜ込んだりばらまいたりするだけで害虫退治できる殺虫剤です。根から吸収された殺虫成分が植物全体に行き渡ることで、植物の汁を吸う害虫や葉を食害する害虫を退治します。
幅広い植物に使えるうえ、アブラムシには1回ほどこすだけで約2~3週間効果が持続するのもポイントです。50年以上売れている害虫対策の定番商品で、信頼度も抜群の殺虫剤なので、ぜひ一度お試しください。
【適用害虫】アブラムシ類、アオムシ類、ヨトウムシ類など
アブラムシは、1匹から爆発的に増えるおそれのある害虫なので、見つけたら徹底的に駆除することが大切です。冬にいなくなったように見えても、暖かくなるとまた増えるので、自然消滅を待たずしっかりと駆除を行いましょう。同時に、植物にアブラムシを寄せ付けないための予防対策も行うのがおすすめです。
駆除や予防にはいくつか方法がありますが、発生初期かどうか、虫に対する苦手意識の程度などによって、おすすめの方法が異なります。なかでも家庭用の殺虫スプレーは特に手軽で効果も見込めるので、一本選んで常備しておくとよいでしょう。