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広い庭や、花木を愛でる庭づくりは暮らしを豊かにしますが、そこで困ってしまうのがすぐに生えてくる雑草です。抜いてもすぐに生えてくるうえ、放置するとあっという間に庭を残念な景観に変えてしまうため、悩まされている方も多いのではないでしょうか。
雑草を放置すると、害虫の発生やコンクリートの劣化、近隣トラブルにもつながるため、適切な対処が必要です。ここでは、さまざまな雑草対策の方法や、庭でよく見られる雑草の種類などを紹介します。
雑草対策は、雑草の種類に応じて効果が異なる場合があります。適切な対策を行うために、まずは庭に生えやすい雑草とその特性について押さえておきましょう。
ドクダミは、独特のにおいが特徴的な繁殖力の高い草で、おもな生育期間は3~11月頃です。多年草のため冬を越えると繰り返し生え、6~7月頃には白い花が咲きます。
ドクダミは少しでも根が残るとそこからまた生えてきてしまうため、除去するには地下茎(根のように地中にある茎)ごと掘り起こさないといけません。
ただし、この方法では途中で地下茎が千切れて地中に残ってしまう可能性があります。そのため、除去方法としては、除草剤の使用や防草シートによる日光の遮断がおすすめです。
スギナも多年生の雑草で、春の訪れを知らせるつくしが生える場所に生えてきます。これは、つくしとスギナが地下の茎でつながっているためです。
つくしによって飛ばされる胞子と、地中に広がった根茎によって繁殖し、3~9月頃に生育します。
スギナを掘り起こして除去するのは難しいため、根こそぎ除去するには、除草剤を使用するとよいでしょう。芽が通り抜けないよう、丈夫で目の細かい防草シートを使う方法もあります。
ガーデニングプランツとしても知られるカタバミは、5~10月頃に咲く花とハート型の葉っぱが愛らしい植物である反面、雑草としては広範囲に広がりやすい特性が厄介です。早春から夏にかけて特によく育ち、果実がはじけて種子を1m以上飛ばす場合もあります。
地中に大根のような立派な球根があり、除去するにはこの球根を取り除かなければなりません。種子を飛ばす前にこまめに抜きつつ、除草剤を使用して除去するのが効果的です。
地を這うように生え広がる特性があるコニシキソウは、多年草ではないものの強い繁殖力を持つため、庭一面が覆われることもあります。
また、白い毛が生えた暗赤色の茎を切ると、白い乳液が出るのが特徴です。この乳液に触れると、ただれたり炎症を起こしたりすることがあるため、除去作業の際には注意しなければなりません。
除去方法としては、鎌などを使用して根こそぎ除去するほか、除草剤の散布などが挙げられます。アリが花粉や種子を運ぶことでも広がるため、除草後にはアリの駆除対策も行うとよいでしょう。
夏の季語でもあるカヤツリグサは4~10月頃、特に8月頃からよく育つ一年生の雑草です。繁殖力の強さが特徴で、大きく育ったときにはすでに地中に強く根を伸ばしており、取り除くのが難しくなります。
生え始めは芝生と似ているものの、芝生よりも生長が早く、草むしりや草刈りでは追いつけません。そのため、除草剤を使用した駆除が効果的です。
雑草対策は、どうしても手間や時間がかかってしまうものです。やらずに済むのであればそうしたいところですが、放置するとさまざまなトラブルへとつながってしまうおそれがあります。
庭の雑草対策をしないとどうなってしまうのか、具体的に説明します。
身を隠しやすく、適度な湿度もある雑草のなかは、害虫にとってとても居心地の良い場所です。小さな虫が来れば餌となり、水場があれば産卵の場所になります。雑草を放置するとそうした湿度の高い環境を好む、蚊やハダニ、アオムシなどの害虫が寄ってきます。
害虫が増えると植物を荒らしてしまうほか、人への被害が出る場合もあります。また、隣家の庭などに害虫が移動すると、ご近所とのトラブルにも発展しかねません。
自宅の玄関アプローチや庭に、コンクリートやタイル、レンガを使用している方もいるでしょう。こうした人工物で土を覆っても、その隙間からしぶとく生えてくる雑草は少なくありません。
そのような雑草を放置すると、雑草部分に土が溜まってさらに雑草が育つ場所となり、コンクリートやタイルが劣化してしまう場合があります。
庭に雑草が生い茂っている状態を見ると、手入れが億劫になってしまい、さらなる景観の悪化につながります。
育ちすぎた雑草が隣家に侵入すると、トラブルにつながる可能性もあります。さらに、背の高い雑草が目隠しの役割を果たすことで、空き巣や不法投棄といった犯罪の温床となりかねません。手入れが難しくなる前に、雑草対策を施すことが肝心です。
庭づくりのための雑草対策にはどのような方法があるか、チェックしていきましょう。ここでは、9個のおすすめ雑草対策法を紹介します。
草むしりは、特別な道具を必要とせずに取りかかれる身近な駆除方法です。根から除去することが難しいため繰り返し作業しなくてはなりませんが、コツコツと根気のいる作業が得意な方には向いているといえます。
定期的な作業が必要な草むしりは、特に5~6月頃の実施がおすすめです。雑草は5~6月頃にかけて根を張り、初夏にぐんぐんと生長するので、根を張る前に対策をすれば雑草の量を減らせるでしょう。また、雨が降ったあとだと地面がゆるんで雑草が抜きやすいため、作業しやすくなります。
防草シートとは、雑草を生えさせたくない場所に敷いて日光を遮断することにより、雑草の光合成を抑制して生長を阻害するアイテムです。不織布などを使用した透水性のある布で、ホームセンターなどで購入できます。
ひと口に防草シートといっても遮光率や密度などに違いがありますが、おすすめは遮光率や密度、透水性が高いもの、紫外線に強い素材のものです。
また、防草シートは黒や茶色、緑のものが多く、それをただ敷くだけでは景観があまり良くない場合があります。そのため、シートの上に砂利などを敷いて使用するのが一般的です。
雑草を根こそぎ取り除く方法のなかで手軽であるのが、除草剤の散布です。
雑草が生えないように長い期間雑草を抑えるには粒剤タイプ、すでに生えている雑草をすばやく枯らしたいのであれば液剤タイプが適しています。最近ではどちらの目的にも対応したハイブリッドタイプもあり、用途や面積によって使い分けるのがおすすめです。
芝生用など目的や使用場所ごとに特化した商品もあるため、庭の状態やまきたい場所に合わせて選びましょう。
ただし、庭で子どもやペットが遊ぶ場合は注意が必要です。この場合は使用を控えるか、分解の速い除草剤の使用をおすすめします。
草花をたくさん植えて土を覆うと、雑草が増殖するスペースを防げるため雑草対策になります。
また、「グランドカバープランツ」とよばれるある程度広がりながら生長する、生育旺盛で踏まれても枯れない強い植物を選び、植えるのもいいでしょう。
多少の雑草も景観の一部となり、雑草を防ぎつつ雑草と共存する方法でもあるのが特徴です。庭の景観も良くなるうえに、子どもの遊び場にもなりますが、定期的な手入れを継続しなくてはなりません。
グランドカバープランツのように緑の美しい景観を保ちつつ、手入れの手間を省きたい方には、人工芝を敷くのがおすすめです。本物の植物と違い、日陰など場所を選ばずに設置できるのがメリットです。
人工芝は光が入る隙間が多くあり、単体では雑草の生育をしっかりと阻害できないため、下に防草シートを敷く必要があります。防草シートと人工芝がセットで販売されていることも多いため、そちらを利用するとよいでしょう。
タイルやレンガ、ブロックなどを敷くと、土をほぼ覆い隠して、ある程度雑草の生育を抑えることが可能です。デザイン性があり、庭の景観もすてきな雰囲気になります。
ただし、完璧に土を覆ってはいないため、隙間から生えてくる雑草の対策が必要です。隙間から生える程度の量であれば庭の風合いとして楽しめるかもしれませんが、さらに雑草が増える原因となるため、こまめに抜くとよいでしょう。また、タイルなどは雨が降った際に滑りやすくなる点にも、注意が必要です。
タイルやレンガに比べて、安価に設置できるのが砂利です。シンプルなグレーやカラフルなタイプもあるため、どのような庭にもマッチするでしょう。また、砂利を踏むことで音が鳴るため、防犯対策としても役立ちます。
防草シートの上に敷くのが一般的ですが、こちらも隙間から生えてくる雑草の対策が欠かせません。その他、ベビーカーや自転車などを移動させにくいのも難点です。特に子どもがいる家庭では、転倒してケガをするリスクもあるため、注意が必要です。
ウッドチップとは、ヒノキや杉といった木材を細かくしたもののことです。こちらも防草シートの上にまいて日光を遮断することで、雑草の発生を抑えられます。
木材特有のやわらかな雰囲気や消臭効果が魅力のウッドチップですが、いくらか隙間から雑草が生えてきます。また、木を好む虫が発生する可能性があるため、害虫対策も必要になるでしょう。そのほか、落ち葉の掃除が大変なので落葉樹がある庭には向いていません。
継続的な手入れが不要となり、雑草の発生をしっかりと抑えられるのが、コンクリートで舗装する方法です。ナチュラルな景観ではなくなるため、施工前に庭でどのように過ごしたいのか、しっかりとイメージしたほうがよいでしょう。
雑草は育ちませんが、ほかの草花も植えることができないため、植物を育てたい場合にはプランターでの生育になるでしょう。土の地面ではなくなるため、水はけや排水にも注意する必要があります。
また、業者に依頼して施工することが多いため、費用がかさんでしまうのも難点です。
できるだけ長期間雑草が育つのを防ぐために、雑草対策で意識したいポイントを紹介します。
雑草の除去や発生防止の効果を最大限に発揮できるよう、作業をする際は準備から丁寧に行いましょう。
例えば、多くの雑草対策に使用される防草シートを敷く際は、凹凸がないよう平らに整地してから隙間なく敷くことが大切です。除草剤については、散布日前後の天候を確認しつつ、粒剤であれば均一にまく、液剤であれば茎葉によく付着するように散布することを意識するとよいでしょう。
どれだけ対策をしても、放置してしまえば雑草が生えてきてしまいます。特に手作業や除草剤などでの雑草対策は、継続的な作業が必要です。
多くの雑草は、2~4月頃に発芽し5~6月頃に根を伸ばして、7~8月頃にぐんぐんと生長します。このサイクルに沿って、5~6月頃に1回目、夏を終えた9月頃以降に2回目、さらに12月頃に3回目と、雑草対策を実施できるとよいでしょう。
自宅の庭をしっかり手入れしていたところで、自宅前の道路に雑草が生えていればそこから種が飛んでくることも想定されます。自宅周辺の草花の状況を観察することも雑草対策になります。
隣家など私有地の場合は難しいですが、歩道であれば雑草を抜くなどして対策するとよいでしょう。
庭の雑草対策におすすめの薬剤を紹介します。
草退治E粒剤は、しつこいスギナをはじめとして、各種雑草の葉や茎のみならず根までスッキリ枯らす薬剤です。
除草効果は3~7日と素早く表れ、約6ヵ月という長期間にわたって雑草の発生を抑えるため、「長く、速く枯らしたい」という方に適しています。低温の環境下でもよく効くため、春先や秋口の雑草が生え始める時期にも使用でき、通年の雑草防除が可能なアイテムです。
草退治メガロングシャワーGTは、速効性と持続性に優れたハイブリットタイプの除草剤です。早ければ翌日に効果が表れ、最長で約330日持続します。
すでに生い茂っている雑草や、ドクダミやスギナなど取り除くのが難しい雑草も、根こそぎ除去できるのがポイントです。
草退治メガロングFLは希釈して使う濃縮タイプの薬剤で、庭木の下にも使用できる点が特長です。1回の散布で約8ヵ月と非常に長く効果が持続します。
また、スギナやドクダミ、ススキなどのやっかいな雑草にもしっかりと効いてくれます。
コンパクトで置き場所を選ばず、必要な量だけ希釈して使用できるので経済的!
シバニードアップ粒剤は、芝生内のメヒシバやスズメノカタビラなどの一年生イネ科雑草、カラスノエンドウ、オオアレチノギクなどの駆除効果が特に期待できる薬剤です。
散布後、5~10日ほどで雑草が枯れ始め、約4ヵ月間効果が持続します。使用方法も簡単で、シバニードアップ粒剤をそのまま散布するだけで雑草対策になるのも魅力です。
植物のなかには、水を弾く性質などを持ち、薬剤が垂れ落ちてしまうものもあります。そうした植物に薬剤をより付着しやすくし、しっかりと効果を発揮するよう補助するのが展着剤です。
除草剤専用展着剤パレハは、あらゆる除草剤と併せて使用できます。この薬剤の使用により、茎や葉からの浸透性がアップして雑草の細胞までしっかり届くため、除草剤が速く強く効きます。
庭づくりで避けては通れない雑草対策は、怠ると害虫を招いたり、近隣住宅とのトラブルに発展したりする場合があります。
除草剤や防草シートの使用など雑草対策にはさまざまな方法があり、定期的なメンテナンスを欠かさないことと、自宅周辺にも気を配ることが大切です。
おすすめの除草剤を参考に雑草対策をして、居心地の良い庭づくりを楽しみましょう。