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知っておきたい園芸情報 - 園芸コラム桜に毛虫が多いのはなぜ?桜に多い毛虫の種類と防除方法

桜は日本を代表する花です。公園や河川敷などに植えられていますが、自分でも鉢植えで育てている方もいるでしょう。しかし、桜は毛虫がつきやすいことがデメリットです。毛虫は不快なだけでなく、桜に悪影響をおよぼすこともあります。

本記事では桜につきやすい毛虫の種類や駆除方法、予防方法、駆除する際の注意点、毛虫に刺されたときの対処方法などを紹介します。

目次

桜に毛虫が多いのはなぜ?

そもそも桜に毛虫が多いのはなぜでしょうか?桜は落葉樹で、葉っぱが常緑樹と比べるとやわらかいうえに、葉っぱの数が多いため毛虫に好かれやすいことが理由の一つです。葉っぱが多いと湿度が高くなり日当たりも悪くなりますが、これは毛虫が好む環境です。

また、桜は密集して植えられていることが多く、仮に毛虫が1本の桜の葉っぱを食べ尽くしてもほかの木に移動できます。毛虫にとって食べ物に不自由しない理想的な環境であることも桜に毛虫が多い理由でしょう。

桜につきやすい毒のある毛虫

桜につきやすい毛虫にはいくつかの種類があります。ここでは毒のある毛虫のうち、代表的なものを紹介します。

ドクガ

ドクガの幼虫は黒褐色にオレンジ色の模様があり、長めの毛が生えています。少しさわっただけでもかぶれと強いかゆみが生じます。小さいうちは比較的毒が弱いため、春先の駆除がおすすめです。

ドクガは葉っぱや新芽を食べます。特に春は活発に食べるため被害が大きくなりがちです。しかし、木が枯れることはほとんどないようです。

発生時期

春と秋(幼虫/毛虫)

駆除方法

樹木の毛虫用の殺虫剤を散布します。また、小さいときは集団になっているため枝や葉っぱごと除去します。

マイマイガ

マイマイガの幼虫の活動時期は4月上旬~6月旬ですが、このうち毒をもつのは1齢幼虫のみです。毛に触れるとかゆみやかぶれが生じます。毛だけでなく、幼虫が吐いた糸や脱皮した殻に触れただけで皮膚炎が起こることもあるため注意しましょう。2齢幼虫以降になると有毒な毛がなくなります。

毒をもつ若い幼虫の見た目は淡い茶~黒色です。成長すると体は黒色になり、黄色やオレンジ色の模様があらわれるとともに頭がオレンジ色になります。

マイマイガは8~11年周期で大発生し、終息するまで1~4年かかります。     激しく食害され、すべての葉っぱを失うこともありますが、桜などの落葉樹が枯れることはまれです。大発生後、2年は特に注意が必要です。

発生時期

4月中旬~6月中旬(幼虫/毛虫)

駆除方法

成長すると殺虫剤が効きにくくなるため、1cm以下の小さいうちに駆除します。大きくなった毛虫は火箸などで捕まえます。また、寒冷紗で除去する方法も有効です。

イラガ

イラガの幼虫は緑色のずんぐりとした外見です。トゲのような突起があり、さわるとビリビリとした激しい痛みを感じます。ただし、痛みは激しいものの湿疹などは出ません。ずんぐりとした外見から「オコゼ」、ビリビリとした痛みから「電気虫」と呼ばれることもあります。単独で行動するため、見つけにくい毛虫です。翌日にかゆみをともない腫れることがあります。

発生時期

 6~10月 年に2回発生することがある

駆除方法

冬の間に枝などについているまゆを削り取る予防方法が効果的です。毛虫用の殺虫剤も有効です。

桜につきやすい毒のない毛虫

桜につきやすい毛虫には、毒のないものもいます。ここでは、毒のない毛虫のうち代表的なものを3種類紹介します。

オビカレハ

オビカレハの幼虫は灰青色で、オレンジと黒の縞模様が特徴です。糸で膜状の巣を作り、その中で群れを作って生活します。この習性からテンマクケムシと呼ばれることもあります。

基本的には単独で葉っぱを食べますが、庭木などでは多発するケースもあります。多発の有無にかかわらず集団が大きいため、部分的な食害もひどくなりがちです。ひどいケースでは葉っぱがすべてなくなることもありますが、木が枯れることはほとんどないでしょう。

発生時期

 3~6月(幼虫/毛虫)

駆除方法

枝に作られた巣ごと除去する方法が効果的です。殺虫剤も有効です。

モンクロシャチホコ

モンクロシャチホコの幼虫は小さなときは茶色で毛はまばらですが、大きくなると体色が黒になり白黄色の毛が束のように生えます。桜などでしばしば発生し、食害により枝が枯れる場合があります。また、一度発生すると、同じ場所で再び発生することがあるのが特徴です。

発生時期

7~8月(幼虫/毛虫)

駆除方法

以前に被害が発生した場所を7月下旬頃に見回り、集団が小さいうちに除去する方法が効果的です。殺虫剤も使えます。

アメリカシロヒトリ

アメリカシロヒトリの幼虫は、白く長い毛が生えており、小さいうちは淡い黄色ですが大きくなると背中が灰色になります。小さいときは糸を張って巣を作り集団で暮らしますが、成長すると単独で行動するようになります。

食害の勢いが強く、同じ木がアメリカシロヒトリの被害に続けて遭うと、木が枯れることもあるほどです。

発生時期

春~秋(幼虫/毛虫)

駆除方法

殺虫剤の散布が有効です。幼虫の集団を見つけて枝葉ごと取り除く方法もあります。集団がいる場所は葉っぱがまとまって枯れているため発見しやすいでしょう。

桜についた毛虫を駆除する際の注意点

桜についた毛虫を駆除する際には、毒がないものでもアレルギーでかぶれることがあるため注意が必要です。かぶれを防ぐにはゴム手袋をするほか、粘着シートで毛虫をとるようにするとよいでしょう。毛虫を捕まえたあとは、新聞紙などにくるんで燃えるゴミとして捨ててください。

また、駆除の際は殺虫剤をかけると木から毛虫や薬剤が落ちてきます。長袖、長ズボン、帽子などで肌の露出を防いで直接毛虫に触れないようにしておきましょう。また、薬剤から目を守るゴーグルやカッパなどの着用もおすすめします。なお、落ちてきた毛虫は土に埋めて処理してください。

ほかにも、使用後は使った道具を洗うようにしましょう。使用後の道具に毛虫の毛などが残っていると、その毛にさわって間接的にかぶれることがあるからです。

桜の毛虫被害を予防するには

桜を毛虫から守るためには予防が大切です。ここでは、おもな予防方法を2つ紹介します。

早期に発見する

毛虫の予防で大切なのは、早期発見です。卵のうちに発見できれば簡単に駆除できます。週に1回くらいの割合で葉っぱの裏に毛虫や卵がついていないかチェックするとよいでしょう。

また、桜の木の下に黒い粒が落ちている場合は、毛虫のふんの可能性があるため、早期の対策が必要となります。

剪定する

剪定も効果的です。毛虫が発生する理由の一つに、葉っぱや枝の密集があるからです。剪定によって通気性が上がると湿度が下がり、毛虫の好む環境ではなくなります。風通しを良くしておけば病気が発生しにくくなることもメリットです。さらに、剪定によって毛虫の天敵である鳥が毛虫を見つけやすくなります。

ただし、桜は枝を切らないほうが良い性質があるため、剪定しすぎないようにしなければなりません。重なった枝など増えすぎたものを切る程度にしましょう。

桜は切り口から菌等が入りやすいため、枝を切った場合は切口に必ず癒合剤を塗りましょう。

桜の剪定の時期は11月頃が適しています。その場合、花芽を減らし過ぎないように注意しましょう。

桜の毛虫に刺されたときの対処方法

桜の毛虫に刺された場合にはどうすればよいのでしょうか。適切に対処しなければ症状が悪化する可能性があります。毛虫に刺された場合の対処法を解説します。

1-水で洗う

毛虫に刺された際にやってはいけないのは患部をさわったりかいたりすることです。患部をかくと毒のついた針が移動して症状が広がるほか、皮膚のバリアが破壊されて症状が悪化する可能性があります。

毒針を除去するためには水で洗い流します。水で洗い流すときは患部をこすらないように注意しましょう。また、せっけんを使うと毛が泡に混ざって広がる可能性があるため、水だけで洗い流してください。

2-氷や保冷剤で冷やす

水で洗ったもののかゆみが出てきた場合は、氷や保冷剤などで冷やすと症状が和らぎます。かゆみがひどく冷やしてもおさまらない場合は、ステロイド外用剤を塗るとよいでしょう。ステロイド外用剤は薬局でも購入できます。

なお、患部をかくと症状が悪化するため、かかないようにしましょう。

3-改善されない場合は病院へ行く

かゆみや痛みがひどい場合や、ステロイド外用剤を数日使用しても良くならない場合は、皮膚科を受診しましょう。

また、刺されたあとに呼吸困難などのアナフィラキシーショックが疑われる場合は、ただちに医師の診断を受けてください。

毛虫から桜を守るおすすめの殺虫殺菌スプレー

桜を毛虫から守るには殺虫剤が有効です。ここではおすすめの殺虫殺菌スプレーを2点紹介します。

5種類の成分で毛虫をしっかり防ぐ「ベニカXネクストスプレー」

ベニカXネクストスプレーは、還元澱粉糖化物、クロチアニジン、ペルメトリン、ピリダリル、マンデストロビンの5種類を配合した世界初(※)の殺虫殺菌スプレーです。

※農林水産省に農薬登録された家庭園芸用殺虫殺菌スプレーにおいて(2019年2月時点)

ペルメトリンが害虫に素早く効き、雨に強いクロチアニジンやマンデストロビンにより効果も長く続きます。還元澱粉糖化物はアブラムシなど薬剤抵抗性害虫にも効果的です。また、桜だけでなく野菜や草花など幅広く使えます。

スプレーは何度も散布していると手が疲れてきますが、ベニカXネクストスプレーは手が疲れにくいトリガーが採用されており、散布作業の負担を軽減できるでしょう。

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庭木の毛虫退治に!速効性と持続性を兼ね備えた「ベニカJスプレー」

ベニカJスプレーは庭木の毛虫退治に適した殺虫スプレーです。霧状のスプレーだけでなく、最長5mもの直接噴射ができるため、高いところにいる毛虫や近寄りたくない場合に遠くからねらい撃ちできます。速効性があるだけでなく、1週間近い持続性も併せもっているため、散布後に発生した毛虫にも対応可能です。また、浸透移行性により桜のすみずみまで成分が浸透するため、液がかかりにくい場所にいる毛虫にも効果があります。

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まとめ

桜の葉っぱはやわらかく、葉っぱの数も多いため毛虫に好かれがちです。一口に毛虫とはいっても毒のあるものばかりではなく、毒のないものもいます。しかし、毒のないものでも木が枯れることがあるため、予防や駆除が必要になるでしょう。

定期的な木のチェックによる早期発見や、剪定により毛虫はある程度予防できますし、早期発見すれば駆除が簡単です。毛虫を駆除するには「ベニカXネクストスプレー」や「ベニカJスプレー」がおすすめです。これらの殺虫剤を上手に利用して、桜を育てていきましょう。

監修 矢澤秀成
園芸研究家、花菜ガーデンヘッドガーデナー。愛称「ほそめ先生」。種苗会社にて野菜と花の研究をしたのち独立。植物園や肥料会社、造園会社などの顧問を歴任。またNHKテレビ「趣味の園芸」、「あさイチ(グリーンスタイル)」などの講師を務め、家庭園芸の普及に幅広く活躍する。「趣味の園芸」(NHK出版)、「園芸入門」(同)、「プリムラの育て方」(同)、園芸の基本帖」(KADOKAWA)など、執筆多数。

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