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家庭菜園でイチゴを育てている方にとって、ナメクジは非常にやっかいな害虫です。せっかく育てたイチゴの実をかじられてしまい、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、イチゴにナメクジが付かないようにする方法や、付いてしまった場合の駆除方法について解説します。ナメクジの予防や駆除におすすめの商品も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
イチゴに付いたナメクジは、果実に集まり、直径5mm程度の丸い穴をあけて食べ進めます。粘液を出しながら這って移動するのが特徴で、ナメクジが這った部分にはテカテカと光った白っぽい跡が残ります。
ナメクジが付いたイチゴは、食べないほうがよいでしょう。実に穴が開いてしまい見た目が悪くなるだけでなく、ナメクジやナメクジが這った粘液には広東住血線虫という寄生虫がおり、誤って食べると感染症になるリスクがあるためです。
ナメクジは夜行性で、特に雨の日に活発に活動します。そのため、昼間はナメクジの存在に気付かない方も多いかもしれません。4~6月と9~10月に被害が増え、梅雨の時期は特に多くなります。
イチゴに特に付きやすいのは、ノハラナメクジという種類です。ほかに、ナメクジやコウラナメクジが付くこともあります。
せっかく育てたイチゴがナメクジに食べられてしまわないよう、イチゴをナメクジから守る方法を6つ紹介します。
まず、ナメクジがイチゴの果実に付かないよう、物理的に防御する方法を紹介します。
ナメクジは地面を這ってイチゴに近づきます。ペットボトルをカットして作成した容器などを使い、イチゴの果実を土から浮かせて囲むことで、ナメクジが果実に付きにくくなります。
また、イチゴの株自体をまとめてひもで縛ることで果実を浮かせ、地面から距離をとるのもおすすめです。
ほかにも、イチゴ畑の土をビニールシートなどで覆い、切り込みを入れて果実の部分のみを外に出した状態にしておくと、地面から這ってくるナメクジ対策になるでしょう。
イチゴをプランターで育てている方は、プランター自体を地面からなるべく離れた場所に置くことで、被害が減ると考えられます。
ナメクジはじめじめした暗い日陰を好みます。そのため、なるべく風通しや日当たりが良く乾燥した環境を作ることで、ナメクジを減らすことができます。
まずは、土を耕し土壌改良材をまいて、水はけの良い土を作りましょう。畑やプランターの周囲に資材やゴミなどを置きっぱなしにしておくと、そこが日陰になってナメクジが住み着きやすくなるため、不要なものはすぐに撤去してください。
また、先ほどイチゴ畑の土をビニールシートで覆う方法を紹介しましたが、シートの中が暖かく湿潤になることでナメクジが活動しやすくなり、逆に数を増やしてしまうおそれもあります。
そこで、ビニールシートの代わりに、稲藁や麦藁、い草などでできた敷き藁を使用することをおすすめします。敷き藁は通気性が良く、地面の温度が上がりにくいため、ナメクジが発生しにくくなります。敷き藁を使用して果実が地面に直接触れなくなることで、さらにナメクジの被害を抑えられるでしょう。
ナメクジは、土が酸性だと発生しやすくなります。畑やプランターの土を、ナメクジが住みにくく植物が育ちやすい弱酸性に整えるとよいでしょう。
アルカリ分を多く含む石灰資材を使うことで、酸性の土を弱酸性に近づけることができます。酸度計で測定し、土のpHを6.0から6.5程度に保っておきましょう。石灰資材を施し過ぎるとイチゴの生育に影響が出るので注意します。
ナメクジが好むものでおびき寄せ、近づいてきたところを捕らえる方法もあります。
ナメクジはビールを好んで近づき、飲むと酔っぱらって巣に戻れなくなります。ビールや米ぬかなどを深めの容器や使用済みペットボトルで作ったナメクジ捕獲用容器に入れ、イチゴの近くに置いておきましょう。誘い込まれてやってきたナメクジが、容器の中に落ちて出られなくなります。
ナメクジ捕獲用容器作り方
1 ペットボトルの上部(三分の一)をハサミやカッターで切り離す。
2 切り離したロート状の部分を逆さにして、残った下部にはめ込む。
3 はめ込んだ部分を粘着テープで留める。
4 容器中にビールを注ぎ込む
*丸い炭酸ボトルより、お茶や水の角形ボトルを使用しましょう。
また、濡れた敷物などをあえて置いておき、ナメクジが好むじめじめした空間を作っておくことで、そこにナメクジを誘い込んで捕らえることもできます。
ここまで紹介してきた方法を試してもナメクジの被害が収まらない場合、農薬を使用するのも1つの手です。ナメクジに効く農薬は、おもにリン酸第二鉄を使用したものと、メタアルデヒドを使用したものの2種類があります。
リン酸第二鉄は天然の土にも含まれている成分になりますが、効果発現が遅いため作物への食害被害がしばらく続いてしまう可能性があります。
メタアルデヒドはナメクジを誘引し殺虫するもので、高い駆除効果があります。リン酸第二鉄と比べ即効性があるため作物への食害をすぐに止めることができる特長があります。
農薬は、イチゴに直接かからないように散布してください。イチゴ畑やプランターだけでなく、周辺のナメクジが潜伏しやすそうなところにもまいておくと、より効果が高まります。
なお、リン酸第二鉄を使用した農薬は、雨が降ったら流れてしまい効果が薄れるため、再度散布しましょう。
イチゴにナメクジが付かないよう予防する方法について解説してきました。しかし、すでにイチゴにナメクジが付いてしまった場合は、どうすれば良いのでしょうか。駆除方法を2つ紹介します。
イチゴにナメクジが付いているのを見つけたら、早めに取り除いてください。そのままにしておくと、さらに被害が拡がりかねません。
割り箸やピンセットなどを使い、つまんで取り除きます。ナメクジには寄生虫が付いているため、決して素手では触れないようにしましょう。手で触ってしまったときは、洗剤で良く洗うようにしてください。
塩や砂糖、重曹などをかけてナメクジを弱らせるとつまみやすくなります。ただし、水に濡れると復活するため、雨の日にはあまり効果がありません。
ナメクジに熱湯をかけるという方法もあります。ナメクジは熱に弱い生き物で、熱湯をかけるとすぐに死滅します。
ただし、イチゴに付いたナメクジに直接熱湯をかけると、イチゴの苗まで枯れてしまうおそれがあるため、ピンセットなどを使い、ナメクジをイチゴから払い落としたうえで、熱湯をかけるようにしてください。
イチゴをナメクジから守る商品は、数多く市販されています。
そのなかでも、ナメクジの予防・駆除におすすめしたいスプレー「ナメトックススプレー」と「ピュアベニカ」を紹介します。
ナメトックススプレーは、散布することでナメクジを退治できる殺虫剤です。
誘引殺虫成分のメタアルデヒドが含まれており、散布した場所にナメクジをおびき寄せて駆除します。誘引効果や殺虫効果は、散布してから1~2週間続きます。ニオイが少なく散布跡も目立ちにくいため、野菜や果樹にも使いやすくて便利です。
成分が沈殿しているため、使用前には容器をよく振り、必ずイチゴの周りの土壌に散布して、イチゴには直接散布しないでください。スプレーのノズルを回すことで、広角散布か狭角散布を選べます。使用する際には農業用マスクなどを着用し、周囲の人やペット、洗濯物などにスプレーがかからないよう十分ご注意ください。
なお、ナメトックススプレーは、成分の残留を回避するために使用できる回数が決まっています。イチゴの場合、総使用回数は6回です(株元散布の場合は2回)。
【適用害虫】ナメクジ類、カタツムリ類
ピュアベニカは、作物にナメクジを寄せ付けず、食害を抑制する効果があるスプレーです。
ピュアベニカの大きな特徴は、100%食品成分でできている点です。あらゆる植物に安心して何度でも散布でき、食べる直前に使用しても問題ありません。
ナメクジが発生する前、または発生したばかりの時期に使用します。効果を高めるため、2~3日おきに1回こまめに散布しましょう。
ピュアベニカの使用方法は、葉に直接散布する方法と、土や株元に散布する方法があります。葉に直接散布すると、ナメクジの食害を予防でき、土や株元に散布すると、うどんこ病や黒星病といった病気の予防が可能です。
なお、ピュアベニカにはナメクジを寄せ付けない忌避効果はありますが、死滅させる効果はないためご注意ください。
【適用害虫】ナメクジ、アブラムシ、ハダニ、コナジラミなど
イチゴにナメクジが付くと、せっかく育てた実がかじられてしまううえに、寄生虫による感染症の危険性もあります。イチゴを栽培する際は、ナメクジが付かないよう事前に対策することをおすすめします。
本記事で解説した6つの予防策を参考に、ナメクジからイチゴを守りましょう。もしナメクジが付いてしまったら、速やかに駆除してください。駆除する際は、住友化学園芸が販売するスプレー「ナメトックススプレー」や「ピュアベニカ」がおすすめです。