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今も昔も、多くの人が庭で植物を育てたり、観葉植物を室内に置いたりして日々の暮らしを楽しんでいます。しかし、そうして大切に育てている植物にも虫が付くことがあります。ハダニも、そうした植物に付く虫の一つです。
ハダニは植物の葉っぱなどに寄生する、赤色や黄緑色のごく小さな虫で、葉裏から汁を吸って栄養を吸収します。放置すれば植物の葉色や花の色味が悪くなったり、実の収穫量が減ったり、最悪の場合、植物が枯れたりするため気を付けなくてはなりません。
本記事では、植物に付くハダニの特徴や駆除方法、予防方法などを解説するとともに、ハダニの駆除におすすめの商品を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
植物に付くハダニの特徴や、植物・人への影響、発生する時期・原因を解説します。まずはハダニに関する基本情報を確認していきましょう。
ハダニとはダニの仲間で、ダニはクモに分類されます。一般的にイメージされる「人を噛むようなダニ」は実は多くはなく、5万種以上いるなかの数パーセントしかいません。
ハダニは植物に寄生するタイプのダニで、多くの種類がいますが、よく知られているのは黄緑色のナミハダニや、赤色のミカンハダニ、カンザワハダニ、リンゴハダニです。
ハダニは0.3~0.5mmほどの大きさで肉眼では見えにくいものの、よく動きます。メスはオスがいなくても産卵でき、1匹のメスから50~100個の卵が生まれ、10日ほどで成虫になります。また、卵の状態で(環境によっては成虫の状態でも)越冬します。
このようにハダニは1匹いればどんどん増える可能性があるため、日頃から気を付けて観察しておき、見つけたらすぐに駆除することが大切です。
ハダニは、気温が20~30度の高温でかつ乾燥している、梅雨明けから秋に繁殖が進みます。室内や温室にある植物はもちろん、ベランダや軒下などあまり雨が当たりにくい場所にある植物にもハダニは発生するため、気を付けて管理しましょう。
ハダニは前述のとおりクモに分類されるダニの仲間で、クモと同じように糸を出し、風に乗って移動します。一つの植物に多く発生するとほかの植物に移動するため、ハダニが付いている植物は、ほかの植物と離しておくとよいでしょう。
また、強風の日には服やバッグに付着することも多いため、帰宅した際に玄関前で服やバッグをある程度はたいてから入ることをおすすめします。
ハダニはおもに植物の葉裏に寄生し、汁を吸い栄養を吸収します。ハダニに汁を吸われた植物の葉っぱは葉緑素が抜けて白い斑点が生じ、被害が進行すると白いカスリ状に色抜けして、葉色が褐色に変わっていきます。
草花や野菜の場合、こうして葉緑素が不足すると光合成がしにくくなります。結果的に成長不良に陥り枯れてしまうこともあるため、十分気を付けましょう。枯れるまでの被害にならなくても、花の開花期間が短くなったり、色味が悪くなったりするなどの悪影響があります。
庭木の場合、ハダニの影響で枯れることはほぼありません。しかし、一部の果樹においては実の収穫量が減ったり、葉焼けが起こったりする可能性があります。また草花も庭木も、ハダニが多く発生するとクモの巣のように白い糸が絡むようになり美観が悪くなるため、植物の美しさを保つためにも早めのハダニ駆除が必要です。
ハダニは植物の葉裏などから汁を吸い栄養を吸収する虫であり、人体への影響はないとされています。しかしアレルギーの原因になる可能性はあるため、ハダニを駆除する際には念のため手袋を付けて作業するとよいでしょう。なお、ハダニに直接触れてしまった場合、基本的に水で流せば問題ありません。
ここでは、ハダニの駆除方法を5つ紹介します。併せてハダニの駆除に適さない方法についても解説するので、すでにハダニが発生している場合は参考にしてみてください。
ハダニは水に弱いため、駆除するには葉っぱに水をかける「葉水」が効果的です。霧吹きを使って植物全体に葉水をし、特に葉裏には念入りに吹きかけるようにしてください。
ハダニは小さく、どこに成虫や幼虫、卵が隠れているかわからないため、再発を防ぐためには植物の特性に見合った適量の水を吹きかけるのがおすすめです。頻度は1日1回~2回が目安です。
ただし、サボテンやアロエ、パープルクイーン、アガベ・オバティフォリアなどの多肉植物に葉水は不向きです。このような乾燥地帯で育つ植物は水を与えると傷んでしまい、腐ってしまうこともあるため気を付けましょう。
鉢植えの場合、鉢ごと水に浸すのがおすすめです。鉢を水に5~15分浸し、水面に浮いてきたハダニの幼虫や卵を網などで除去します。このとき、葉っぱを撫でてあげると物理的に除去できるためより効果的です。
植物を丸ごと水に浸しても、風通しの良い場所に置いておけば根腐れする心配はありません。水やりをするのも水に浸すのも、植物にとっては同じようなものだからです。
ハダニが少なければ、セロハンテープなどを貼り付けて剥がすことで物理的に駆除できます。その際には、ハダニが多く寄生している葉裏を中心に適度な粘着力のテープを使って作業してください。テープの粘着力が強すぎると葉っぱが傷む可能性があります。
ハダニが付いた葉っぱや茎が少量の場合は、その部分を切り落として除去するのも一つの方法です。ただし、ハダニが広範囲に発生している場合はこの方法での対処が難しいため、葉水や駆除剤の使用を検討しましょう。
ハダニ用の駆除剤を使えば、速やかにハダニを取り除けます。特にハダニが大量発生した際には駆除剤の使用が効果的です。
なお、ハダニは薬剤抵抗性が発達しやすいため、薬剤は複数用意しローテーションで使用するのがおすすめです。
無農薬でハダニを駆除する方法として、牛乳やコーヒー、重曹を薄めてスプレーするのは以下の点から推奨されていません。
牛乳:分解される過程で膜を作り、植物が窒息状態になり腐ってしまう可能性がある
コーヒー:環境庁の調査で、あまり効果がないことが実証されている
重曹:植物内に吸収されることで細胞を壊死させることがある
ハダニの駆除は、これまでに紹介した葉水や駆除剤の使用などの方法を参考に行なってみてください。
ハダニの発生を防ぐ方法を5つ紹介します。特に葉水や駆除剤の使用は、ハダニの駆除だけでなく、発生を予防する効果もあるため、ぜひ取り入れてみてください。
ハダニの駆除に役立つ葉水は、発生予防にも効果的です。植物に水をやる際に葉っぱの裏側までしっかり水をかけると、ハダニの発生を予防する効果が期待できます。
乾燥する時期には毎日葉水をして葉っぱの湿度を保ち乾燥させないようにすると、ハダニの発生予防になるだけでなく、ほこりも除去できて一石二鳥です。
葉っぱにほこりがたまっている植物は乾燥しており、ハダニが発生しやすい状況にあります。週に1回程度ほこりを拭き取るようにするとハダニの発生予防になるだけでなく、植物が適切に日光を浴びられるようになり、成長も促進されます。
風通しの悪い場所では、ハダニを含む害虫が発生しやすくなります。ハダニが発生するのを防ぐには、風通しの良い場所で管理することが大切です。植物を適切な間隔で配置し、風通しを確保するようにしましょう。
室内で風通しが確保できない場合はサーキュレーターの使用も検討してみてください。室内から数時間屋外の明るい日陰に出し、シャワーで水をかけ、さらに外の風に当てましょう。
カブリダニ類やテントウムシ、ケシハネカクシなどはハダニを食べてくれるため、それらを見つけたらそのままにしておきましょう。ハダニは寄り付かなくなるため、発生予防やごく少量のハダニの駆除につながります。
駆除剤を定期的に散布すると、ハダニの発生予防になります。ただし、前述のとおりハダニは薬剤抵抗性が発達しやすいため、使用する薬剤は複数用意し、周期的に変更するとよいでしょう。
ハダニの発生を予防したり駆除したりする際には、ハダニを含む害虫を効果的に駆除できる、「ベニカXネクストスプレー」を活用するのがおすすめです。
ベニカXネクストスプレー
ベニカXネクストスプレーは、化学防除成分と物理防除成分を含む殺虫殺菌スプレーで、多様な植物に使えます。ハダニをはじめ、薬剤抵抗性害虫のアブラムシにも効果が期待でき、病気の予防・治療にも効果的です。
【適用害虫】ハダニ類、アブラムシ類、アザミウマ類など
ハダニの発生予防や駆除のために、化学的な殺虫殺菌スプレーを使用するのは抵抗があるという場合には、「ベニカナチュラルスプレー」がおすすめです。
ベニカナチュラルスプレー
ベニカナチュラルスプレーは、有用菌(B.t.菌)、食用植物油(調合油)、水あめ(還元澱粉糖化物)の3つの天然由来成分が独自のブレンドによって配合された殺虫殺菌剤で、虫や病気に効果を発揮します。このうち食用植物油(調合油)は、ハダニの成虫・幼虫・卵に効果が期待できます(物理防除)。
【適用害虫】ハダニ類、アブラムシ類、コナジラミ類など
ハダニは植物に寄生するダニです。植物の葉裏などに、肉眼で見えるか見えないかくらいの赤色や黄緑色の虫がいたら、それはハダニかもしれません。ハダニは1匹いればすぐに増える可能性があるため、日頃から気を付けて観察し、見つけたらすぐに駆除することが大切です。
ハダニは水に弱いため、駆除するにはまずたっぷりの葉水を行なったり、鉢植えなら鉢ごと水に浸したりするのがおすすめです。また、セロハンテープで取り除いたり、ハダニが付いた葉っぱや茎を切り落としたりして駆除してもよいでしょう。その他、ハダニが大量発生している場合には、ハダニ用の駆除剤を使用すれば速やかにハダニを取り除けます。
日頃の管理を工夫してハダニの発生を防ぐことも大切です。葉っぱのほこりを拭き取ったり、鉢を風通しの良いところに置いたり、ハダニの天敵となる虫を活用したりする方法は、ハダニの発生予防に効果的です。なお、葉水や駆除剤の使用は、ハダニの駆除と発生予防の両方に有効なため、積極的に取り入れてみてください。